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欧州連合理事会(おうしゅうれんごうりじかい)は、欧州連合の政策決定機関。閣僚理事会や、単に理事会とも呼ばれ、基本条約でもこれらの表現が用いられている。またラテン語表記の ''Consilium'' とも呼ばれる。欧州連合理事会は欧州連合加盟国の首脳らによる欧州理事会や、欧州連合とは別の国際機関である欧州評議会とは混同されがちであるが、まったく異なるものである。 理事会は、欧州連合のもうひとつの政策決定機関である欧州議会よりも強力な権限を有している。理事会は加盟国から1人ずつの閣僚で構成されている。ただし政策分野によって出席する閣僚が異なり、たとえば農業政策の議論を行うさいには各国の農業担当大臣が出席することになる。 理事会は特定の人物を議長としておらず、加盟国が6か月ごとに輪番制で議長国を務め、議長国の閣僚が各理事会の議論課題を定めていくことになっている〔。ただし外交理事会については外務・安全保障政策上級代表が議長を務めることになっている。また理事会の運営は事務総長が担っている。 理事会は法律を新たに作ることができ、そのため既存の国内法を置き換えることができる。特定の分野において理事会の決定は特定多数決方式でなされ、それ以外の分野では全会一致でなされる。通常全会一致で決定を行なう場合には、欧州議会に対しては諮問のみがなされる。ただしほとんどの分野において共同決定手続きが適用され、理事会と欧州議会が法令制定と予算決定において平等の権限を有している〔。 == 歴史 == 欧州連合理事会の起源となったのは欧州石炭鉄鋼共同体の「閣僚特別理事会」であり、超国家的な政策執行機関である最高機関と対等な位置づけがなされた。石炭や鉄鋼に関する問題については最高機関が権限を有していたためこの特別理事会の権限は限られていたが、それ以外の決定においては特別理事会のみが共同体の意思を決めていた。つまるところ特別理事会は執行機関である最高機関の監視役に過ぎなかったのである。1958年、ローマ諸条約によって欧州経済共同体と欧州原子力共同体が設立され、それぞれに理事会が設けられた。このとき欧州石炭鉄鋼共同体最高機関の権限が超国家性が強かったことに対する反発から、両共同体の理事会の執行権限は欧州石炭鉄鋼共同体の特別理事会よりも強化され、他方で執行機関の名称は「委員会」とされた。 1965年、理事会はいわゆる「空席危機」と呼ばれる事件が起こった。農業政策案などをめぐってフランス大統領シャルル・ド・ゴールと委員会が対立したことにより、フランスがすべての理事会への出席を拒否し、理事会の機能が停止するという事態に陥ったのである。この状況は翌年にルクセンブルクの妥協によって収拾された。空席危機は当時の委員長のヴァルター・ハルシュタインの政治的な賭けで引き起こされたものであり、空席危機ののちにハルシュタインは委員長を退任しているが、このできごとによって理事会の機能の弱点がさらけ出されるということになった。 1967年発効の合併条約で、欧州石炭鉄鋼共同体の閣僚特別理事会と欧州原子力共同体の理事会が欧州経済共同体の理事会に統合され、単一の機関である欧州諸共同体理事会として活動していくことになった。1993年には欧州連合条約によって「欧州連合理事会」となった。欧州連合条約で理事会は強化され、3本柱構造において政府間主義の要素が加えられた。ところが同時に欧州議会と欧州委員会も欧州共同体の柱において権能が強化され、理事会が独自に活動するという能力は抑えられる結果となった〔。 リスボン条約では3本柱構造が廃止され、欧州議会の権限が強化された。さらに理事会の役職である共通外交・安全保障政策上級代表と欧州委員会の対外関係担当委員の役職が統合され、外務理事会は従来の輪番制議長国の閣僚ではなく、統合によって新設された外務・安全保障政策上級代表が議長を務めることとなった。欧州理事会についても理事会から完全に分離された。 理事会は権限を失っていないものの、欧州議会は理事会の意思に対してますます反対する力を強めていき、理事会の展開は両者の権力関係によって特徴づけられていった。つまり欧州連合理事会の政府間主義的な制度が、発達してきた欧州議会の制度と超国家主義的な方式と相反するようになり、欧州連合理事会と欧州議会との間で対立するような事例が出てきているのである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「欧州連合理事会」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Council of the European Union 」があります。 スポンサード リンク
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