|
裁判官会議(さいばんかんかいぎ)とは、日本における裁判所の司法行政事務に関する議論を行う合議制の機関である。 == 概要 == 裁判官会議は、簡易裁判所以外の各裁判所に1つ置かれる。その裁判所に所属する裁判官全員(判事補を除く。ただし、判事補の職権の特例等に関する法律1条に基づき特例判事補は構成員となる。)から構成され、その裁判所の長が議長となる(裁判所法12条、20条、29条、31条の5)。 日本の裁判所における司法行政は、法律上は各裁判所の裁判官会議に基づいて行われるものとされている。しかし、最高裁判所の裁判官も含めて裁判官の仕事は非常に多忙であるため、実際の裁判官たちは裁判官会議に時間をかける余裕がない。その結果、日本の裁判官会議は最高裁判所事務総局が決めた事を追認するだけの形骸化した会議になり下がっているのが現状である。このため、日本の裁判所において実際に司法行政権を掌握しているのは、裁判官会議ではなく最高裁判所事務総局であると批判されている〔西川伸一『日本司法の逆説 最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち』110-114ページ、新藤宗幸『司法官僚 裁判所の権力者たち』189-196ページ。〕。 このような裁判官会議の形骸化について、全司法労働組合は「最高裁(最高裁判所)、下級裁(下級裁判所)における司法行政事務を行うのは、本来各裁判所の全裁判官の構成による裁判官会議の議によるものと裁判所法が規定している。しかし、下級裁判所事務処理規則の改正や各裁判官会議の議決等により、部総括裁判官(裁判長)の指名や一般職の任命・補職など多くの重要事項が、高裁(高等裁判所)長官・地裁(地方裁判所)所長や一定数の裁判官による常置委員会に移譲され、裁判官会議の実体が形骸化されており、これが最高裁(最高裁判所事務総局)による裁判官統制の体型的基礎となっているとの指摘がある」と説明している〔全司法労働組合『司法制度改革審議会意見書の分析と評価』 〕。 具体的な例として、前記の下級裁判所事務処理規則4条5項は、制定当時は「部の事務を総括する裁判官は(中略)、毎年あらかじめ、最高裁判所が、当該裁判所の意見を聞いて、指名した者とする。」となっており、下級裁判所の部総括裁判官(裁判長)の任命については各裁判所の裁判官会議の議に基づいて候補者を選考し、最高裁判所事務総局に推薦するものとされていた。ところが、この条項は、1955年(昭和30年)11月17日付をもって「部の事務を総括する裁判官は(中略)、毎年あらかじめ、最高裁判所が、当該高等裁判所の長官又は当該地方裁判所若しくは家庭裁判所の所長の意見を聞いて、指名した者とする。」と変更され、下級裁判所の部総括裁判官の任命については各高等裁判所の長官と地方・家庭裁判所の所長が裁判官会議の議によることなく独断で候補者を決め、最高裁判所事務総局に推薦するものと定められてしまった。これにより、下級裁判所の裁判官の人事に関する裁判官会議の機能は事実上完全に失われ、現在に至っている〔西川伸一『現代日本の司法官僚制』 〕。 裁判官会議はあくまでも司法行政事務に関する議事機関であり、裁判の方針について議論を行うものではない。 なお、簡易裁判所には、裁判官会議も裁判所の長も存在しないが、司法行政事務を掌理する裁判官(簡易裁判所判事)が1名、各簡易裁判所に置かれている(裁判所法37条)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「裁判官会議」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|