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化学兵器(かがくへいき)とは、毒ガスなどの毒性化学物質を使い人や動物に対して被害を与えるために使われる兵器のこと。化学兵器禁止条約では、毒性化学物質の前駆物質や、それを放出する弾薬・装置も含むものとしている。リシンや細菌毒素などの生物由来の毒性物質を用いる場合は、化学兵器ではなく生物兵器に分類されることが多い。 == 概要 == 化学兵器は、NBC兵器の一角“C”(Chemical)をなす大量破壊兵器のひとつである。一般的には毒ガスとして知られるが、常温下で気体であったり高い揮発性を持っていたりするものばかりではなく、液体が噴霧された霧状の状態で効果を発揮するものも含む。こんにち「毒ガス」兵器と呼ばれるものは、常温下で液体(粘度の高いものを含む)のものが多い。マスタードガス(イペリット)やサリンやVXガスなどが著名である。 化学兵器と呼ばれる範囲は時代や条約によって若干異なり、警察の催涙ガスとして現用されるクロロアセトフェノン(CNガス)のように後遺症の恐れは少ないものも、軍事用に使われれば化学兵器に含めることがある。化学兵器禁止条約では、2条に化学兵器の定義を置き、このほか特に検証措置の対象とする種類については附属書の表に記載している。日本政府の同条約解釈では、致死率の低いジフェニルシアノアルシンないしジフェニルクロロアルシン(両者の旧日本陸軍呼称「あか剤」)及びCNガス(同じく「みどり剤」)を化学兵器としている〔「赤剤及び緑剤については、生命活動に対する化学作用により、人または動物に対し一時的に機能を著しく害する状態を引き起こし得ることから、条約上の毒性化学物質、すなわち化学兵器に該当するということで、私ども、これを判定いたしております。」(第168回国会 外務委員会 第3号 西政府参考人答弁 )〕。 近代的な化学兵器は第一次世界大戦で登場し、大量に使用された。しかしその後は、禁止条約が発効したことに加え、後述する特性から運用が難しいために実戦使用例は限られている。 初期には有害で人体を蝕む化学反応を起こすものが利用されたが、1930年代後半にはサリンなどに代表される神経性の毒物(神経ガス)が開発された。神経性の毒物は、神経系の信号伝達を不可能にして破壊することから、少量でも致命傷となり、生存しても予後が悪く運動機能や感覚機能に後遺症が残りやすいとされる。また人体の代謝機能を破壊し、徐々に人体を蝕む薬品もあり、即効性はないものの致死性のこれらの兵器では、予後は極めて悪い。致死率は低くとも重篤な後遺症の危険性があるものもある。 冒頭で述べたように、毒ガスとは称しても常温・常圧では液体や固体のものが多く、霧状や微粉末にして散布したり、砲弾や爆弾に充填して爆発の衝撃で飛散させることによって兵器としての効果を発揮する。ミサイルやロケット弾の弾頭、さらには地雷や手榴弾に充填して使用されることもある。常温で塩素などは、ボンベに充填して戦場に散布する方法もある。なお、過去には毒ガス以外に刃物に毒物を塗るといった研究もされているが、近代戦での実用例はない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「化学兵器」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Chemical weapon 」があります。 スポンサード リンク
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