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金日成花 : ウィキペディア日本語版
金日成花[きむいるそんばな]

金日成花(キムイルソンばな、キムイルソンファ)はインドネシアボゴール植物園にて、同国の植物学者ブント〔参考文献とした北朝鮮政府の作成した外国人向けパンフレットではブントの名は伏せられている。〕の手により交配育種されたファレノプシス系デンドロビウムラン科セッコク属)園芸品種の一つ。
多年生の着生ランであり、高温多湿を好み他のファレノプシス系デンドロビウム同様耐寒性はない。花径は70-80mm程度であり、およそ100日ほど咲き続ける。花色は濃赤紫色で、花弁に明瞭な3つの白斑が認められる。
== 経緯 ==
1965年にジャカルタで開催されたバンドン会議に参加した北朝鮮金日成が同国のボゴール植物園を訪問した際、同園温室にてスカルノ大統領(当時)がそこで開発されたこの花に金日成を讃える旨の献名を申し出た。
金日成は一度は辞退したものの、スカルノが執拗に献名を勧めたのでそれを受けこの名になった、とされている。1970年に英国王立園芸協会へ ''Dendrobium'' Kim Il Sung の名で正式に交配種名登録がなされたが〔、これは1964年に登録された''Dendrobium''Clara Bundtの異名同交配種でもある。
1965年時点においては、この花の栽培技術がまだ完成されておらず、スカルノはその栽培技術と共にそれを平壌へ届けると約束したので、その時点ではこの花は平壌へは渡らなかった〔であるが金日成花命名記念歓迎式典は平壌にスカルノ夫妻を招いて開催している。〕。しかし、直後に9月30日事件が起きスカルノは失脚、金日成花はボゴール植物園長や育種家のブントとともにしばらく行方不明となる。結局この花が平壌に渡ったのはそれから約10年後の1974年のことで、未解決だった栽培技術についてはその後北朝鮮が独自に研究開発し完成させたとされる〔〔この栽培技術とは、いわゆる茎頂培養によるクローン株(メリクロン)の大量増殖である。〕。
失脚したスカルノが軟禁され、失意の日々を過ごしたのは、皮肉にも彼が献名を申し出たボゴール植物園のその温室であった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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