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憲法訴訟(けんぽうそしょう)は、憲法解釈上の争点を含む訴訟のことをいう。 抽象的違憲審査制を採用している法制の下では、民事訴訟、刑事訴訟及び行政訴訟と並列する訴訟類型としての憲法訴訟が考えられるのに対し、付随的違憲審査制を採用している法制の下では、民事訴訟などとと並列する訴訟類型として位置づけられるわけではない。あくまでも、これらの訴訟の解決に必要な限りにおいて憲法判断がされるに過ぎない(詳細は「違憲審査制」を参照)。 1950年代の最高裁判所機構改革と並行し、1956年、違憲裁判手続法の法案が、日本社会党党首鈴木茂三郎議員らにより衆議院法務委員会へ提出され、趣旨説明が行われている〔1956年3月12日衆議院議事録第16号 - 国会議事録検索システム〕。その後、憲法調査会で論議がなされているが、成立に至っていない〔1959年3月12日参議院議事録第9号 によれば当時の首相岸信介は、「単純な違憲を理由として出訴できるかどうか、その手続問題については議論があるようであり、改正されるべき節があると思われる」という旨を答弁している。〕。 しかし、憲法訴訟という類型自体が存在しないとしても、憲法判断の重要性から、憲法訴訟に特有の理論を考察する学問分野がある。このような学問分野を憲法訴訟論といい、日本では、1960年代に憲法学者芦部信喜が憲法訴訟に関する論文を精力的に執筆し、1970年代には憲法学界で憲法訴訟に関する議論が盛んになった。 以下、日本における憲法訴訟について、概説する。 == 憲法訴訟の当事者適格 == === 前提問題 === 憲法訴訟では、まず、どのような立場の者が憲法問題に関する争点を提起することができるかという問題がある。この点については、抽象的違憲審査制の下では憲法上の争点提起の適格を有する者が法定されていることが通常であるのに対し、付随的違憲審査制の下では、あくまでも通常の訴訟の中で憲法判断されるに過ぎないこともあり、法定されているわけではない。ただし、付随的違憲審査を採用する以上、憲法上の争点提起の適格以前の問題として、法定された民事訴訟、刑事訴訟又は行政訴訟の訴訟要件(訴訟条件)を満たしていることが前提となる。 つまり、民事訴訟や行政訴訟で要求される当事者適格(特に原告適格)や訴えの利益などの訴訟要件を満たした訴訟でなければ、そもそも憲法上の争点提起の適格云々を議論する余地がない。それに加え、行政訴訟の場合は、行政事件訴訟法により法定された訴訟類型又は解釈上認められる訴訟類型に該当しなければならないという制約もある。これに対し、刑事訴訟の場合は、訴追された被告人が違憲性を主張することになるので、特に訴訟条件が問題とされることは少ない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「憲法訴訟」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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