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超越数(ちょうえつすう、)とは、代数的数でない数、すなわち有理係数の代数方程式 : (''n'' ≥ 1 かつ、各 ''ai'' は有理数) の解とならないような複素数のことである。有理数は一次方程式の解であるから、超越的な実数はすべて無理数になる。超越数論は、超越数について研究する数学の分野で、与えられた数の超越性の判定などが主な問題である。 よく知られた超越数にネイピア数(自然対数の底)や円周率がある。ただし超越性が示されている実数のクラスはほんの僅かであり、与えられた数が超越数であるかどうかを調べるのは難しい問題だとされている。例えば、ネイピア数と円周率がともに超越数であることがよく知られているにもかかわらず、それをただ足しただけの + ''e'' すら超越数かどうか分かっていない。 代数学の標準的な記号 で有理数係数多項式全体を表し、代数的数全体の集合を、代数的数 algebraic number の頭文字を使って と書けば、超越数全体の集合は : となる。 == 超越数の例 == 最初に証明した人を括弧内に記述するが、特別な条件の場合に対しては、別な人が既に証明しているものも多々ある。ただしそれらの詳細についてはここの一覧では触れない。詳細は、各記事ならびに参考文献などを参照のこと。 (1) 超越数となる定数の例 *自然対数の底 。 (エルミート (Ch. Hermite)) *円周率 。 (リンデマン (F. Lindermann)) *, 。 (ネステレンコ (Yu. V. Nesterenko)) *正の整数を小さいほうから順番に並べた小数であるチャンパーノウン定数 0.123456789101112… 。 (マーラー (K. Mahler)) *連分数展開が である無理数。但し、 は2以上の整数であり、 はフィボナッチ数列。 (クヌース (D. Knuth)) *チャイティンの定数 Ω 。 *を正整数として、ある超越数の乗は超越数である。 (2) 初等関数の特殊値が超越数となる例 *代数的数 に対する、 。 (リンデマン) * が有理数ではない代数的数 に対する、 。 (ゲルフォント (A. O. Gel'fond)、シュナイダー (Th. Schneider)) *代数的数 に対する、 。 (ベイカー (A. Baker)) *代数的数 に対する、, , 。 (リンデマン、ワイエルシュトラス (K. Weierstrass)) *有理数ではない代数的数 に対する、, , 。 (ゲルフォント、シュナイダー) *代数的数 に対する、, , 。 (ベイカー) *代数的数 に対する、, , 。 (リンデマン、ワイエルシュトラス) * が有理数ではない代数的数 に対する、, , 。 (ゲルフォント、シュナイダー) *代数的数 に対する、, , 。 (ベイカー) * を満たす代数的数 に対する、 。 (ゲルフォント、シュナイダー) *代数的数 に対する、 。 (リンデマン) *乗法的独立〔整数 に対して、 ならば、 が成り立つとき、 は、乗法的独立であるという。〕である、0, 1 ではない代数的数 に対する、 。 (ゲルフォント、シュナイダー) *代数的数 に対する、 。 (ベイカー) (3) 特殊関数の特殊値が超越数となる例 *正整数 に対する、ゼータ関数 。 (リンデマン) * を、不変量 が代数的数であるワイエルシュトラスの 関数としたとき、定義域内の任意の代数的数 に対する 。 (シュナイダー) * をクラインのモジュラ関数とし、 を、上半平面内の3次以上の代数的数としたときの 。 (シュナイダー) * に対する、位数 0 の第1種ベッセル関数 。 (ジーゲル (C. L. Siegel)) * に対する、合流型超幾何級数 ( は0以下の整数以外の有理数) 。 (シドロフスキー (A. B. Shidlovsky)) *ガンマ関数 。 (チュドノフスキー(G. V. Chudnovsky)〔 であるので、 が超越数であることは、チュドノフスキー以前から知られていた。〕) *ベータ関数 。 (ジーゲル、シュナイダー、チュドノフスキー) *ヤコビのテータ級数の値 〔但し、ここでは、テータ関数の第2変数 を、 で変数変換した級数で考えている。〕 。 (ネステレンコ) (4) ベキ級数で表される関数の特殊値が超越数となる例 *リウヴィル級数: である代数的数 に対する、 。 (マーラー) *フレドホルム級数:2以上の整数 と、 である代数的数 に対する、 。 (マーラー) *自然数列 と、 である代数的数 に対する、 。 (西岡) * 、整数 、 である代数的数 に対する、 。 (田中) *ヘッケ=マーラー級数:無理数 と、 である代数的数 に対する、 。 (マーラー) *整数 、 である代数的数 に対する、 。 (マーラー) * である代数的数 に対する、 。 (ネステレンコ) * ()を約数関数とする。 である代数的数 に対する、 。 (ネステレンコ) (5) 逆数和からなる級数が超越数となる例 *を満たす整数 に対する、 。 (ドゥヴェルネ (D. Duverney)) 以下において、 はフィボナッチ数列とする。 * 。 (ミニョット (M. Mignotte)、マーラー) * 。 (西岡、トッファー (T. Töpher)) * 。 (ベッカー (P. -G. Becker)、トッファー) *任意の正整数 に対する、 。 (ドゥヴェルネ、西岡(啓)、西岡(久)、塩川) 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「超越数」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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