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農村戸籍[のうそんこせき] 農村戸籍(のうそんこせき)とは、中華人民共和国の戸籍制度上の都市と農村との二元的な管理制度において、農村住民が有する戸籍のことである〔田中(2012年)421ページ〕。 == 概説 == 中華人民共和国憲法において、法の下の平等が規定されているが、実際には都市と農村との間に大きな差別が存在しており、都市と農村という二元的な管理構造が中国社会の大きな特徴となっている〔。都市の労働者は様々な社会保障制度によって手厚い保護を受ける一方で、農村の農民は自給自足を原則として、社会保障制度の対象から外されていた〔。これは長期に及ぶ戦乱の末にようやく成立した政権が、疲弊した経済環境のもとで工業を重点的に育成するためにとった、当時としては止むを得ざる措置であるといえる〔〔西島(2008年)178ページ〕。大都市を中心に発達した工業は、ごく一部を除いて全て国有化され、そこで働く労働者は国営企業の従業員として、公務員に準ずる待遇を得、貧しいながらも安定した生活が保障されてきた〔田中(2012年)422ページ〕(単位 (社会組織)参照)。これに対し農村では、建国直後の土地改革によって一旦は農民個人の私有とされた土地が、1950年代半ばの農村集団化によって集団所有へと移行したため、農村では集団所有制が所有制の基軸を形成した〔。集団所有制のもとに置かれた農民は、政府から十分な保障を受けることができず、基本的には自らの集団内部で自力救済を図るほかなかった〔。それでも経済的に恵まれた人民公社は、集団所有制のメリットを発揮して互助的な生活環境を維持できたが、全体から見ればそうした人民公社は少数で、大半の人民公社は厳しい貧困に直面して、都市部のような生活保障を受けることができなかった〔。建国から50年以上経てもなお、戸籍の二元的管理にもとづく都市と農村、労働者と農民という差別を基本的には克服できないでいたが、改革開放後の市場経済化とそれによってもたらされた経済発展により大きな変動期を迎えるようになった〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「農村戸籍」の詳細全文を読む
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