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遺伝子重複 : ウィキペディア日本語版
遺伝子重複[いでんしちょうふく]

遺伝子重複(いでんしちょうふく、gene duplication / chromosomal duplication)とは、遺伝子を含むDNAのある領域が重複する現象のことである。遺伝子重複が起こる原因としては、遺伝的組換えの異常、レトロトランスポゾンの転移、染色体全体の重複などがある〔Zhang, J. (2003). "Evolution by gene duplication: an update." ''Trends in Ecology & Evolution'' 18(6): 292-298. DOI link 〕。
遺伝子の重複だけでなく、ゲノム全体の重複も珍しいことではない。例えば酵母のゲノムは1億年ほど前に重複したと考えられている〔Kellis, M, Birren, BW & Lander, ES. (2004). "Proof and evolutionary analysis of ancient genome duplication in the yeast Saccharomyces cerevisiae" ''Nature'' 428: 617-624.〕。また植物では頻繁にゲノム重複が起こっており、コムギは6つのゲノムセットを持つ6倍体である(→ 倍数性)。
== 遺伝子重複と進化 ==
重複した遺伝子の一方は選択圧から解放される。これは同じ機能を持つ二つの遺伝子が存在する場合、一方が突然変異を起こしてその機能を失っても(もしくは変化させても)、もう一方が正常に機能していれば生物の生存に支障が無いためである。そのため重複した遺伝子では、単一の遺伝子よりもはるかに早く、経代に伴う変異が蓄積される。
重複遺伝子は、従って進化の主要な役目を担うと考えられており、100年以上も前から学界において支持されてきた〔Taylor, JS. & Raes, J. (2004). "Duplication and Divergence: The Evolution of New Genes and Old Ideas" '' Annual Review of Genetics'' 9: 615-643. DOI link 〕。大野乾はもっとも有名な提唱者の一人であり、著書 "Evolution by gene duplication" (1970年)を著した人物でもある。重複遺伝子は共通祖先の出現以来、最も重要な進化の原動力であったと主張する人もいる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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