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貰い子殺人[もらいこさつじん] 貰い子殺人(もらいこさつじん)とは、不倫もしくは父親不明などといった何らかの事情により育てられない新生児を育てるといって貰い子にし、親から養育費を受け取った後で殺害する殺人である〔村野薫『日本の大量殺人総覧』p69〕。第二次世界大戦前、特に多く発生した。 ==概要== 第二次世界大戦前の日本では、刑法で堕胎は違法とされ、人工中絶も合法化されていなかった。そのため、不倫の子や父親不明の私生児が少なくなかった。特に、不倫の子の誕生は母親にとってはそれだけで離婚理由になるばかりでなく姦通罪で収監される危険があった。また、社会自体が貧しかったため、既に多くの子供のいる家庭では養うことはできない場合も多かった。 これらの事情により、育てられない新生児などを、ある程度の養育費をつけて貰い子、すなわち、里子に出す場合が少なくなかった。しかし、中には養育費目当てで貰い子を引受け、金銭受領後に邪魔になった新生児を殺害する者が存在した。被害者が新生児であるうえに、実親も多くは子供の運命に関心のないことが多かったことから、事件が露見しにくかった。そのため、大量殺人に至った場合も多かった。また、1955年ごろまでの医療技術・医療体制・出産に対する体制では、新生児・乳児の死亡は珍しいことではなかったため、医師も訴え出ればそれほど深く調べずに死亡診断書を書いてしまうことが多く、こうした犯罪の温床になっていた。 現在ではこのような養育費をつけて貰い子にだすことが多くないことと、助産師制度が国家資格化され医療と一体化されたこと、新生児死亡率が極度に下がり不審死と自然死が厳密に判定できるようになったことなどから、同種の犯罪はほとんど発生していない。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「貰い子殺人」の詳細全文を読む
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