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H-IIロケット(エイチツーロケット、エイチにロケット)は、宇宙開発事業団 (NASDA) と三菱重工が開発し、三菱重工が製造した人工衛星打上げ用ロケット。日本の人工衛星打ち上げ用液体燃料ロケットとしては初めて主要技術の全てが国内開発された。 == 概要 == 科学衛星打ち上げを目的とした宇宙科学研究所の一連の固体燃料ロケットでは、日本が世界4番目の人工衛星打ち上げ国となる等、国産技術による開発が進んでいたが、科学衛星に比べて大型の通信、放送、気象などの実用衛星を打ち上げる液体燃料ロケットの開発を担当することになった宇宙開発事業団では3世代目のH-Iロケットまで、アメリカのデルタロケットの技術を導入して主要部のライセンス生産をしていた。例えば、H-Iロケットで国内開発が実現していた主要部位は第2段・第3段用エンジンや慣性誘導装置等のみで、最も重要な第1段用エンジンはアメリカのものであった。 こうした状況の中、国内技術の進歩を図って高い信頼性と低コストで打上げを可能にし、1990年以降の2t級静止衛星の需要増加に適応することを目標に、1984年にH-IIロケットの「開発研究」が〔宇宙開発における計画管理は進捗によって「研究(研究→概念設計)」→「開発研究(予備設計)」→「開発(基本設計→詳細設計→維持設計)」→「運用」の4つの段階(フェーズ)に分かれている。要求に基づき仕様や計画を決めるのが「研究」、使用や計画を詳細に文書化し、新技術の試作をし実現性の目処を付け、開発体制を構築するのが「開発研究」、設計についての各種解析をし全体の試作品から実機を作るまでが「開発」である。「開発研究」までが企画立案フェーズ、「開発」以降が実施フェーズである。宇宙開発委員会は各フェーズアップに対する審査を行う。この一連の開発手法はNASAではPPP(Phased Project Planning)と呼び、NASDAが取り入れたものである。5.評価実施のための原則(文部科学省公式サイト) 、設計品質確保の思想 航空宇宙エレクトロニクスに学ぶ「信頼性設計」(Tech Village 2006年3月28日) 、図1 宇宙開発委員会における宇宙開発プロジェクトの評価システム(宇宙開発委員会公式サイト) を参照。〕、1986年に「開発」が開始された〔宇宙開発事業団(NASDA)沿革 JAXA公式サイト〕。これと同時にLE-5開発の経験を基に初の国産第1段用エンジンLE-7の開発も開始され、開発試験中の一人の死亡事故を含む爆発・火災事故などの難航を経て1994年に完成した。また、固体補助ロケットブースターも国産化し、初めて純国産液体燃料ロケットの開発に成功した〔H-IIロケット 、宇宙航空研究開発機構。〕。また、H-IIを使用した衛星打ち上げを請け負う民間ロケット会社『ロケットシステム(RSC)』を1990年に設立している。(1995年の試験3号機から請負。) そして、1994年2月4日午前7時20分、第1号機の打ち上げに成功した。LE-7の開発が難航したため予定より2年遅れての打ち上げであった。この打ち上げで、搭載した性能確認用衛星(VEP、のちに「みょうじょう」と命名)と、軌道再突入実験機(OREX、のちに「りゅうせい」と命名)の地球周回軌道投入に成功した。 その後1997年まで合計5機の連続打ち上げに成功したが、打上げコストは1機あたり190億円でアリアンなどの諸外国製ロケットより遥かに高く、100億円以下が標準とされる国際市場での競争力は無かった。これはH-IIの開発検討が始まった1982年当時の1ドル240円のレートから円高が急激に進んだためであり、1号機が打ち上がった1994年には、1ドル100円台前半であった。このため打上げコストを半減するため次世代のH-IIAロケットを開発することが決まった。 1998年の第5号機、翌年の第8号機と連続で打上げに失敗したため、原因究明とH-IIA開発にリソースを集中するため、7号機(打上げ順序を変更して第8回目になる予定だった)の打上げをキャンセルし運用を終了することになった〔。 開発費は約2,700億円で、同じく全段を新規開発した欧州宇宙機関(ESA)の主力ロケットのアリアン5シリーズの開発費、約8800億円~9900億円の三分の一以下である〔わが国の宇宙輸送系の現状と今後の方向性 平成23年2月24日 (首相官邸公式サイト 宇宙開発戦略本部)〕。 上段に用いられていた液体酸素・液体水素の組み合わせを、第1段と第2段両方に利用する大型実用ロケットは、H-IIが世界初であった(スペースシャトルはメインエンジンが液体酸素・液体水素だが第1段式)。この推進剤の組み合わせは比推力(燃料効率を示す尺度)が高く、燃焼後に水蒸気しか発生しないためオゾン層への悪影響がほとんどなく環境との親和性が高いのが特徴である。ただし、大出力のエンジンが作りにくく推力が不足する時にはブースターが使用されるが、ブースターの固体燃料に含まれる過塩素酸アンモニウムの塩素成分はオゾン層に悪影響を与えるほか、燃焼時に毒性が強い塩化水素ガスを大量に生じさせる。 H-IIロケットを元に全面改良された次世代のH-IIAロケットとは基本的な要求性能が同じなので、H-IIロケット8号機の2段目はH-IIAロケットの2段目に置き換えられ使用されている。また、J-Iロケットの1号機には一段目にH-IIのSRBが使用されているが、2号機ではH-IIAのSRBが使用されている。HOPE(H‐II Orbiting Plane)や、宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle、略称: HTV)はH-IIの時に計画が始まりH-IIAに(名称にはH-IIが含まれたまま)引き継がれている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「H-IIロケット」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 H-II 」があります。 スポンサード リンク
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