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『BANANA FISH』(バナナフィッシュ)は吉田秋生による漫画作品。『別冊少女コミック』1985年5月号〜1994年4月号にて連載された(1994年6月号、8・9月号、1995年1月号にて番外編掲載)。コミックス全19巻、文庫版全12巻(内番外編1巻)が刊行されている。 また、本作を元にしたラジオドラマも制作され、2005年、2009年にはアクサル(Axle)により舞台化もされている。 2012年、10月24日~11月4日まで六行会ホールにて、磯村洋祐(劇団EXILE)と竹内寿のW主演で新たに舞台化 が決定している。 == 物語の展開 == 「BANANA FISH」は全19巻の大作であり、全体を大きく6つに区分することができる。 *Part 1:単行本の01巻 :プロローグ *Part 2:単行本の01-06巻:「BANANA FISH」の謎解き *Part 3:単行本の07-11巻:アッシュの反撃 *Part 4:単行本の12-14巻:ゴルツィネの復権 *Part 5:単行本の15-18巻:最後の戦い *Part 6:単行本の18-19巻:エピローグ Part 1:プロローグ 1973年ベトナム戦争のさなか、アメリカ兵士グリフィン・カーレンリースが突然、同じ分隊の兵士たちに自動小銃を乱射して死傷させる。その場に居合わせたマックス・ロボは彼の足を狙撃し取り押さえる。そのとき、グリフィンは「バナナ・フィッシュ」という謎の言葉〔この単語はJ・D・サリンジャーの短編集「ナイン・ストーリーズ」に納められた短編"A Perfect Day for Bananafish"(邦題:「バナナフィッシュにうってつけの日」「バナナ魚日和」など)に由来すると本作の中で語られている。本作ではバナナフィッシュを「見ると死にたくなる魚」とされている。なお、サリンジャーの短編は、ある青年がバナナを見ると見境無く食べてしまう架空の魚「バナナフィッシュ」についての会話を見知らぬ少女と交わした後、拳銃自殺するという筋書きであり、「見ると死にたくなる」という記述は存在しない。〕をつぶやく。 Part 2:「BANANA FISH」の謎解き ダウンタウンのストリート・キッズのボスとして君臨するアッシュはゴルツィネの指示で銃撃された男から「バナナ・フィッシュ」という言葉とカルフォルニアの住所を伝えられるとともに小さなロケットを受け取る。 「バナナ・フィッシュ」は廃人となった兄のグリフィンがしばしば口にしている言葉であり、アッシュは調査を開始する。ゴルツィネは「バナナ・フィッシュ」により中米でクーデターを発生させ、南米からのヘロインルートを手に入れようと米国の政治家や軍人とともにプロジェクトを進めており、アッシュの調査を阻止しようとする。 殺人の冤罪で刑務所に収監されたアッシュは兄グリフィンのベトナム時代の友人であり「バナナ・フィッシュ」の調査を続けているマックス・ロボと出会い、行動を共にすることになる。 カリフォルニアのドースン博士の家でアッシュとマックスは「バナナ・フィッシュ」が複数のアルカロイドを含む薬物であり、完全なる薬物暗示が可能な物質であることを知らされる。 彼らはゴルツィネの屋敷で「バナナ・フィッシュ」を投与されたショーターが暗示により英二を殺害しようとしている姿から自我を完全に破壊する薬物であることを目撃する。アッシュはショーターの「殺してくれ 自由にしてくれ」という言葉により彼を射殺する。 Part 3:アッシュの反撃 月龍の助けによりゴルツィネの屋敷を脱出したアッシュは反撃に出る。ゴルツィネはコルシカ人財団の理事をしており、アッシュはコンピューター操作によりその表向きの会社の株価操作と収益源の一つであるGOOSEから6000万ドルを搾取する。これよりゴルツィネはマフィアのテーブルに着かざるを得なくなり米国を後にする。 その間にアッシュはマンハッタンの高級アパートを買い、そこを隠れ家としてオーサーに恐怖支配されたダウンタウンを散り返すため、オーサーの息のかかったボスを次々と殺害し、たまりかねたオーサーとボスの座をかけて決闘となる。 アッシュは勝利するが、傷を負い、コルシカ人財団が経営母体となっている国立精神衛生センターに搬送される。ほどなくして、テレビではアッシュ死亡のニュースが流される。しかし、アッシュは米国に戻ったゴルツィネの目の前でセンターから脱出する。 Part 4:ゴルツィネの復権 「バナナ・フィッシュ」を使用して月龍は華龍を廃人にして自分が彼の後見人となる。月龍は華龍の名前でゴルツィネを招待し、交換条件を持ち出し手を結ぶ。月龍はコルシカ人財団の理事を次々と殺害し、ゴルツィネは財団で復権を果たす。一方、ゴルツィネは華龍を除く李一族をすべて殺害し、月龍が事実上の華僑の支配者となる。 月龍はアッシュの最大の弱点は英二であると見抜いており、ゴルツィネに「バナナ・フィッシュ」の情報漏洩を防ぎ、アッシュをゴルツィネの元に戻す提案をする。ゴルツィネはかってのアッシュの指導教官であったブランカを呼ぶ。ブランカはアッシュの隠れ家を突き止め、警告のため英二を狙撃する。 ブランカが敵に回ったことを知ったアッシュはマックスたちの収集した資料をゴルツィネに手渡し、自らはゴルツィネに捕らわれる。ゴルツィネはアッシュを再び「神の器」に仕立て上げ、中米における軍事作戦のプランを立案させ、新しい政界と軍部のパートナーとの会議で披露させる。 Part 5:最後の戦い アッシュの能力を再確認したゴルツィネはアッシュの養子縁組を進めるが、アッシュは籠の鳥の生活に精神的な拒食症に陥る。養子縁組披露パーティーの会場から脱出したアッシュはシンのグループとともにゴルツィネや月龍の配下と戦闘状態となり、多くの仲間が捕虜となる。アッシュは自然史博物館で月龍を捕え交換条件として捕虜を解放させる。また、捕らわれたシンの仲間も救出する。 アッシュ、シン、ケインの仲間とともにゴルツィネの雇った傭兵のフォックス大佐の部隊と戦闘状態となり、なんとか撃退したものの仲間の一部は捕虜となる。国立精神衛生センターにおける最後の戦いでゴルツィネとフォックス大佐、マナーハイムは炎の中で死亡し、「「バナナ・フィッシュ」の資料も焼失する。 Part 6:エピローグ 「バナナ・フィッシュ」の秘密は公表されなかったものの、秘密クラブにおける少年の性的濫用については政府関係者も逮捕され、一大スキャンダルに発展する。スマイルズとゴルツィネの関係について証言する者も出てくる。マックスはジェシカと再び結婚し、このニュースを一つの区切りとして聞いている。 シンは月龍を訪ね二人きりになったところで銃を突きつける。シンはブランカから李一族における月龍の生い立ちを聞いており、殺害する気にはならず、「あんたはもう・・・おふくろさんの仇をうったのだからおしまいにしろよ。おれもあんたを・・・憎んじゃいない。あんたはケガ人だ・・・あんたの心は血を流している・・・今でも・・・そういうところは・・・アッシュと同じだ」と語り、月龍を補佐してチャイナタウンの再建に乗り出す。 月龍のことを気にかけるブランカに対してアッシュはシンは月龍を殺せないし、自分もわざわざ出かけて行って彼を殺す気はないと語る。英二が明日帰国すると話すブランカに対してアッシュは見送りにはいかない、自分は英二の人生に関わりをもってはいけない人間なんだと説明する。 出発間際に英二がシンに託した手紙はニューヨーク市立図書館にいたアッシュに手渡される。英二はアッシュがどうして空港に姿を見せないのか、その理由を理解しており、自分の気持ちを次のように手紙にしたためる。 アッシュ・・・君の無事な姿が見られないからぼくは不安でたまらない 君は言ったね。”おれたちは住む世界がちがう”と ・・・でも、ほんとうにそうなのかな ぼくたちは肌の色も目の色も生まれた国もすべて違う でも、ぼくたちは友達だ それで十分なんじゃないかい? ほかになにか必要なものがあるの? <中略> 君は何度もぼくにきいたね 「おれが恐ろしいか?」と でもぼくは―――――― きみのことを恐ろしいと思ったことは一度もないんだ 初めて会った時から それどころか君はぼくよりずっと傷ついてる ―――――そんな気がしてしかたなかった おかしいだろう? 君のほうがぼくよりずっと頭もいいし 身体も大きく力も強い それなのに ぼくは――――― “君を守らなければ” と ずっと思っていた <中略> そうだよ アッシュ 運命は変えることができるんだ 君は一人じゃない ぼくがそばにいる ぼくの魂はいつも君とともにある アッシュは手紙の途中で感極まって市立図書館の外に出てラオに刺される。自分はもう助からないことを知ったアッシュは図書館に戻り手紙を読み終えながら意識を失う。その顔には満足そうな微笑みが浮かんでいる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「BANANA FISH」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Banana Fish 」があります。 スポンサード リンク
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