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賠償責任保険普通保険約款(ばいしょうせきにんほけんふつうほけんやっかん)とは、偶然な事故によって他人の生命・身体を害したり、または他人の財物に損害を与えたために被保険者が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害を填補する保険の共通事項を規定したものである。 賠償責任保険普通保険約款(普通約款)は、かつて米国のGeneral Liability Policyを参考に、大企業から中小企業、一般家庭にいたるまでの各種多様な危険を対象とする賠償責任保険の契約のベースになるものとして、また、大量・均質な契約を迅速・低コストで締結するために便利な契約形態として作成された。他方、普通約款は、各保険の共通事項を定めたにすぎず、実際の保険契約締結の際には、対象とする事故等を明確に規定するため必ず1つ以上の特別約款が付帯されなければならず、また、具体的な事項は保険証券の記載によるなど、普通約款だけでは契約書として完成していない点は、分かりにくさのもととなっている。また、保険証券の発行を前提としている点は、正確を期す面もあるが、他方で迅速化の障害ともなっている。 普通約款には、次の自動付帯される特約条項のほか個別に付帯される特約条項があり、普通約款と一体となって適用・解釈される。 * 原子力危険免責 * アスベスト危険免責 * 汚染危険免責 * 専門職業人危険免責 更に、約款(普通約款・特別約款)・特約条項の形式を取らず、重要事項等説明書などに記載のある次の事項も契約の一部を構成している。 * クーリングオフに関する事項 * 個人情報の取扱に関する事項 なお、特別約款の規定は普通約款の規定に優先し、特約条項の規定は約款・特別約款に優先する。特約条項相互の優先劣後は各特約条項の規定による。 個人向け賠償責任保険は、保険業法上、保険契約者保護の観点から新設および内容変更には認可が必要とされている。他方、企業向け賠償責任保険は、既に届出のある内容・趣旨に逸脱せず、また、偶然な事故を対象とする損害保険の本質や公共性に反しない限り、補償内容等を特約あるいは特約書により変更することが可能である。裁判実務においては、約款の解釈が不明な場合、「作成者不利の原則」により、保険会社に不利な解釈、裏返すと被保険者有利に解釈されている。 現行の標準的な普通約款の規定を機能別に再整理すると下記のとおりである。 また、普通約款に関しては、規定の明確化や被害者保護、国際化の観点からの見直しが各方面から提案されており、主なものを末尾に掲げるが、なお今後の課題とされている。 == 用語の定義 == * 偶然 被保険者が予測できなかったものを指し、事故の原因または結果のいずれかが偶然であるものをいう。なお、傷害保険とは異なり「急激」、「外来」の要件は必要としていない。 * 身体障害 他人の生命または身体を害することをいい、精神的苦痛を与えたに過ぎない場合や、名誉毀損にとどまる場合を含まない。 * 財物 有体物をいい、動産・不動産のいずれをも含む。また、水、ガス等の液体、気体を含むが、電気、熱、エネルギー、ソフトウェア・データや債権、知的財産権等の権利を含まない。 * 損壊 滅失、き損、汚損、つまり、物理的破損、使用価値・交換価値の滅失・減少をいい、紛失、盗取は含まない。 * 1回の事故 発生時間・発生場所を問わず、同一の原因から生じた(一連の)事故をいう。 * 排水(Drain) とは、汚染した、または不要な水を施設の外部に排出することをいう。 * 排気(Exhaust) とは、汚染した、または不要な気体を施設の外部に排出することをいう。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「賠償責任保険普通保険約款」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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