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性同一性障害(せいどういつせいしょうがい、英:Gender Identity Disorder, GID)・性別違和は、『生物学的性別(Sex)と性の自己意識(Gender identity、性自認)とが一致しないために、自らの生物学的性別に持続的な違和感を持ち、自己意識に一致する性を求め、時には生物学的性別を己れの性の自己意識に近づけるために性の適合を望むことさえある状態』をいう医学的な疾患名。やや簡潔に『性の自己意識(心の性)と生物学的性別(身体の性、解剖学的性別)が一致しない状態』とも説明されている。 その病状を持つ者は性同一性障害者(せいどういつせいしょうがいしゃ)、GID当事者(ジーアイディーとうじしゃ)などと呼ばれる。また日本などにおける診断名のみならず、身体的な性別と性自認が一致しない人に対する幅広い表現としてトランスジェンダーという言葉がある。なお、体の性の変異に関わる性分化疾患、性的指向に因る同性愛や性自認によるものではない異性装とは根本的に事象が異なる(後述参照)。 診断分類である『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)の、2013年の第5版(DSM-5)は、性別違和(せいべついわ、英:gender dysphoria)という新しい診断名を用いている。ただし日本精神神経学会では診断名としては「性同一性障害」を使用していると報道された〔「<訂正>」『朝日新聞』2014年11月16日朝刊、3面。 〕。 性同一性障害ではなく性別違和に改称する動きがある。 == 概念 == === 概要 === 人は、『''自身がどの性別に属するかという感覚、男性または女性であることの自己の認識''』を持っており、これを性同一性(性の同一性、性別のアイデンティティー)という。大多数の人々は、身体的性別と性同一性を有するが、まれに自身の身体の性別を十分に理解しているものの、自身の性同一性に一致しない人々もいる。そうした著しい性別の不連続性(Disorder)を抱える状態を医学的に性同一性障害という。 過去には一般に性別は身体や染色体によって決まるもので身体の性と性同一性は一体のものと考えられてきたが、生まれつき染色体、生殖腺、もしくは解剖学的に性の発達が先天的に非定型的である状態にある性分化疾患の症例を研究するうち、性分化疾患の場合、身体の性と性同一性はそれぞれ必ずしも一致しない場合があることがわかった。性同一性障害は、何らかの原因で、生まれつき身体的性別と、性同一性に関わる脳の一部とが、それぞれ一致しない状態で出生したと考えられている。 このため、性同一性障害を抱える者は、自身とは反対にある身体の性別に違和感や嫌悪感を持ち、生活上のあらゆる状況においてその性別で扱われることに精神的な苦痛を受けることが多いとされる。そうした、終生まで絶え間なく続く苦痛のない、普通の生活を送るために治療を要し、時に身体や生活上において、自身と一致する性別への移行をすることがある。 日本では、こうした性同一性障害を抱える人々への治療の効果を高め、社会生活上のさまざまな問題を解消するために、平成15年7月16日に性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律を公布し、翌年に施行している。この法律により、定められた要件を満たす性同一性障害者は、戸籍上の性別を変更できるようになった。日本国外では、多くのヨーロッパ諸国、アメリカやカナダのほとんどの州で、性同一性障害者のために、1970年代から1980年代より立法や判例によって法的な性別の訂正を認めている。日本を含めこれらの国の法律は、性別適合手術を受けていることを要件としているが、新たに21世紀において立法したイギリスとスペインでは、性別適合手術を受けていることを要件とせずに法的な性別の訂正を認める法律を定めた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「性同一性障害」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Gender identity disorder 」があります。 スポンサード リンク
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