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赤木範陸 : ウィキペディア日本語版
赤木範陸[あかぎ のりみち]

赤木 範陸(あかぎ のりみち、1961年 - )は、現代日本洋画家横浜国立大学 大学院 教授。
== 概要 ==

赤木範陸の作品は地塗りを施していない亜麻布を背景に用いており、そこに現れている色は、通常私たちが知っている絵具に由来するではなく、たとえば布が濡れた時に出るような濡れ色とでもいうような色で描かれた不思議な明暗の画肌が特徴である。これは作品に特殊に処理した蜜鑞で対象(モチーフ)の暗部の暗い調子を生の亜麻布に染み込ませたためである。これまでの既存の絵画の観念からすれば、絵画はキャンヴァスなどの支持体の上(表面)に絵具が載せら、重ねられることで成立するが、赤木の場合はこの絵の具層に相当するものが無く、その代わり亜麻布の内部に様々に異なる蜜蝋の濃度を蓄積され、それが結果的には麻布の表面上に鑞の染みとして濡れ色に現れている。赤木はこの方法で「色を使わない現代絵画技法」として古代のエンカウスティーク技法を自らの独自の絵画技法として完成させた。赤木自身もこの絵の具を使わない絵画は古代のエンカウスティーク技法を「色を使わない事で現代に再生させた」〔大分市美術館「錬金術師の軌跡」展図録087~089〕と言っている。絵画における重要な要素と言える、形態や色彩の省略ないし単純化を試みるという手法は現代ドイツ美術における抽象表現の中枢をなす概念に由来するものであり、赤木がミュンヘン留学時代に現代ドイツ絵画理論の洗礼を受けている証左でもある。しかしながら赤木が試みたのは自らの作品への現代ドイツ芸術の抽象理論の導入であって、自らの作品自体の抽象化ではないと2001年の大分市美術館の回顧展図録の中で述べている〔大分市美術館「錬金術師の軌跡」展図録087~089〕。またその染みの様に現れる絵画の起源あるいは由来について赤木は、十字架の横木を担がされ鞭で打たれながらゴルゴタの丘に向かうイエスの顔をヴェロニカ(後に聖女とされる)が拭った麻布に、十字架にかけられ神となったイエスの顔が染みのように浮かび上がったという「ヴェエロニカの布」「聖顔布」を挙げている。神の似姿(本質)がヴェロニカの布に写し出されたように、赤木自身も自らの絵画に似姿としての対象の本質を持たせたいのだと語っている。
赤木の初期の作品は卵黄テンペラ鑞テンペラなどの様々なテンペラ技法や15世紀頃にフランドルで発明された混合技法等で描かれ、画風は年代により近年まで極端に変化していることから、これも赤木作品の特徴であると言える。1990年あたり以降からエンカウスティーク(、、)という世界最古の高等な古代の絵画技法を改良した、絵具を使わない濡れ色の絵画作品を発表している。絵具を使用しないで写実的に描いた画家は古代から現代まで赤木の作品を除いては存在してない(絵画が絵具を用いたものである以上、色を使わない絵画技法は論理上不可能)。この事からも赤木の色を使わない絵画の試みは、古い技法を使った新しい絵画として興味深い。色を使わないということに言及すればそれは還って、赤木の感性は色に対して豊かであると同時にある意味において非常に過敏であるといえるのではないだろうか。逆説的ではあるが、色に敏感であるがゆえに、(色を使う事に対する恐怖のような感覚のゆえに)麻布にしみ込む蝋で微妙な調子の変化を捉えようとしたのではないかと推察する事ができる。近年では、この美しい濡れ色の上に目を惑わすような、入り組んだテンペラのハッチングによる色彩の不可思議な効果が加えられた作品のように、色彩表現に回帰したかに思える作品もある。また蜜蝋の調子にモデリングを強調するようなハッチングによる明部の浮出しによる絵画的密度の付加も見られる。
美術評論家の米倉守〔大分市美術館赤木範陸展図録01’014〜016〕、元ザルツブルク大学教授で美術史家のフリードリッヒ・ピール〔赤木範陸作品集91’末尾〕、レンバッハハウス美術館館長で美術史家のヘルムート・フリーデル〔大分市美術館赤木範陸展図録01’010〜012、102〜103〕らによる評論があり、それぞれに非常に高く評価されている。日本国内でのエンカウスティーク技法研究の第一人者であり、画家。横浜国立大学で後進の指導にもあたっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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