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貨幣改鋳(かへいかいちゅう、''money recasting'' )は、経済政策の1つ。 == 改鋳の目的 == 改鋳とは、市場(しじょう)に流通している貨幣を回収してそれらを鋳潰し、金や銀の含有率や形を改訂した新たな貨幣を鋳造し、それらを改めて市場に流通させることである。改鋳によって以前より貨幣量を増やし、増えた分を益金(シニョリッジ)として得ることを目的として行われるものが多かった。 貨幣量を増やす方法は、元禄改鋳を例にとると、金純度86パーセントの小判の金の含有量を56パーセントに減らしている。純分量が約3分の2に減ったことで、従来の小判2枚分の金で改鋳後の質を落とした小判を3枚鋳造できる計算になる。つまり、改鋳によって従来の貨幣量を約1.5倍に増やすことができ、その増えた0.5倍分の小判が幕府の益金となる〔金含有量15グラムの慶長小判(純度86パーセント) × 2 = 金30グラム” ⇒ “金含有量10.2グラムの元禄小判(純度56パーセント) × 3 = 金30.6グラム〕。このようにして貨幣の質を落とすことによって利益を得る政策を、新井白石は「陽(あらわ)にあたえて陰(ひそか)に奪う術」〔『折たく柴の記』。〕として激しく非難した。 こうした貨幣量を増やす改鋳は主に、支出の増加により悪化した財政の補填、大火や地震などの災害復興のための費用、戦費や軍隊の維持費などを捻出するために行われた。その反対に、貨幣量を減らす改鋳は、貨幣を貴金属の含有量を減らされる以前の質の高いものに戻すために行われた。これは貨幣量を減らすことが目的ではないが、増加した貨幣の全てを質の良いものにするだけの貴金属が確保できないために、結果的に貨幣量が減ることになったのである。 ローマ帝国では、帝国の版図拡大と辺境のゲルマン諸国の侵攻の活発化によって軍事費が拡大し国家予算の70パーセント以上を占めるようになったこと、東方との貿易で香料や宝石、陶磁器などを購入するために金銀貨が国外に流出したこと〔インドの各地にローマの貨幣が輸出されたことが『エリュトゥラー海案内記』に記載されており、大プリニウスもローマの上流階級が東方の奢侈品を購入するために、国内の金銀が失われていると記している。〕から、長年にわたって貨幣の改鋳が繰り返された(#ローマ帝国参照)。 また、実物貨幣は素材が貴金属であるために、金銀比価の変化に伴う金と銀の相場の変動によって、貨幣そのものが投機の対象となる。そのため、海外の金銀交換レートの違いによって国内の貨幣が流出してしまう事態が生じる(#安政・万延の改鋳、#イギリス参照)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「貨幣改鋳」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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