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成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、広義にはその意思能力にある継続的な衰えが認められる場合に、その衰えを補い、その者を法律的に支援する(成年後見)ための制度をいう。これには民法に基づく法定後見と、任意後見契約に関する法律に基づく任意後見とがある(広義の成年後見制度には任意後見を含む〔)。 狭義には法定後見のみを指す〔。法定後見は民法の規定に従い、意思能力が十分でない者の行為能力を制限し(代理権の付与のみが行われている補助の場合を除く)、その者を保護するとともに取引の円滑を図る制度をいう〔。 最狭義には法定後見(後見、保佐、補助)の3類型のうち民法親族編第5章「後見」に規定される類型のみを指す。 後見には成年後見のほか未成年後見もある(未成年後見については「未成年後見人」と「後見」の項参照)。なお、後述のように未成年者についても成年後見の適用は排除されていない〔。これは成年が近くなった未成年者の知的障害者が成年に達する場合には法定代理人がいなくなってしまうことから、その時に備えて申請を行う必要があるためである〔(詳細は後述)。 *民法について以下では、条数のみ記載する。 == 成年後見制度発足の経緯 == 本制度はドイツの世話法、イギリスの持続的代理権授与法を参考にして2000年4月、旧来の禁治産・準禁治産制度にかわって設けられた。 従来の禁治産・準禁治産制度には、差別的であるなどの批判(後述)が多かった。こうした中で1995年に法務省内に成年後見問題研究会が発足して以来、成年後見制度導入の検討が重ねられてきたが従来の制度への批判とともに、制度導入時期決定の契機となったのが介護保険制度の発足である。 福祉サービスの利用にあたって、行政処分である措置制度から受益者の意思決定を尊重できる契約制度へと移行が検討されていた(いわゆる「措置から契約へ」)。高齢者の介護サービスについては2000年から介護保険制度の下で利用者とサービス提供事業者の間の契約によるものとされることとなったが、認知症高齢者は契約当事者としての能力が欠如していることから契約という法律行為を支援する方策の制定が急務であった〔2003年からは身体障害者、知的障害者、障害児の利用する福祉サービスについても契約制度が導入されている(支援費制度)。2006年からは、精神障害者も含めた障害者自立支援法の下での障害福祉サービスに衣替えした。〕。 そこで、厚生労働省における介護保険法の制定準備と並行して法務省は1999年の第145回通常国会に成年後見関連4法案〔民法の一部を改正する法律案、任意後見契約に関する法律案、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、後見登記等に関する法律案〕を提出、1999年12月に第146回通常国会において成立した。その後、政省令の制定を経て2000年4月1日、介護保険法と同時に施行されることとなったのである。 こうした経緯から、介護保険制度と成年後見制度はしばしば「車の両輪」といわれる〔介護サービス契約のために後見人等が契約代理を行うことが想定されているが、現実には介護サービスを利用している認知症高齢者等のすべてに後見人がついているわけではなく家族・親族等が代理権ないまま契約を代行している例が少なくない。〕。 なお、制度上の名称には「成年」が含まれているが、未成年の知的障害者が成年に達して未成年後見が終了する場合に法定代理人がいなくなってしまうことを防ぐため、未成年者の段階でも成年後見の対象となりうる〔我妻榮、清水誠、田山輝明、有泉亨『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権 第2版追補版』日本評論社、2010年、741頁〕(民法7条、11条本文、15条1項本文の請求権者に未成年後見人、未成年後見監督人が入っているのもそのためである)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「成年後見制度」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Conservatorship 」があります。 スポンサード リンク
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