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転写開始前複合体 : ウィキペディア日本語版
転写開始前複合体[てんしゃかいしまえふくごうたい]
転写開始前複合体(てんしゃかいしまえふくごうたい、Preinitiation complex)は真核生物(と古細菌)で遺伝子転写に必要な、タンパク質の巨大な複合体である。転写開始前複合体はDNAの立体構造を変え、RNAポリメラーゼIIが転写開始位置にくるのを助ける。
真核生物ではTFIIATFIIBTFIIDTFIIETFIIFTFIIHという6つの転写因子から構成されていることが多い。一方、古細菌はTFIIA、TFIIF、TFIIHを欠く。真核生物よりも単純、あるいは先祖型の転写開始機構を持つと考えられる。
2007年、ロジャー・コーンバーグTATAボックスプロモーターと協調する次のような転写開始因子複合体の作用機構を提唱した。
*TATA結合タンパク質プロモーターと結合し、DNAを折り曲げる。これによって、RNAポリメラーゼIIとTFIIBのC末端がDNAを包むような形になる。TATA結合タンパク質はTATAボックスと結合し、TATAボックスを転写開始部位の25から30残基上流に近づける。
*TFIIBのN末端がDNAをRNAポリメラーゼIIの活性部位に配置する。
*TFIIEが複合体に結合し、TFIIHの複合体への結合を促す。
*ATPアーゼ活性とヘリカーゼ活性を持つTFIIHのサブユニットがDNAに巻き戻しの力を加える。
*DNAの巻き戻しの力によって、DNA鎖が一本鎖になり(DNAの変性という)、転写バブルを作る。TFIIFが1本鎖のコーディング鎖に結合し、転写バブルの広がりを保つ。
*1本鎖の非コーディング鎖が折れ曲がり、RNAの活性部位に入る。
*転写が6残基以上進むと、TFIIBが離れ、RNAポリメラーゼIIがプロモーター部位から離れる。
==出典==


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「転写開始前複合体」の詳細全文を読む



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