翻訳と辞書
Words near each other
・ 見眞大師
・ 見真大師
・ 見知らぬ
・ 見知らぬ世界
・ 見知らぬ乗客
・ 見知らぬ二人
・ 見知らぬ人
・ 見知らぬ人 (映画)
・ 見知らぬ人でなく
・ 見知らぬ国のトリッパー
見知らぬ女
・ 見知らぬ女からの手紙
・ 見知らぬ恋人
・ 見知らぬ明日
・ 見知らぬ橋
・ 見知らぬ街
・ 見知らぬ関西新発見!みしらん
・ 見知り
・ 見知り越し
・ 見知る


Dictionary Lists
翻訳と辞書 辞書検索 [ 開発暫定版 ]
スポンサード リンク

見知らぬ女 : ウィキペディア日本語版
見知らぬ女[みしらぬおんな]

見知らぬ女』あるいは『忘れえぬ女』(〔Hutchings, Stephen C. & Vernitski, Anat. "ussian and Soviet film adaptations of literature, 1900-2001: screening the word" . Routledge, 2004. 29. ISBN 0-4153-0667-1〕 、あるいは、〔:〔Wachtel, 58〕、、〔"Ivan Kramskoi ". russianartgallery.org. Retrieved on 17 March 2010.〕)は、ロシアの画家イワン・クラムスコイの作品。モデルはさだかではないが、そこに描かれた女性は「しずかなたたずまいとまっすぐな瞳」をそなえている〔Baumgaertner, Margaret Carter (Peggy).。"Ivan Kramskoy ". American Society of Portrait Artists. Retrieved on 17 March 2010.〕 。いまやロシアで最も有名な作品のひとつであるが、発表当時は高慢でふしだらな女性を描いたものだとして多くの批判を浴びており、今日の評価はひとえに人々の芸術観が変化したことによるものである〔"An Unknown Lady ". Tretyakov Gallery. Retrieved on 17 March 2010〕。
フレデリック・アンドレセンは、この女性がトルストイの小説「アンナ・カレーニナ」の女主人公に触発されたものである可能性を指摘している。同書が出版されたのは「見知らぬ女」が描かれる10年ほど前であり、実際にこの絵をカバーに採った版がいくつか存在する〔Page 95 - 〕〔Back Cover - 〕。トレチャコフ美術館に展示されているものの他に、やはり1883年のものとされる初期のヴァージョンがキールドイツ)のアートセンターに収められている。
「見知らぬ女」は絵画の歴史における肖像画の諸様式をまぜあわせて描かれている〔"Kramskoy, Ivan Nikolayevich ". Tretyakov Gallery. Retrieved 27 MArch, 2010.〕。雪景色を背負った若い女性は、誇らしげであり高慢そうにみえる。目鼻立ちは整っているが、絶世の美女というわけではない。その人となりは彼女の印象的なくちびる、物憂げな眼、濃いまつげといった表現によって露わになっている。まとっているのははやりの黒い毛皮のコートと帽子、薄い革手袋であり、ペテルブルクのアニチコフ橋に馬車をとめている〔背景にアニチコフ宮殿がみてとれる〕 。彼女がいったい何者であるのかは美術史家たちも明らかにすることができないままだ。クラムスコイは題に「見知らぬ女」とだけつけ、手紙や日記などでモデルについて言及することはしなかった。それが人々の好奇心をくすぐり、この絵画にほとんど不可解なほどの高い評価をあたえているのである〔 。

クラムスコイがこの絵を描いたのは晩年になってからである。彼の仕事ははじめから美術界の傍流におけるいわば反抗的なものであり、ロシアの美術アカデミーから追放されるまでに時間はかからなかった。しかし1883年ごろにはその名がよく知られるようになり、アレクサンドル3世といった最高のパトロンのもとで、その肖像画を描くまでになっている。そしてまたクラムスコイは、移動派の創設者であり指導者という顔ももっていた〔Wachtel, 59〕。しかし、「見知らぬ女」が初めて発表されたときのセンセーショナルな評判は、作品の審美的な側面によるものというより、そこに描きこまれた主題と関わっていた。この「見知らぬ女」は娼婦であると決めつけられ、無数の批判を浴びた。「馬車にのったコケット」の絵だと言う評者がいれば、「全身をビロードと毛皮でつつみ、華美な馬車の上から冷笑的で、訴えかけるようなまなざしをこちらに向ける、挑発的なまでに美しい女。路上で売りさばいた貞操の対価を装いとして身にまとう卑しい女を野放しにするような大都市の残りかすではないか」とまで言うものもいた〔〔。クラムスコイ自身はこう言っている。「いったいどんな女性なのかわからないと言う人もいます。慎ましやかなのか、それとも自分を売り物にしているのか。しかし彼女のうちには、あらゆるものがある」〔。パーヴェル・トレチャコフでさえ、はじめはこの作品を自身のコレクションに加えることをこばんでいたが、「見知らぬ女」の人気はすぐに不動のものとなっていった。クラムスコイに続く若きアーティストたちの間で、美しき罪というテーマが一般的なものとなったことも、その理由のひとつに挙げられる。「ただならぬ輝きを放ち、濃密に塗りこめられていながら、柔らかさがある。クラムスコイがその卓越した色彩感覚を存分にふるおうとしていることは明らかだ」〔。2008年、グッゲンハイム美術館キュレーターヴァレリー・ヒリングスはこう証言している。「じっさい『アンナ・カレーニナ』のような女としてみる人間は多い。彼女はそういったたぐいの特別な感情をいだかせる、特別なロシア人女性なのです」〔Benjamin, Scott. "Rethinking Russian Art ". CSB News, 8 January 2006. Retrieved on 17 March 2010.〕。

==脚注==

* Wachtel, Andrew. ''Plays of expectations''. University of Washington Press, 2007. 58. ISBN 0-2959-8647-6

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「見知らぬ女」の詳細全文を読む



スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース

Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.