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斗雲(きんとうん)は、中国の伝奇小説『西遊記』に登場する、雲に乗って空を飛ぶ架空の仙術、およびそれによって呼ばれる架空の雲。主人公、猿の仙人である孫悟空が使用する。 「斗」とは「宙返り」の意であり、孫悟空がより基礎的な雲に乗る術を披露した際にとんぼを切って雲に乗ったのを見た仙術の師の須菩提が、驚きつつ適性を判断して特に授けた術。「斗雲の術」は10万8000里/1跳び(=宙返り1回)の速さで空を自在に飛ぶ。つまり、この術の使用中は術者は雲の上でとんぼ返りを切り続けることになる。石猿の孫悟空に実に相応しく、他の誰にも似つかわしくない飛行術である。当然ながら、『西遊記』の演劇、ドラマ、映画、漫画、アニメなどのビジュアル化作品において、この設定が忠実に再現されたことはほとんどない。京劇においては、天大聖(斉天大聖)が雲に乗る際に宙返りを披露することはこの役での見せ場の一つとされている。『西遊記』の孫悟空の行動や仕草には、このように実在の猿の行動を観察して取材されたと思われる描写が多い。 なお「雲に乗る術」なので三蔵法師など高僧であっても人間は乗ることは出来ず、神仙のみ同乗可能である。 中国において唐代の「里」は559.8m(360歩=1800尺)〔距離・広さでいう「里」とは 〕なので、10万8000里はおよそ6万500km、宙返り1回を1秒とすると、斗雲の速度はおよそマッハ17万6000、光速のほぼ20%(秒速6万km)となる。また、この10万8000里という距離は、西遊記において唐から天竺への取経の旅の行程距離ともされているが、これは地球一周半の距離であり、中国文学らしい途轍もない誇張である。 一般に「斗」の意を解さない日本では、「金斗雲」と当て字されることもある。「斤斗雲」「筋斗雲」という表記も見られる。 ==備考== 空を飛べるというのは孫悟空だけと思われがちだが、猪八戒、沙悟浄も雲に乗って飛ぶことはできる。しかし、斗雲ならひとっ飛びな距離を猪八戒は一日、沙悟浄は三日かかる〔八戒武装データ 〕〔第五巻 色は匂えどの巻 第八章 俺は淋しい 〕。また、日本テレビ系ドラマ西遊記シリーズでは猪八戒がたびたび雲に乗っているが整備不良で高度が安定せず墜落してしまうこともあった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「キン斗雲」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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