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違法ドラッグ : ウィキペディア日本語版
脱法ドラッグ[だっぽうどらっぐ]

脱法ドラッグ(だっぽうドラッグ)とは、法律によって一部の薬物が規制されていることから、法律による規制がないであろう代替の薬物を表すために用いられている用語である。2000年半ばまで、合法ドラッグとだけ呼ばれた〔〔。行政側の用語が用意され脱法ドラッグが2000年半ばから〔〔、違法ドラッグが2005年から〔、危険ドラッグが2014年7月からである〔〔。英語では、一般にリーガル・ハイ (legal high) と呼ばれ〔〔、合法を意味するlegalを冠している。専門家の間では、新規向精神薬(novel〔/new psychoactive substance〔〔)と呼ばれる〔。
日本では「いたちごっこ」〔、海外ではモグラ叩きと称されるように、薬物の規制によって、規制した薬物とは異なるが類似した構造や作用を持つ、新たな薬物が登場することが繰り返されている。流通する新規向精神薬は、2013年までを合計して348種類が同定されており、特に2013年には約100種類増加しており、麻薬に関する単一条約向精神薬に関する条約によって現行で規制されている薬物合計234種類を上回っている。
自由主義的な薬物政策を持つ国々以外での、脱法ドラッグに対する強い需要は、薬物が厳しく禁止されていることによってもたらされていると考えられる〔。アメリカには、連邦類似法があるが類似しているかどうかの議論により運用は困難に直面している〔。イギリスでは、共通した構造を持つ物質を包括的に規制することで対処しているが、網羅は不可能で、危険性の堅牢な証拠も欠き、医薬品を例外化する必要が出るなどの弊害も生まれる。日本は〔、薬物による問題を助長していると指摘されるようなアメリカ型の厳罰主義の薬物政策をとり〔、脱法ドラッグの規制にはイギリスと似た包括指定を採用している。日本は再び乱用しないよう回復させる体制が遅れている〔。
日本では規制によって新たに登場する薬物が毒性を増しているとも指摘されており〔、年間10人以下であった薬物によって死亡した疑いのあるものは2014年には6月までに20人を超えている〔。イギリスでは年間20人台であったものが2012年には2倍以上となっているが〔、アルコールなど他の薬物との併用で危険性を増すという指摘や〔、すでに規制された薬物による死亡も数えてしまっているなど指摘されている〔。
== 日本での歴史 ==

日本においては、1995年頃より繁華街の店舗などで「合法ドラッグ」が販売されるようになった〔。1995年の『週刊ポスト』では、ハーブが配合された商品やスマートドラッグや、ラッシュが紹介されている〔。1997年には、『日本薬剤師会雑誌』に「いわゆる合法ドラッグと呼ばれるものについて」と題する論文が掲載され、主に薬効のあるハーブ類が紹介されており、ガラナといった強壮剤、麻黄といった興奮剤マジックマッシュルームなどであり、その他としてラッシュも紹介されている。1998年に東京都が買い上げ調査を実施した際には、まだ合法ドラッグの用語が使われている。またこの頃、精神科医が合法ドラッグとして、睡眠薬や、メチルフェニデート(リタリン)に言及している。1998年には、LSDのような幻覚作用のある化合物のが麻薬に指定された。
2000年に、「脱法ドラッグ」の用語が用いられるようになったのは、東京都の買い上げ調査により生薬のような医薬品にしか使用できない成分が含まれたことからそれでは販売は許可できないという理由からである〔。2000年頃インターネットの普及などに伴い乱用が広がったとされる。2002年6月には、マジックマッシュルームが規制されるに至る。
2005年頃には、5-MeO-DIPTなどの中毒情報が多かった。さらにトリプタミンフェネチルアミンのような化学構造の薬物が多かった〔。この頃は、幻覚剤のデザイナードラッグの流通が多く、2006年に麻薬に指定された2C-T-7は、五感の歪みや幻覚を感じる。数分程度の間酩酊感を持つ「ラッシュ」の俗称で販売された亜硝酸エステルも2006年に指定薬物となった。
次第に、合法ハーブと称する大麻に類似した合成カンナビノイドを含有する商品が流行するようになる。2011年には、日本中毒情報センターに対して「合法ハーブ」による急性中毒の問い合わせが、昨年以前には年間10件以下であったものが、半年で20件以上と増加した。脱法ドラッグの一種が、「合法ハーブ」と称して販売されているということである。次第に報道等による用語は、「脱法ハーブ」となっていった。中毒症状による救急搬送、酩酊下の運転事故が続いたことから、より迅速に違法であることを指定するために、薬事法における指定薬物の運用が始まった。2013年には、指定薬物を包括指定するという新しい薬事法の運用によって、類似の構造の薬物を一括で規制していくこととなった。
日本では、販売の名目ではなく事実上、摂取目的で販売したと判断される場合は「無承認・無許可医薬品」の販売として、薬事法違反での取り締まりの対象となる。しかし、この解釈が曖昧なため、購入者が勝手に目的外使用をしているとの建前のもとに、いまだにアダルトショップインターネット上で、クリーナーや芳香剤、研究用試薬、観賞用などと謳って販売されていることがある。
日本国内においては、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律により、薬効成分の種類を問わず薬物の影響下で、正常な運転が困難な状態、または正常な運転に支障が生じる恐れがある状態に陥る薬剤の影響下での運転を規制している。これらの薬剤の影響下で自動車を走行する行為により人を死傷させた場合、危険運転致死傷に問われる。さらに薬物の影響下にあったことを隠蔽したり発覚を恐れて逃亡した場合には、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱にも問われる。しかし、実際に事故が起きてしまってからでは遅いということで、事故をおこさなくても、「薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態での運転」をする可能性があることが判明した場合に、道路交通法第66条(過労運転等の禁止)違反の現行犯容疑により、逮捕する運用が2014年8月から開始されている。さらに、危険な運転そのものを防ぐために、職務質問等で車内から危険ドラッグが見つかった場合、その時点で使用していなくても、過去に使用したことがあり、使用した状態では正常な運転ができなくなる可能性があることを認識していれば、交通違反の有無にかかわらず、道路交通法が定める「危険性帯有者」として、公安委員会に諮って運転免許の効力を最大6カ月停止する運用も2014年9月から開始されている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「脱法ドラッグ」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Legal intoxicant 」があります。



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