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賭博依存症 : ウィキペディア日本語版
ギャンブル依存症[ぎゃんぶるいそんしょう]

ギャンブル依存症(、ギャンブルいそんしょう、ギャンブルいぞんしょう)とは精神疾患のひとつで、賭博(ギャンブル)に対する依存症である。ギャンブルを渇望する、ギャンブルをしたいという衝動を制御することができない、ギャンブルをするせいで借金など社会生活上の問題が生じているにもかかわらずやめられない、といった状態が繰り返され、身体的、心理的、社会的健康が害されたり、苦痛であったりする〔DSM-5、585-589(英語版)〕。DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)やICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版)など診断基準でいう、ギャンブル障害(ギャンブリング障害:DSM5の場合、ギャンブル障害は和訳)、病的賭博病的ギャンブリング () を指す〔DSM-5、585-589(英語版)〕。診断基準にはギャンブル依存症はなく、ギャンブル依存症という言葉を使う場合には「いわゆるギャンブル依存症」とする場合が多い〔久里浜医療センター病的ギャンブリング外来HP:http://www.kurihama-med.jp/gamble/index.html〕 。
日本のギャンブル障害については三つのタイプに分けた対応が提案されている〔宮岡ら、病的ギャンブリング「いわゆるギャンブル依存」の概念の検討と各関連機関の適切な連携に関する研究、2013〕 。タイプⅠ(単純嗜癖型)、タイプⅡ(他の精神障害先行型)、タイプⅢ(パーソナリティ等の問題型)で、タイプⅠでは、GA、リハビリ施設、カウンセリングルーム等の紹介、本人の同意の上での家族等による金銭管理、家族への疾病教育、ギャマノン等の紹介、が医療機関の対応フローチャートとして提案されており、借金等の問題の安易な解決はしない、ことが示されている。タイプⅡでは、併存する精神障害(大うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害、アルコール使用障害など)に対する治療から、タイプⅠ同様の対応へ、ただし、借金は状態に応じ対応。タイプⅢでは、併存する精神障害(反社会的パーソナリティ障害、発達障害、認知症、器質的な問題など)に対する治療と有効と考えられる社会資源の活用から、タイプⅠと同様の対応へ、ただし、借金は状態に応じ対応。サンプルが少ないが、タイプⅠが27例、タイプⅡが10例、タイプⅢが10例、報告され、他の精神障害の併存が相当にあることが推測される〔宮岡ら、病的ギャンブリング「いわゆるギャンブル依存」の概念の検討と各関連機関の適切な連携に関する研究、2013〕 。
ギャンブルへの依存は長らく意思薄弱・性格未熟など本人の資質の問題とされてきた〔〔が、1970年代以降、精神疾患として認識する動きが広がった〔〔。治療には数年を要し〔、治癒したといえるためにはギャンブルを完全に絶つ必要があり〔、長期間ギャンブルを絶つことに成功した後でも再びギャンブルに手を出すとたちまち症状が再発し、「ギャンブル依存症は治らない」といわれたこともあった〔。しかし、2000年以降の研究では、いわゆるギャンブル依存には自然回復が多数あることが指摘され、上記のようにギャンブル障害(いわゆるギャンブル依存)が進行的、不可逆的な障害であるという理解があらためられつつある〔DSM-5、585-589(英語版)〕。河本らによれば、ギャンブルを断つことを最優先すべき群はギャンブリング障害の10-60%と見積もられ、必ずしも断ギャンブリングが治療上必須とは言えない〔Hodgines 2006〕〔 Grant 2010〕〔 Komoto 2014〕。
治療法としては、有効な治療薬がなく、他の依存症と同じように認知行動療法が最も有力と考えられている〔〔。依存者自身のみならず周囲にいる人間への影響も大きく、周囲の人間が傷つく度合いにおいて、ギャンブル依存症を超える病気はないといわれ〔、とりわけ家族については、患者本人とは別にケアを行うことが必要とされてきた〔帚木2004、135-136頁。〕。一方で、久里浜医療センターの病的ギャンブリング(いわゆるギャンブル依存)外来では、6回の面接を通して、ギャンブルを行う目的の整理などの認知行動療法を行うことで良好な成績を収めつつあり、隔離的な対処の弊害も指摘されている〔久里浜医療センター病的ギャンブリング外来HP:http://www.kurihama-med.jp/gamble/index.html〕〔 Komoto 2014〕。
== 症状 ==

=== 依存症としての症状 ===
一般に、依存症においては以下の6つの特徴が見られる〔帚木2004、41-43頁。〕。
#ある物質や行動への渇望。
#渇望する物質の摂取や行動の制御困難。
#離脱症状(摂取や行動が途切れた際に起こる様々な症状。発汗、手の震え、不眠、幻視など)。
#耐性(物質の摂取量が増加する、行動が頻繁になる)。
#渇望する物質の摂取や行動以外に対する関心の低下。
#渇望する物質や行動に起因する障害があるにもかかわらず、摂取や行動を継続する。
ギャンブル依存症の場合もすべての特徴が見られる〔。ギャンブル依存症とは次のような症状を呈す依存症、精神疾患である。
#ギャンブルを渇望する。
#ギャンブルを制御することが困難である。
#ギャンブルをしないと離脱症状に見舞われる。
#ギャンブルをする頻度が増える、賭け金が増加する、リスクの高い賭け方をするといった耐性が生じる。
#ギャンブル以外の事柄への関心が低下する。
#ギャンブルをするせいで借金などの問題が生じているにもかかわらずやめられずに続けてしまう。
離脱症状は薬物依存症におけるものがよく知られており、アルコール、覚醒剤などの物質が体内に入った後で摂取されなくなり血中濃度が低下することで引き起こされる。ギャンブル依存症は薬物依存症と異なり物質を体内に取り込むことがないため、離脱症状が起こらないという誤解が生じがちであるが、実際にはギャンブル依存者がギャンブルを絶つと集中力の低下や感情の乱れ、発汗、手の震え、不眠、幻視などの離脱症状に見舞われる〔帚木2004、42・112-113頁。〕。
ギャンブル依存者はギャンブルが楽しくてやめられないと考えられがちであるが、心理カウンセラーの丹野ゆきによると、実際には「やめなければ」という思いや借金に対するプレッシャーなど苦しさを感じつつギャンブルをしている場合がほとんどだという。丹野は、不快な感情やストレスから逃れようとしてギャンブルをした結果苦しさを味わい、さらにストレスを感じてギャンブルに走る「負のスパイラル」が存在すると指摘している〔丹野2010、48-51頁。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ギャンブル依存症」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Problem gambling 」があります。



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