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線型代数学における計量ベクトル空間(けいりょうベクトルくうかん、)は、内積と呼ばれる付加的な構造を備えたベクトル空間であり、内積空間(ないせきくうかん、)とも呼ばれる。この付加構造は、空間内の任意の二つのベクトルに対してベクトルの内積と呼ばれるスカラーを対応付ける。内積によって、ベクトルの長さや二つのベクトルの間の角度などの直観的な幾何学的概念に対する厳密な導入が可能になる。また内積が零になることを以ってベクトルの間の直交性に意味を持たせることもできる。内積空間は、内積として点乗積(スカラー積)を備えたユークリッド空間を任意の次元(無限次元でもよい)のベクトル空間に対して一般化するもので、特に無限次元のものは函数解析学において研究される。 内積はそれに付随するノルムを自然に導き、内積空間はノルム空間の構造を持つ。内積に付随するノルムの定める距離に関して完備となる空間はヒルベルト空間と呼ばれ、必ずしも完備でない内積空間は(内積の導くノルムに関する完備化がヒルベルト空間となるから)前ヒルベルト空間 (''pre-Hilbert space'') と呼ばれる。複素数体上の内積空間はしばしばユニタリ空間 (''unitary spaces'') とも呼ばれる。 == 定義 == 本項ではスカラーの体 は実数体 または複素数体 の何れかを意味するものとする。 厳密に言えば、内積空間とは体 上のベクトル空間 であって、内積と呼ばれる写像 : で以下の公理を満足するものを備えたものを言う。 * 共軛対称性: * 第一引数に対する線型性: * 正定値性: のときは共軛対称性(エルミート対称性)は単に対称性に帰着される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「計量ベクトル空間」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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