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IMRAD : ウィキペディア日本語版
IMRAD

は、文章構成 (Organization) の型式 (Style) の名称の1つである。IMRADの名前は、Introduction, Methods, Results And Discussionの略に因む。その名前の由来通り、IMRAD型の文章は、その骨格部が、少なくともIntroduction, Methods, Results, Discussionの4つの部分に分かれることを特徴とする。主に実証研究に基づく自然科学工学医学社会科学、一部の人文科学の論文において、この形式に従った章立てが、よく採用されている。
== IMRAD型の概要 ==

=== 総論 ===
IMRADは、文章構成 (Organization) の型式 (Style) の名称の1つである〔Robert A. Day『はじめての科学英語論文』美宅成樹訳(丸善、2001年7月);2010年2月現在、前文献の改訂版として、Robert A. Day (著), Barbara Gastel (著), 美宅 成樹 (翻訳) 「世界に通じる科学英語論文の書き方 執筆・投稿・査読・発表」丸善 (2010)が出版されている。原書最新版は、Robert A. Day (著), Barbara Gastel (著)「How to Write and Publish a Scientific Paper」 Greenwood Pub Group; 7版 (2011/6/30)
〕〔Robert M.Lewis・Nancy L.Whitby・Evan R.Whitby『科学者・技術者のための英語論文の書き方 : 国際的に通用する論文を書く秘訣』(東京化学同人、2004年1月)〕〔
ヒラリー・グラスマン-ディール (著), 甲斐 基文 (翻訳), 小島 正樹 (翻訳) ;"理系研究者のためのアカデミック ライティング " 東京図書 (2011/12/8)
(原書:Hilary Glasman-deal (著);
"Science Research Writing: A Guide for Non-Native Speakers of English"
Imperial College Press (2010/01) (インペリアル・カレッジ・ロンドンのカリキュラムに即したテキスト)〕
George M. Hall (Editor);"How To Write a Paper, 5th Edition"December 2012, BMJ Books ISBN: 978-0-470-67220-4〕
田村房子 (著) 「アクセプトされる英語医学論文作成術―最新の臨床研究から学ぼう!」中山書店 (2014/9/13)〕〔
東京大学教養学部ALESSプログラム (編集) 「Active English for Science: 英語で科学する―レポート,論文,プレゼンテーション 」東京大学出版会 (2012/10) 〕〔
アメリカ心理学会 (著), 前田 樹海 (翻訳) ,江藤 裕之 (翻訳), 田中 建彦 (翻訳) ;「APA論文作成マニュアル 第2版 」
医学書院; 第2版 (2011/3/1) 〕〔生医学雑誌への投稿のための統一規定:生医学の発表に関する執筆と編集 (原文)(邦訳)〕〔
米国医師会 (AMA)編;「AMA Manual of Style1 10 th edirion」〕〔ネル・L.ケネディ(著)、菱田治子(訳)『アクセプトされる英語医学論文を書こう!―ワークショップ方式による英語の弱点克服法』(メジカルビュー社、2001年08月) 〕
〔Nair, P.K. Ramachandran, Nair, Vimala D.;"Scientific Writing and Communication in Agriculture and Natural Resources"Springer; 2014版 (2014/1/16)
Chapter2 Organization of a Research Paper:The IMRAD Format
下瀬川 正幸 (監修) 「コメディカルのための研究ガイド」日本放射線技師会出版会 (2009/4/20)

〕〔保存版:卒論は「論文を書く練習」、修論は「研究をする練習」、博論は「研究者になる練習」〕〔人文系研究者による要約的解説(理系にも共通する点が多く、簡潔)〕〔社会科学系研究者によるIMRADの例解(筑波大学の大学院生向けの講義資料)〕〔人見憲司 他 「科学技術英語 徹底トレーニング[ライフサイエンス]」 アルク (2011年03月04日)、人見 憲司(著),渡辺 正 (監修)「科学技術英語徹底トレーニング―資源・材料・エネルギー工学」アルク(2010)他、科学技術英語徹底トレーニングシリーズ〕〔論文翻訳者による解説(ふーちゃんの翻訳教室)〕〔高橋, 吉文「新<起承転結>考I」メディアコミュニケーション研究 (2009)〕〔小野義正『ポイントで学ぶ科学英語論文の書き方』(丸善)〕〔桜井邦明『アカデミック・ライティング』(朝倉書店)〕〔〕〔〕〔〕〔http://www.slis.tsukuba.ac.jp/~ygoto/20070906onodera.pdf〕〔John Van Rys (著) , Verne Meyer (著), Pat Sebranek (著) ;「The Research Writer: Curiosity, Discovery, Dialogue 」Wadsworth Pub Co; 1 Spi版 (2011/01)
(比較的最近出された特に、p.330以降に、学生が、IMRAD形式で書いたサンプルレポートが
載っている。サンプルレポートの内容は、犬がどのような色のチュートイ(犬に噛ませるためのおもちゃ)を好むかに関するものであり、特別な予備知識のいるようなレポートではない。)〕〔Robert B. Taylor (著);「A Guide for Clinicians, Educators, and Researchers」
Springer; 2nd ed. 2011版 (2011/8/17) (メディカルライティングの本というだけあって、Methodの定義が「Who were your subjects.」(What are your subjects. ではなく)となっている。)〕〔野口 ジュディー (著),岡本 真由美 (著) ,深山 晶子 (著);
「理系たまごシリーズ(3)理系英語のライティング 」アルク (2007/03) (ムーブ分析に基づいて現実の論文(電気系)を解析している)〕〔田地野 彰 (編集), Tim Stewart (原著), David Dalsky (原著) ;「Writing for Academic Purposes―英作文を卒業して英語論文を書く」ひつじ書房 (2010/04) (本文のほとんどが英語で書かれている。ショートエッセーの例が豊富)〕〔京都大学の講義 「物理の英語」 の講義ノート
,特に第二章
〕〔地球流体電脳倶楽部(北海道大学,京都大学,九州大学の地球流体理論の研究者のコミュニティー)のページ
〕〔:en:Journal of Postgraduate Medicineによる解説
〕〔http://kanamori.cs.tsukuba.ac.jp/docs/how_to_read_and_write_papers.html〕〔
Tom GALLY;”Form and Content in a Science Writing Curriculum”KOMABA JOURNAL OF ENGLISH EDUCATION 2 95
〕〔
Dr Abel Scribe PhD〕〔
研究応援プロジェクト リサーチアによる解説記事
【図解】理系レポート・論文の書き方のフレームワーク IMRADを押さえておこう


〕〔The 'write' order and IMRaD(英語論文校閲業者 edanz社 による解説記事
(英文)
〕〔IMRAD形式の論文とは?(英語論文校閲業者 editage 社 スタッフ
Jayashree Rajag氏による解説記事(英文)Manuscript structure: How to convey your most important ideas through your paper

〕〔
IMRAD形式の論文とは?(英語論文校閲業者 editage 社スタッフのJayashree Rajag氏による解説記事



〕。
IMRAD型の文書は、科学的方法〔〔米国科学振興協会1989「」。「for All Americans(英語版) 」〕〔ジョージ W.ジーゲルミューラー (著) ,ジャック・ケイ (著) ,井上奈良彦(監訳),九州大学大学院比較社会文化学府言語コミュニケーション研究室 (訳) 「議論法―探求と弁論 (比較社会文化叢書 (3))」花書院; (2006/3/20) 〕〔 濱田嘉昭「科学的な見方・考え方」 放送大学出版会(2007/03)
この書籍は、現在は、濱田嘉昭「科学的探究の方法」 放送大学出版会(2011/03) に改版されている。〕〔小倉康「科学リテラシーと探究能力」
〔Tracey Greenwood, Lissa Bainbridge-Smith, 他著, 後藤太一郎 監訳
「ワークブックで学ぶ 生物学実験の基礎」オーム社 (2014/10/25)〕
戸田山 和久;『「科学的思考」のレッスン学校で教えてくれないサイエンス』 (NHK出版新書) 2011/11/8 〕

Marilyn F. Moriarty (原著) , 長野 敬 (翻訳);「「考える」科学文章の書き方」朝倉書店 (2000/10) 〕〔批判的思考能力と超常的なものに対する信念〕〔小山田 耕二 (著), 日置 尋久 (著), 古賀 崇 (著), 持元 江津子 (著) 「研究ベース学習」コロナ社(2011/5/24)〕
〔小泉治彦(著)「理科課題研究ガイドブック」千葉大学高大連携センターより配布
に基づいた推論を記述 / 検証するのに適しているため、‎学術論文においてよく使われる。自然科学人文科学社会科学を問わず、実証分析に基づく論文では、ほとんどがこのIMRAD型の構成を採った形で学術誌に掲載される。また、論文以外でも、学会発表のスライドやポスター
〔宮野 公樹 (著) :「学生・研究者のための 使える!PowerPointスライドデザイン 伝わるプレゼン1つの原理と3つの技術」化学同人 (2009/4/10) 〕〔宮野 公樹 (著) :「学生・研究者のための伝わる! 学会ポスターのデザイン術」
化学同人 (2011/11/30) 〕〔廣岡慶彦 (著) :「理科系のための入門英語プレゼンテーション」朝倉書店; 改訂版 (2011/3/5) 〕〔廣岡慶彦 (著) :「理科系のための実戦英語プレゼンテーション 」朝倉書店 (2002/4/1)〕や、学生実習等のレポート〔S.Lobban & M.Schefter  著  畠山雄二・大森充香 訳:「実験レポート作成法 」2011年12月〕でも、そのような構成がみられることがある。
IMRADの名前は、Introduction, Methods, Results And Discussionの略に因む〔〔〔〔〔〔〔〔
〔「A, B, 及び C」を英訳すると「A, B, and C」になる(名詞が大文字でandとかofのような接続詞/前置詞等は小文字)。
そのため、恐らく「IMRaD」と書くのが最も正しいのだと思われるが、記事初版執筆当時は「IMRAD」と記載していた文献が多いように見えたため、本記事ではこれを正式とした。一般論としても「A, B, and C」のような形で提示される名称を略するときには、「ABC」「ABAC」、「ABaC」のいずれの形もありえる。従って「IMRAD」、「IMRD」や「IMRaD」のいずれの略号もあり得るため、間違いとまでは言えないように思う。文献によっては、AをAnalysisの略と言っている場合もある。〕〔IMRADの発音に関して、ネイティブの教師の読み方は、執筆者には「エムラッド」と聞こえる。ただ、例えば、「Don't make it bad.」は執筆者には「どめきばぁ~」に聞こえるが、敢えてカタカナ語に直すとすれば「どめきばぁ~」ではなくローマ字読みで、「ドントメイクイットバット」というあり得ない発音を示したカタカナを書くだろう。同様の考え方から、初版ではIMRADの読みを「いむらど」と書いた。実際、本記事初版以前に執筆された、プライマリ・ケア英和辞典 でも、そのように書かれている。しかし、最近の日本国内での講義を見る限り、源発音に近い、「イムラッド」のほうが主流になっているように見える。したがって、ある版以降、読みを「イムラッド」に修正した。同様の混乱は様々なところであり、例えば化学物質の読み方では「DNase」は、書き言葉としては「ディーエヌアーゼ」と書いている場合が多いように見えるが、「ディーエヌエース」と読んでいる人のほうが圧倒的多数のように見える。特にローマ字読みの文化は、機械的に「日本語での読み方」が定まるという利点があるにもかかわらず、発音が滅茶苦茶だという理由で衰退の一途をたどっている。だが、かといって皆が皆、自分が聞こえた音に近いと思われるものを書き始めて行っては収拾がつかない。用語の日本語での読みについて、様々な混乱がみられるといったことは大学以上の学問では、多数あるので、「そういうもの」と割り切るしかない。Don't make it bad!!(そんなに悪く考えるな!!)〕。
この語源からも分かるように、IMRAD型の構成を取る文章は、基本的にはIntroduction(導入; I)、Methods(研究方法; M)〔
人によっては、Mのことを、Materials(材料)あるいは、Materials and Methods(材料と方法)と言っている場合もある。ただ、人文系の論文においては「材料」を使わないケースが多いため、中立性の観点から単に「Methods」とした。〕、Results(実験結果; R)、Discussion(考察; D)の4つの要素をこの順番に並べた骨格を持っている。通常はIntroductionの前に、Title(タイトル; T)をおくことや、Discussionの後にConclusion(まとめ; C)を書くことがほぼ必須で、ほとんどの場合、Titleの後(Introductionの前)にAbstract(アブストラクト; A)が入るのが普通である。また、文章の要素という程ではないが、それに準ずる役割を担うものとして、文章の最後に、謝辞参考文献一覧脚注が書かれていることがほとんどである。そのため本記事では、骨格部分に加え、Title、Abstract、Conclusion等を含めた構成のことを、IMRAD型の定義とする。
英語論文校閲業者 editage 社による解説記事には、それぞれの項目に以下のようなことが書かれるべきだと書かれている〔。
*Introduction :What are you studying and why?(何を研究したのか?、何故それを研究したのか)
*Methods :What did you do?(具体的には何をしたのか?)
*Results :What did you find?(何がわかったのか?)
*Discussion :What do your findings mean?(あなたが見つけたことは何を意味するのか?
*Conclusion :What have you learned from the study?(この研究を通じて得られたものは?)
もう少し詳細な情報を与えるため、表1にIMRAD型の構成要素の概略をまとめる。それぞれの項目にどのようなことを書くべきかについてのより具体的な説明は、それぞれの項目の要説に委ねる。なお、表1に挙げたことよりもより具体的な内容については、「問いと答えが繋がっていないような論文はダメな論文である」といったレベルの常識的な注意を除き、分野や文献、学者によって「どうすべきか」について解説に若干の温度差があることも念頭においておかれたい。
表1: IMRAD型の文章の構成要素とその役割
IMRaD形式の文章では「広い視点から研究の位置づけをするための話題」から話が始まり、「研究そのものの概要」、「研究方法」、「研究結果」を経て、再び「研究そのものの概要」、「広く一般的に見たときの意義付け」というように話が展開される。このような、IMRaDを取る文章に特有の論理展開や話の流れは、ワイングラスモデルによって説明される。ワイングラスモデルについて、ヒラリー・グラスマン-ディールは、自著において、以下のようなことを述べている〔。
:"図1(引用者による注:所謂ワイングラスモデルの図(本稿図1と似た図)が原典には記載されている)を見てまず気づくことは、図が上下対称な形になっているということである。これは、Introductionにおいてやらなければならないことの多くが、Discussion / Conclusion においてはその逆の順序でなされるからである。"
:"もう1つ図の形について気づくべきことは、図が報告主要部に向かって徐々に狭まっていき、そのあと徐々に広がっていくということである。これにはIntroductionとDiscussion / Conclusion における情報の並べられ方が表されている。Introductionにおいては、かなり一般的なところから始めて段々と焦点を絞っていくのに対し、Discussion / Conclusion ではその逆になるということである。"
ワイングラスモデルの「上下対称形状」は、ストーリーの流れの対称性を示している。この特徴は、Introductionで紹介された話題が、形を変えて再び「Discussion/Conclusion」でも、その節に相応しい形で逆順で取り上げられることを表現している。
ワイングラスモデルのもう一つの特徴、すなわち上図の横幅の変化は、話の「一般性」の変化を示している。一般的な話になればなるほど横幅が広く表現され、専門性が高くなり、焦点が絞られてくるにつれ、横幅が狭く表現される。
科学の論文においては、(掲載されている雑誌の特段の規定がない限り)通常、論文はIMRAD型で書かれるものとして認識されているため、それを守らぬ論文は受理されない。また、査読のない雑誌や、紀要、その他口頭発表等において、読者(聴衆)はIMRAD型を想定して、読む(聴く)ため、そのような構成をとっていないと読者側に無視される可能性がある。このような話は、単なる偏見でも郷に入れば郷に従えという話でもない。そういう構成をとった方が科学的な議論をする上で便利だからである。IMRAD型で記述しているか否かが、科学的と見なされるか否かの分水嶺であるといっても言い過ぎではない。
IMRAD型は多少のバリエーションを許す。MethodとResultが合体して1つの項目になっていることやResultsとDiscussionが合体して1つの項目になっていることもある。本記事では、このような、やや変則なものもIMRAD型と考える。さらに、最近ではNatureなどの総合学術雑誌に掲載されるに論文においては、Methodを最後に廻す構成、つまりIRDAM型になっていることがよくある〔
Pamela A. Derish and Thomas M. Annesley;"If an IRDAM Journal Is What You Choose, Then Sequential Results Are What You Use"Clinical Chemistry vol. 56 no. 8 1226-1228 (August 2010 )
、左記和訳〕。Methodを最後に廻す構成については、IRDAMという呼び方もあるが〔〔、本記事では、IMRADと本質的な違いがないと考え、特に強調を要する場合を除いてこれもIMRAD型単なるバリエーションの一つと考える。
さらに、最近では、Materialを初め、詳細なデータ等のディテールを示した「Supporting Online Material」、「Supplemental Information」といったファイルを、各ジャーナルのWebサイト上に置き、購読者にオンラインで配布する方式もとられてきている。その理由は、Methodや、データを紙面の都合から省略せざるを得ないということが、捏造事件等の温床になったという反省がある。オンライン上の独立したファイルにすれば、執筆者には論文全体の論旨とのバランスを考えずに好きなだけ実験の妥当性やデータのありようについて詳細に説明する機会が与えられる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「IMRAD」の詳細全文を読む




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