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認証官認証式 : ウィキペディア日本語版
認証官[にんしょうかん]
認証官(にんしょうかん)とは、憲法上あるいは法律上においてその任免にあたって天皇による認証が必要とされる官吏の通称〔樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅰ(前文・第1条~第20条)』 青林書院、1994年、121頁〕。ここでいう「官吏」は一般職及び特別職の国家公務員を指す。なお、「認証官」は法律上の用語ではない〔佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、87頁〕。
== 概要 ==

=== 認証の意義と認証官の範囲 ===
「認証」とは対象となる行為が権限ある機関によって正当な手続を経て行われた事実を確認し公証する行為を指す〔阿部照哉著 『青林教科書シリーズ 憲法 改訂』 青林書院、1991年、34頁〕〔佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、91頁〕〔樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅰ(前文・第1条~第20条)』 青林書院、1994年、119頁〕。天皇による認証は日本国憲法第7条に基づく国事行為の一つであり、同条による認証としては、いわゆる認証官の任免の認証(日本国憲法第7条第5号)のほか、全権委任状及び大使・公使の信任状の認証(日本国憲法第7条第5号並び書き)、恩赦の認証(日本国憲法第7条第6号)、批准書及び法律の定めるその他の外交文書の認証(日本国憲法第7条第8号)がある。
具体的にどの官職が認証官にあたるのかについては憲法または個別の法律(例:内閣法宮内庁法など)より規定されるが、国務大臣高等裁判所長官など、内閣裁判所に置かれる官職のうち高位にあるもののみが認証官とされている。ただし、「国権の最高機関」(憲法41条)である国会に置かれる職(衆議院議長参議院議長など)は天皇による任免・認証の対象とされていない。
認証官とされた官職であっても「任免」(任命及び免官)を行うのはあくまで日本国憲法や各法律に規定された任命権者(内閣など)であり、天皇はその任免の「認証」を行うのみである。認証を欠いていた場合にも対象となる行為そのものの効力には影響しない〔。このため、認証自体は形式的な行為に過ぎないが、宮中にて行われる儀式と併せて当該官職あるいはその地位にある者の権威を高める効果を持つ。
中央省庁再編前の政務次官は認証官ではなかったが、再編後に新設された副大臣は認証官となり、その地位の向上が図られている。
認証には内閣の助言と承認を要する(日本国憲法第7条第5号)。ただし、新内閣成立時における国務大臣の任命についての認証については内閣総理大臣以外の国務大臣が未だ任命されていない。したがって、この場合には性質上、新たに任命された内閣総理大臣のみによって内閣の助言と承認が行われることになる〔佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、56頁〕。
なお、内閣総理大臣最高裁判所長官の2つの官職のみは、任命に先立つ「指名」は前者は国会、後者は内閣からなされるものの、官職への任命行為は天皇が自ら行う(日本国憲法第6条)。したがって、内閣総理大臣と最高裁判所長官は認証官には通常含まれない。内閣総理大臣や最高裁判所長官を任命する儀式は「親任式」と呼ばれている〔親任式  宮内庁〕〔なお、衆議院においては、官報における国会事項欄では「親任式」でなく「内閣総理大臣任命式」又は「内閣総理大臣の任命式」という表記を使用している。〕。大日本帝国憲法下では天皇が任命される官吏について「親任官」と呼称していたが、現憲法下では儀式の呼称として「親任」の文字が残るものの官職の区分としての「親任官」は用いられていないため、内閣総理大臣と最高裁判所長官を一括して「○○官」で表す区分呼称は存在しない〔日本国憲法の施行日(1947年昭和22年)5月3日)以降においても、大蔵省・外務省・農林省の省令や訓令の条文中に「親任官」表記を含む規定が残されていたが、いずれも同年7月7日に「認証官以上の職に在る者」という表現に改められたため、現憲法下の官吏に対する「親任官」表記の使用は同年7月6日限りで正式に消滅したものと認められる。〕。ただし、公的な行政権の行使等に関しない場面においては、宮内府・宮内庁が新年祝賀の告示文中などに「親任官」の表記を用いた例もあったが、1951年(昭和26年)6月16日付け官報の皇室事項欄掲載の「皇太后大喪儀」(貞明皇后の葬儀)の式次第に関する報告を最後に使用されなくなった。なお、旧憲法下において親任官であった者への恩給など、過去の官吏に言及する場合については、当然のことながら今なお立法・行政・司法の公的な場で「親任官」の表現は使用され得る。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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