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貴州料理(きしゅうりょうり、中国語 貴州菜、、黔菜 )は、中華人民共和国貴州省の地方料理。四川料理系の漢族の料理のほか、ミャオ族、トン族、プイ族、スイ族等、貴州省の少数民族料理をも含めることが多い。 == 概要 == 貴州省は略称を「黔」(けん)といい、貴州省の料理は、黔菜の他、「黔味菜」と呼ばれることもある。貴州料理は、中華料理の四大菜系の中では、四川料理の系統に含まれる。これは四川省に隣接する地理的な要因と、唐辛子を用いた辛い料理が多いという特徴が共通しているためである。しかし、花椒を併用する四川料理が「麻辣」(しびれる辛さ)と表現されるのに対して、貴州料理は「酸辣」(すっぱく辛い)もしくは「香辣」(香り高く辛い)と表現されることが多く、酸味を加えた料理が好まれるという違いがある。トウガラシを好む点では、やはり隣接する湖南省の湖南料理または雲南省の雲南料理との共通性もあるが、他の食材との組み合わせなどで、違いが生じている。中国西南部の人の味覚に関する中国語の俗諺に、「四川人不怕辣,湖南人辣不怕,貴州人怕不辣」というものがある。四川人は辛さを恐れず、湖南人は辣くとも恐れず、貴州人は辛くないのを恐れる〔重慶人、長沙人、貴陽人と言い換えられることもある。〕、という様な意味で、三省の内で貴州の人が最も辛いもの好きであることを言っている。辛さに敏感な貴州では、辛い料理を「油辣」(ラー油の辛さ)、「煳辣」(焦がしトウガラシの辛さ)、「干辣」(干しトウガラシの辛さ)、「青辣」(青トウガラシの辛さ)、「糟辣」(糟漬けトウガラシの辛さ)、「酸辣」(すっぱく辛い)、「麻辣」(花椒でしびれるように辛い)、「蒜辣」(にんにくで辛い)の8分類が可能ともいわれる。 貴州料理のもう一つの特徴は、「蘸水」(チャンスイ)と呼ぶつけだれを使う料理が多い事で、料理の種類に合わせて異なる味のたれを用意するのが当たり前となっている。主に、醤油、酢、トウガラシ、おろしニンニク、ショウガ、ネギ、コリアンダー、花椒、ドクダミなどを味付けに用い、トウチ、ウイキョウ、揚げた大豆、落花生、そぼろ肉などを入れることもある。調理方法としては、炒める、少量の油で揚げ焼きにする、煮込むという料理が多く、鍋料理も盛んである。 貴州省内でも、地域や民族によって、差異があり、大雑把に北部の黔北菜、中央部の貴陽菜、漢族以外の少数民族菜の3つに分ける場合がある。少数民族の料理も味付けに類似性はあり、酸味を好むミャオ族には「三天不吃酸、走路打蹿蹿」(三日すっぱいものを食べないと、歩く足がおぼつかなくなる)という民謡がある。酸味は醸造酢を使うのではなく、家庭で「酸壜」という甕を使って醗酵させた野菜や米のとぎ汁を使う。 貴州省は、全体的に雲貴高原の涼しい気候と石灰岩地の痩せた土地柄のため、山野菜や淡水魚を用いた素朴な料理というイメージがある。蕨、きのこ、筍、ドクダミやウサギなどの山の幸はよく使われる。以前は、現地で「娃娃魚」と呼ぶチュウゴクオオサンショウウオのスープも名物であったが、現在は保護されている。特産の生薬である天麻もスープなどの料理に取り入れられる場合がある。果実では、「毛辣角」と呼ばれる酸っぱいトマトやバラ科の刺梨が多く自生しており、それぞれ酸湯魚や刺梨酒、刺梨鴨などに使われる。しかし、近年は、養殖や輸送、保存技術の発達によって、ホテルや高級レストランでは海水魚やエビなどを使い、貴州風の味付けをし、また見栄えにもこだわった料理も作られるようになっている。 なお、四川料理として有名な「宮保鶏丁」について、これを生み出した丁宝楨(丁宮保)が平遠(現織金県)の人なので、貴州料理だという主張する人もいる。重慶の料理として知られる「辣子鶏」も糍粑辣椒という肉厚の唐辛子で作ると貴州の料理となる。 貴州省は茅台酒の産地でもあり、涼しい気候のため、辛い料理に合う白酒が好んで飲まれてきた。他にも董酒、小糊涂神、畢節大麹などの著名な白酒や、ミャオ族伝統の黒いもち米で醸造する黒糯米酒などもある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「貴州料理」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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