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トリプチセン (triptycene) とは芳香族炭化水素のひとつで、アントラセンがベンザインとディールス・アルダー反応を起こして得られる有機化合物である。1942年、ハーバード大学のポール・バートレットが初めて合成した。この化合物は汽船の外輪のような ''D''3''h''対称構造を持つ。バレレン (barrelene) は同様に ''D''3''h''対称構造を持つが、トリプチセンはバレレンの構造に3個のベンゼン環が縮合した化合物にあたる。 トリプチセンの骨格は非常に剛直で、配位子の骨格や〔Bini, L.; Müller, C.; Wilting, J.; von Chrzanowski, L.; Spek, A. L.; Vogt, D. "Highly selective hydrocyanation of butadiene toward 3-pentenenitrile". ''J. Am. Chem. Soc.'' 2007, ''129'', 12622–12623. DOI: 10.1021/ja074922e 〕、人工分子モーターの部品〔Kelly, T. R.; De Silva, H.; Silva, R.A. "Unidirectional rotary motion in a molecular system". ''Nature'' 1999, ''401'' 150–152. DOI: 10.1038/43639 〕として利用された研究例がある。 トリプチセンの名は、絵などを展示するのに使われた三枚組のパネル「トリプティック(triptych)」に由来する。ただしこのトリプティックは、近年では放射状ではなく屏風状に設置されることが多い〔化学者たちのネームゲーム Nickon・Silversmith著 化学同人〕。 また、トリプチセンをさらに連結させたような化合物も合成されている。これらは「イプチセン類」(iptycenes)と総称され、芳香環の数を頭につけて「ペンチプチセン」「ヘプチプチセン」などと呼ばれる。 == 脚注 == 〔 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「トリプチセン」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Triptycene 」があります。 スポンサード リンク
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