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重水(じゅうすい、heavy water)とは、質量数の大きい同位体の水分子を多く含み、通常の水より比重の大きい水のことである。重水に対して通常の水 (1H216O) を軽水と呼ぶ。重水素と軽水素は電子状態が同じであるため、重水と軽水の化学的性質は似通っている。しかし質量が違うので、物理的性質は異なる〔浅野努ほか著、『第4版 化学―物質・エネルギー・環境』、学術図書出版社、1992年、項目「重い水と軽い水」より。〕。 通常の水は 1H216O であるが、重水は水素の同位体である重水素(デューテリウム: D, 2H)や三重水素(トリチウム: T, 3H)、酸素の同位体 17O や 18O などを含む。なお通常の水はH216Oが99.76%からなるが、H218O0.17%、H217O0.037%、HD16O0.032%などの水もわずかながら含まれている〔 長倉三郎ほか編、『』、岩波書店、1998年、項目「重水」より。ISBN 4-00-080090-6〕。 狭義には化学式 D2O、すなわち重水素二つと質量数16の酸素によりなる水のことを言い、単に「重水」と言った場合はこれを指すことが多い。別名に酸化重水素 (deuterium oxide, Water-d2) など。自然界では、D2O としての重水はほとんど存在せず、重水は DHO の分子式として存在する。 == 物理的性質 == D2O で表される重水の融点は3.82 = 276.97 K (1 atm)、沸点は101.43 = 374.58 K (1 atm) である。また密度は、1.105 g/cm3 (1 atm, 20 ) である。粘性は20 で0.00125 Pa·s。 またO-D結合は同位体効果により、D2O は H2O よりも電気分解の速度が遅い。 このような軽水と重水の性質の違いを利用して、重水をわずかに含む天然の水から濃縮、分離することができる。 重水は、物質の溶解度、電気伝導度、電離度などの物性や反応速度が軽水とは異なる値を示す。それ故、飲料水などとして大量に(体重に対して数十%以上)摂取すると生体内反応に失調をきたす。重水中では魚類はすべて死に、植物は発芽しない。微生物は重水中でも培養できるものもある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「重水」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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