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HDAC ( リダイレクト:ヒストン脱アセチル化酵素 ) : ウィキペディア日本語版
ヒストン脱アセチル化酵素[-だつあせちるかこうそ]
ヒストン脱アセチル化酵素(-だつあせちるかこうそ;Histone DeacetylaseHDAC);EC 3.5.1)とはクロマチン構造において主要な構成因子であるヒストンの脱アセチル化を行う酵素である。遺伝子転写制御において重要な役割を果たしている。ヒトでは、現在HDAC1-11,SirT1-7の18種類が同定されている。
== 概要 ==
遺伝子の発現は遺伝子の塩基配列によるもの以外にDNAあるいはヒストンに対する後付けの修飾により制御される場合がある(エピジェネティックな制御)。ヒストンはDNAが巻きついているコアヒストン(H2A、H2B、H3、H4)とDNAのリンカー部分に結合しているリンカーヒストン(H1)に大別される。コアヒストンのアセチル化はエピジェネティックな遺伝子の制御において重要な役割を担っている〔Miremadi A,Oestergaard MZ,Pharoah PD and Caldas C.(2007)"Cancer genetics of epigenetic genes."''Hum.Mol.Genet.''16 SpecNo1 R28-49. PMID 17613546〕。
ヒストンはそのアミノ酸配列中にリジンアルギニンなどの塩基性アミノ酸を多く含むため通常陽性に荷電しており、陰性に荷電しているDNAとの結合が容易である。細胞内のヒストンアセチル基転移酵素(英:Histone Acetyl Transferase、HAT)により行われるヒストンアセチル化はヒストン中の特定のリジン残基アミノ基(-NH2)をアミド(-NHCOCH3)に変換することにより電荷中和してしまうため、結果としてヒストン-DNA間の結合を部分的に弱める。このことはヒストンに対するDNAの巻きつきが弱くなることを意味し、隣り合ったヒストン-DNA複合体(ヌクレオソーム)同士をつないでいるDNA鎖(リンカーDNA)に対して転写因子RNAポリメラーゼがより結合しやすい状態になる。ヒストン脱アセチル化とはこのアセチル化された部位を加水分解により除去し、元のアミノ基に戻すことによりヒストンへのDNAの巻きつきを強めて転写を抑制する反応であり、ヒストンアセチル化とは逆の機構である。ヒストン脱アセチル化反応はHDACにより行われる。
ヒストンでは、N末端のリシン残基がアセチル化、脱アセチル化され、これが遺伝子発現の制御に関わっている。ヒストンが多数アセチル化されている染色体領域は、遺伝子の転写が活発に行われており、ヒストンのアセチル化は遺伝子発現を活性化させ、脱アセチル化は遺伝子の発現を抑制していると考えられている〔http://www.cyclex.co.jp/home/jkeyword2f.html〕〔http://pharm.life-bio.kansai-u.ac.jp/gaiyou/gaiyoutop.html〕。
ヒストンは上記で述べたアセチル化の他にもリン酸化メチル化による制御を受ける。HDACは細胞内情報伝達Notchシグナリング等)や細胞周期の制御にも関与している。特に近年、HDACは治療の標的分子として注目されている〔Suzuki T and Miyata N.(2006)"Epigenetic control using natural products and synthetic molecules."''Curr.Med.Chem.''13,935-58. PMID 16611076〕。'16 SpecNo1 R28-49. PMID 17613546〕。
ヒストンはそのアミノ酸配列中にリジンアルギニンなどの塩基性アミノ酸を多く含むため通常陽性に荷電しており、陰性に荷電しているDNAとの結合が容易である。細胞内のヒストンアセチル基転移酵素(英:Histone Acetyl Transferase、HAT)により行われるヒストンアセチル化はヒストン中の特定のリジン残基アミノ基(-NH2)をアミド(-NHCOCH3)に変換することにより電荷中和してしまうため、結果としてヒストン-DNA間の結合を部分的に弱める。このことはヒストンに対するDNAの巻きつきが弱くなることを意味し、隣り合ったヒストン-DNA複合体(ヌクレオソーム)同士をつないでいるDNA鎖(リンカーDNA)に対して転写因子RNAポリメラーゼがより結合しやすい状態になる。ヒストン脱アセチル化とはこのアセチル化された部位を加水分解により除去し、元のアミノ基に戻すことによりヒストンへのDNAの巻きつきを強めて転写を抑制する反応であり、ヒストンアセチル化とは逆の機構である。ヒストン脱アセチル化反応はHDACにより行われる。
ヒストンでは、N末端のリシン残基がアセチル化、脱アセチル化され、これが遺伝子発現の制御に関わっている。ヒストンが多数アセチル化されている染色体領域は、遺伝子の転写が活発に行われており、ヒストンのアセチル化は遺伝子発現を活性化させ、脱アセチル化は遺伝子の発現を抑制していると考えられている〔http://www.cyclex.co.jp/home/jkeyword2f.html〕〔http://pharm.life-bio.kansai-u.ac.jp/gaiyou/gaiyoutop.html〕。
ヒストンは上記で述べたアセチル化の他にもリン酸化メチル化による制御を受ける。HDACは細胞内情報伝達Notchシグナリング等)や細胞周期の制御にも関与している。特に近年、HDACは治療の標的分子として注目されている〔Suzuki T and Miyata N.(2006)"Epigenetic control using natural products and synthetic molecules."''Curr.Med.Chem.
''13,935-58. PMID 16611076〕。
''13,935-58. PMID 16611076〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「ヒストン脱アセチル化酵素」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Histone deacetylase 」があります。




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