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行動学入門[こうどうがくにゅうもん]
『行動学入門』(こうどうがくにゅうもん)は、三島由紀夫の評論・随筆。行動よりも弁舌ばかり横行していた戦後社会の現象や風潮に対するアンチテーゼとして、あえて行動の美や行動の意味について思弁した書である。三島がその後の自らの行動(三島事件)を前に、ありうべき行動の姿を模索し、その困難さや思索を巡らしている〔虫明亜呂無「解説」()〕〔高橋博史「行動学入門」()〕。 1970年(昭和45年)、雑誌『Pocket パンチ Oh!』9月号に掲載され、同年10月15日に文藝春秋より単行本刊行された〔井上隆史「作品目録」()〕〔山中剛史「著書目録――目次」()〕。同書には他2編の評論・随筆が収録されている〔田中美代子「解題――行動学入門」()〕。文庫版は文春文庫で刊行されている〔。 == 作品背景 == 『行動学入門』は、『若きサムラヒのための精神講話』に続いて、若い男性向けに発表したエッセイだが、当時は戦後の高度経済成長がピークに達していた時代で、青少年の過保護化現象や女性化現象がジャーナリズムの話題となり、男性の内面のみならず、外見も軟派が増えて「男らしさ」がなくなっていく風潮や風俗が若者たちの間に極端に広まっていた〔。ちょうどその時期、アラン・ドロン主演の映画『サムライ』が封切られ、その映画を三島が賞賛していたことから、日本の軟弱化現象を打破しようと、出版社が三島へエッセイの依頼をしたという〔。 なお、『行動学入門』は口述筆記だが、この仕事を担当した平凡出版の小此木一郎によると、1回分(1項目)は字数にすると原稿用紙9枚分予定で、三島は約20分で1回の口述を終わらせると、口述を原稿に起した後でもほとんど改稿することもなく、1回で9枚ぴったりの字数分を語ったという〔。 三島は刊行本の際の「あとがき」で、『行動学入門』と『をはりの美学』『革命哲学としての陽明学』の3つの随筆の共通点を、〈何かによつてしか証明されないものを、別の不適当な方法、すなはち言語手段によつて証明しようとしたもの〉とし、よってそれは、〈はじめから不可能な模索〉だったと説明し、以下のようにも語っている〔「あとがき」(『行動学入門』文藝春秋、1970年10月)。、〕。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「行動学入門」の詳細全文を読む
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