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21世紀の資本[21せいきのしほん]
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・ 世 : [よ, せい] 【名詞】 1. world 2. society 3. age 4. generation ・ 世紀 : [せいき] 【名詞】 1. century 2. era ・ 資本 : [しほん] 【名詞】 1. funds 2. capital ・ 本 : [ほん, もと] 1. (n,n-suf,n-t) (1) origin 2. basis 3. foundation
21世紀の資本[21せいきのしほん]
『21世紀の資本』(21せいきのしほん、 、)とは、フランスの経済学者であるトマ・ピケティの著書。2013年にフランス語で公刊され、2014年4月には英語訳版が発売されるやAmazon.comの売上総合1位に輝くなど大ヒットした。アメリカ合衆国では2014年春の発売以降、半年で50万部のベストセラーとなっており、多くの言語で翻訳されている〔格差論争 ピケティ教授が語る NHK NEWS WEB 2014年10月17日(2014年10月17日時点のインターネット・アーカイブ)〕。2015年1月現在、世界10数カ国で累計100万部を突破した〔ピケティが指摘するアベノミクスの弱点 東洋経済オンライン 2015年1月26日〕。 長期的にみると、資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きい。その結果、富の集中が起こるため、資本から得られる収益率が経済成長率を上回れば上回るほど、それだけ富は資本家へ蓄積される。そして、富が公平に分配されないことによって、貧困が社会や経済の不安定となるということを主題としている。この格差を是正するために、累進課税の富裕税を、それも世界的に導入することを提案している。 日本での版権を持つみすず書房は、日本語版 (ISBN 978-4-622-07876-0) を2014年(平成26年)12月8日に出版した。それ以前の紹介では『21世紀の資本論』と表記したものが多い[資本主義の特徴は、格差社会が起きることである。そして、富の不均衡は、干渉主義を取り入れることで、解決することができる。これが、本書の主題である。資本主義を作り直さなければ、まさに庶民階級そのものが危うくなるだろう〔。] 議論の出発点となるのは、資本収益率(r)と経済成長率(g)の関係式である。rとは、利潤、配当金、利息、貸出料などのように、資本から入ってくる収入のことである。そして、gは、給与所得などによって求められる。 過去200年以上のデータを分析すると、資本収益率(r)は平均で年に5%程度であるが、経済成長率(g)は1%から2%の範囲で収まっていることが明らかになった〔週刊東洋経済(2014) p.38〕。このことから、経済的不平等が増してゆく基本的な力は、 という不等式にまとめることができる。 すなわち、資産によって得られる富の方が、労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、資産金額で見たときに上位10%、1%といった位置にいる人のほうがより裕福になりやすく、結果として格差は拡大しやすい。また、この式から、次のように相続についても分析できる。すなわち、蓄積された資産は、子に相続され、労働者には分配されない。 たとえば、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのベル・エポックの時代は、華やかな時代といわれているが、この時代は資産の9割が相続によるものだった。また、格差は非常に大きく、フランスでは上位1%が6割の資産を所有していた〔〔島村(2014) p.91〕。 一方で、1930年から1975年のあいだは、いくつかのかなり特殊な環境によって、格差拡大へと向かう流れが引き戻された。特殊な環境とは、つまり2度の世界大戦や世界恐慌のことである。そして、こうした出来事によって、特に上流階級が持っていた富が、失われたのである。また、戦費を調達するために、相続税や累進の所得税が導入され、富裕層への課税が強化された〔中野(2014) pp.147-148〕〔広岡(2014) pp.236-237〕。さらに、第二次世界大戦後に起こった高度成長の時代も、高い経済成長率(g)によって、相続などによる財産の重要性を減らすことになった〔〔島村(2014) p.92〕。 しかし、1970年代後半からは、富裕層や大企業に対する減税などの政策によって、格差が再び拡大に向かうようになった〔中野(2014) p.148〕〔広岡(2014) p.237〕。そしてデータから、現代の欧米は「第二のベル・エポック」に突入し、中産階級は消滅へと向かっていると判断できる〔週刊東洋経済(2014) p.39〕。 つまり、今日の世界は、経済の大部分を相続による富が握っている「世襲制資本主義」に回帰しており、これらの力は増大して、寡頭制を生みだす。 また、今後は経済成長率が低い世界が予測されるので、資本収益率(r)は引き続き経済成長率(g)を上回る。そのため、何も対策を打たなければ、富の不均衡は維持されることになる〔ピケティ(2014) p.32〕。科学技術が急速に発達することによって、経済成長率が20世紀のレベルに戻るという考えは受け入れがたい。我々は「技術の気まぐれ」に身を委ねるべきではない〔。 不均衡を和らげるには、最高税率年2%の累進課税による財産税を導入し、最高80%の累進所得税と組み合わせればよい〔。その際、富裕層が資産をタックス・ヘイヴンのような場所に移動することを防ぐため、この税に関して国家間の国際協定を締結する必要がある。しかし、このような世界的な課税は、夢想的なアイディアであり、実現は難しい〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「21世紀の資本」の詳細全文を読む
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