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企業の社会的責任(きぎょうのしゃかいてきせきにん、英語:corporate social responsibility、略称:CSR)とは、企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指す。CSRは企業経営の根幹において企業の自発的活動として、企業自らの永続性を実現し、また、持続可能な未来を社会とともに築いていく活動である〔 『経済同友』2006年、3月号、経済同友会〕〔CSRは法令遵守そのものや企業倫理、PR活動やCI活動とは峻別される。〕。企業の行動は利益追求だけでなく多岐にわたるため、企業市民という考え方もCSRの一環として主張されている〔企業行動憲章 - 経団連〕。貢献度の指標としては功利主義的なSROI(社会的投資利益率)を挙げることができる。数値指標はピグー税に議論されるような検証不可能性という問題が残る。 そこで、無責任な企業を発見し淘汰する消費者世論の社会的責任(consumer social responsibility) 、あるいは市民の社会的責任(citizen social responsibility)が必要不可欠と考えられている。社会的責任投資(SRI)はより直接的に評価する。国際標準化機構(ISO)では、対象が企業(corporate)に限らないという見地から、社会的責任(social responsibility、略称:SR)の呼称で国際規格 ISO 26000 を2010年11月に策定した。日本語にも翻訳され、JIS Z 26000 「社会的責任に関する手引」として2012年3月に制定された〔JIS Z 26000 - 社会的責任に関する手引 〕。 == 概要 == 最も基本的なCSR活動として挙げられるのは、企業活動について、利害関係者に対して説明責任を果たすことであるとされる。インベスター・リレーションズ (IR)は代表例である。環境問題に対する企業の責任が唱えられたのをきっかけに、様々なステークホルダーに対する責任が問題とされるようになった。環境(対社会)はもちろん、労働安全衛生・人権(対従業員)、雇用創出(対地域)、品質(対消費者)、取引先への配慮(対顧客・外注)など、幅広い分野に拡大している。国連では、このうちの「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則をグローバル・コンパクトとして提唱し、世界中の企業・団体に参加を呼びかけている。 CSRは同族企業の多いドイツで生まれた考え方である。ワイマール憲法の第153条第3項には所有権の社会的責任が規定され、企業のそれを基礎づけた。なお、ドイツの同族企業には100%支配でINA、ベーリンガーインゲルハイム、カール・ツァイス、フォイト、ミーレ、ヘラーなどがある。100%に近いものでロバート・ボッシュ (企業)、7割支配ではダルムシュタットのメルクがある。所有者一族が多国籍のものではドドゥコ・グループがある。フランスもシュナイダーエレクトリックやミシュラン、ダッソーを代表とする同族企業が多く、ノブリス・オブリージュという考え方がある。21世紀に入ってからはエンロン、ワールドコム等の重大な企業の不正行為が起こり、企業の社会的責任が一層強く意識されることとなった。 会社法において、株式会社につき、CSRをどのように扱うべきかについては議論がある。経営者は、法令の範囲内において株主の利益を最大化すべき、という(少なくとも法学の世界においては)伝統的な考え方に対して、経営者がCSRを考慮することを積極的に認める見解がある。後者は、現代社会におけるCSRの重要性をその根拠とするものであるが、前者の立場からはCSRの名の下に経営者の権限濫用を許しかねない等の批判がある。もっとも、前者の見解はCSRを全く無視すべきというのではなく、あくまで株主の利益の最大化の手段として考えるべきこととなる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「企業の社会的責任」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Corporate social responsibility 」があります。 スポンサード リンク
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