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貝塚[かいづか]
貝塚(かいづか)は、古代の人類のゴミ捨て場のうち当時の人々が捨てた貝殻が積み重なったもののことである。貝塚には、貝殻や獣や魚の骨など食料の残滓だけでなく、破損した土器や石器、骨角器などの道具類、さらには焼土や灰なども一緒に捨てられている。貝塚は、それらの中の貝殻が占めている堆積層を指すのが普通である。ただし、純粋に貝殻だけで堆積層をつくっている貝塚もみられる。 == 概説 == 地球環境が温暖化へと移り変わっていくにつれて、その影響は人類にも及んできた。その影響の一つに食糧資源にもあらわれ、ナウマンゾウやオオツノシカなどの大型獣が滅んでいった。その新しい環境に即し、人類は生活様式を変革していかねばならなかった。その一つが海産資源の活用であり、結果、ゴミ捨て場である貝塚が形成されるようになった。 生活遺構であるため貝塚からは貝殻のほかに土器・石器なども出土する。貝塚では、貝殻の炭酸カルシウム成分のために酸性土壌が中和され、土壌が有機物由来の考古遺物を保護する作用を持つため、人骨や獣骨、魚骨、骨角器などが多く出土する。貝塚は文字を持たなかった社会を研究する上で重要視されている。 貝塚の研究は19世紀後半にデンマークで始められた〔19世紀後半、ヨーロッパ先史考古学の指導的位置にあったデンマーク国立博物館長ヴォーソーは、動物学者スティーンストラブや、地質学者フォルヒハマーとともに貝塚が自然堆積ではなく人造であることを明らかにした(佐原真「日本近代考古学の始まるころ」金関恕・春成秀爾編『佐原真の仕事1 考古学への案内』岩波書店 2005年)236ページ〕。貝塚は世界の各地で発見されており、それまでは自然堆積で作られていたものと考えられていたが、貝殻のほかにも動物の骨や石器・土器が発見されたため、人間の食物の残骸が集積したものと認められるようになった。世界的には、日本をはじめ、カナダのブリティシュコロンビアを中心とした北西海岸、アメリカメイン州を中心とした大西洋岸、デンマークを中心としたヨーロッパ地域のほぼ同緯度で氷河期が終わった以降に貝塚が出現している。 中国・朝鮮半島・極東ロシア・日本列島の東アジアの沿岸海域は世界的に見ても貝塚が濃密に分布する地域である。〔「貝塚-狩猟と漁労」樋泉岳二 『日本の考古学』奈良文化財研究所編集 2007年4月〕
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「貝塚」の詳細全文を読む
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