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親授式 : ウィキペディア日本語版
勲章 (日本)[にほんの くんしょう]

本項では、日本の勲章(にほんの くんしょう)について解説する。
== 概要 ==
日本において勲章は、天皇の名で授与される〔1975年昭和50年)6月5日、第75回国会衆議院決算委員会、原茂議員に対する秋山進総理府賞勲局長答弁。〕。日本国憲法第7条7号は天皇の国事行為の一つとして「栄典を授与すること」を定め、同条を根拠に「栄典」の一つとして天皇が勲章を授与する。栄典授与の実質的決定権について日本国憲法には明文の規定がないが、日本国憲法第7条の助言と承認及び行政権の主体であることから内閣が実質的決定権を有する〔伊藤正己 『憲法(新版)』 弘文堂〈法律学講座双書〉、1990年、147頁〕。
勲章制度を定める法律はなく、政令(政令とみなされる太政官布告勅令)及び内閣府令(内閣府令とみなされる太政官達閣令)に基づいて運用されている〔。なお、栄典制度・叙勲制度に関しては、いくつかの点が議論となっている(栄典制度・叙勲制度に関する論点の節を参照)。
現在22種類存在する勲章〔勲章の種類及び授与対象 、内閣府賞勲局。〕は、明治8年太政官布告第54号「勲章制定ノ件」、明治10年太政官達第97号「大勲位菊花大綬章及副章製式ノ件」、明治21年勅令第1号「宝冠章及大勲位菊花章頸飾ニ関スル件」(平成14年(2002年)改正前は明治21年1月4日勅令第1号「各種ノ勲章等級製式及ヒ大勲位菊花章頸飾ノ製式」)及び、昭和12年勅令第9号「文化勲章令」を以て定められている。
現行22種の勲章は、菊花章桐花章旭日章瑞宝章宝冠章および文化勲章に大別される〔。菊花章(大勲位菊花章)と桐花章(桐花大綬章)は、「旭日大綬章又は瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のある者」に対して特に授与することができるものとされる〔勲章の授与基準 2003年平成15年)5月20日閣議決定。〕。旭日章、瑞宝章は「国家又は公共に対し功労のある者」に授与され、旭日章は「社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者」に、瑞宝章は「国及び地方公共団体の公務又は…公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者」に授与する〔。宝冠章は「特別ノ場合婦人ノ勲労アル者」に授与すると定められている(宝冠章及大勲位菊花章頸飾ニ関スル件1条1項)。宝冠章は現在、外国人に対する儀礼叙勲や皇族女子に対する叙勲など特別な場合に限り運用されている〔我が国の勲章の種類(宝冠章) 、内閣府賞勲局。〕。文化勲章は「文化ノ発達ニ関シ勲績卓絶ナル者」に授与される(文化勲章令、)。
叙勲は、春秋叙勲、危険業務従事者叙勲、高齢者叙勲、死亡叙勲、外国人叙勲の区分がある〔勲章・褒章制度の概要 、内閣府賞勲局。〕。春秋叙勲は、年に2回、春と秋に発令される定例の叙勲である。春秋叙勲は、春は4月29日昭和の日)、秋は11月3日文化の日)に発令され、毎回おおむね4,000名が受章する〔〔、1978年(昭和53年)6月20日閣議了解。〕〔、2003年(平成15年)5月16日内閣総理大臣決定、同20日閣議報告。〕。危険業務従事者叙勲は、警察官自衛官消防吏員刑務官海上保安官などの危険業務に従事した55歳以上の元公務員を対象として春秋叙勲と同じ日に発令され、毎回おおむね3,600名が受章する〔〔、2003年(平成15年)5月20日閣議了解。〕。高齢者叙勲は、春秋叙勲で受章していない功労者を対象として毎月1日に発令され、年齢満88歳に達したのを機に叙勲される〔。死亡叙勲は、叙勲対象となるべき者が死亡した際、随時叙勲される〔。外国人叙勲は、国賓等に対する儀礼的な叙勲と功労のあった外国人に対する叙勲があり、いずれも外務大臣からの推薦に基づいて行われる〔。なお、文化勲章は1年に1回発令され、11月3日の文化の日に、宮中において天皇から親授(直接授与)される〔。いずれの叙勲についても、官報の「叙位・叙勲」の項に、受章者の氏名と叙勲された勲章が掲載される(官報及び法令全書に関する内閣府令1条)。また、春秋叙勲、危険業務従事者叙勲、文化勲章の叙勲については、多くの新聞で受章者名等が報道される。
叙勲は、「勲章の授与基準」(2003年平成15年)5月20日閣議決定)〔に基づいて行われる。叙勲候補者には年齢満70歳以上であることなどの形式的要件のほか、「国家又は公共に対する功労」の内容や賞罰歴などの調査が行なわれる。この調査は徹底しており、刑罰の有無(道路交通法違反、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反による罰金刑を含む。)はもちろん、破産宣告破産手続開始決定の有無なども市町村長に照会され、選考の資料とされる〔(平成元年10月20日陸幕人計第322号)のうち、「刑罰等調書」の書式を参照。〕。
受章者の選考では、まず、内閣総理大臣が決定した「叙勲候補者推薦要綱」〔「」、「」、「」の各要綱。〕に基づいて、衆議院議長参議院議長国立国会図書館長最高裁判所長官内閣総理大臣各省大臣会計検査院長人事院総裁宮内庁長官及び内閣府に置かれる外局の長(公正取引委員会委員長、国家公安委員会委員長金融庁長官、消費者庁長官)から、内閣総理大臣に対して、受章候補者の推薦が行われる。次に、内閣総理大臣がこの候補者を審査して、閣議決定が行われる〔。その後、天皇に上奏して裁可を得た上で発令される。叙勲者の多くを占めるのは、各省大臣からの推薦(省庁推薦)によるものである。なお、危険業務従事者叙勲については、別途、選考手続が定められている〔(2003年(平成15年)5月20日閣議了解)、内閣府賞勲局。〕。このほか、2003年(平成15年)秋の叙勲より導入された一般推薦制度もある〔「春秋叙勲の候補者としてふさわしい者の推薦(一般推薦)について」 、内閣府賞勲局。〕。もっとも、2008年(平成20年)秋の叙勲における一般推薦による受章者は4028人中5人と、ごく少数にとどまっている〔。
勲章を受章した後に「死刑懲役又ハ無期若ハ三年以上ノ禁錮」に処せられるなど、勲章褫奪令(明治41年勅令第291号)に定められた事由が生じたときには、勲章を褫奪(ちだつ、剥奪)される。同令では、法令により拘禁されている間は勲章を佩用できないことなども定める。
日本国憲法第14条3項後段では「栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。」とされており、勲章を世襲することはなく、勲章を佩用(はいよう。着用)することができるのは授与された本人のみである。なお、本人またはその親族が受けた勲章は財産としての差押が禁じられている(民事執行法131条10号、国税徴収法75条1項9号)。また、授与された有体物としての勲章は財産権の対象として相続の対象となる。
勲章と同一又は類似の商標は商標登録することができない(商標法4条1項1号)、資格がないにもかかわらず勲章若しくは勲章に似せて作った物を用いた者は拘留又は科料に処される(軽犯罪法1条15号)など、勲章に関わる法的規制もいくつかある。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「勲章 (日本)」の詳細全文を読む



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