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11jigen(じゅういちじげん)は、科学技術論文における不正行為を摘発する匿名のブロガー。「捏造ハンター」。特に2014年のSTAP騒動で注目を浴びた「クラウド査読」の代表的人物〔〔。11jigenという名前は、初期の追及対象であるアニリール・セルカン氏が11次元宇宙を研究したと主張していたことに由来する。「JuuichiJigen」や「Juuichi Jigen」〔Whistleblower Uses YouTube to Assert Claims of Scientific Misconduct SCIENCE INSIDER 25 January 2012〕あるいはTwitterアカウントの名前である「論文捏造&研究不正」と呼称されることもある。 == 概要 == 2009年頃から科学論文における文章盗用や画像の改ざん、捏造を暴くようになった〔。ボランティアで不正の調査、摘発を行っていると言われている。SNSによる不正摘発が話題となったSTAP細胞や小保方晴子の研究不正疑惑における活動は特に有名である。ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥の論文不正疑惑も取り扱っている〔〔。 自作のブログやTwitterやYouTube〔を主な活動場所とする。自ら発見した論文中の不自然な酷似データや匿名サイトに散らばる追認可能な疑義を迅速に集約し、まとめWebサイトをブログとして開設し、一部については各研究機関に告発文書を送付するという一連の作業を繰り返し行ってきた。数物系のアニリール・セルカンの追及ブログが初期の代表作であるが、ここ数年の告発対象は生命科学に関する研究が多い。日本国内の論文だけではなく海外の研究者の論文も対象にしている。これまでにWeb上で疑義を呈した論文の数は300本を超える。また、海外の論文撤回監視WebサイトRetraction Watch〔http://retractionwatch.com/〕や、日本の科学研究問題を議論するWebサイト「日本の科学を考える」〔http://scienceinjapan.org/〕にコメントを書き込むこともある。 2015年現在、一般人に対しては匿名を保っており、個人かグループであるかも不明〔である。しかしながらその存在は広く認知を得ており、例えば米国の経済誌Forbesは、11jigenのブログをソースにしたディオバン事件に関する記事を、11jigenが該当ブログ〔http://komuroissei.blogspot.com/〕を作成してから一週間程度で配信した〔Suspicions Raised About Another Japanese Cardiovascular Researcher Forbes 2013年5月10日〕。広く認知を得た理由は、疑義の指摘が客観的で追認可能なものであり、そのWebサイトの内容に対応する研究不正認定の発表や報道が大学やマスメディアから何度も行われたからだと推測される。例えば東京大学分子細胞生物学研究所の論文捏造事案については、11jigenがWebサイトで2012年1月10日に論文24本の疑義について申立書を送ったと記載し〔http://blog.goo.ne.jp/bnsikato〕、その数ヶ月後に被告発者である教授が引責辞職したことがマスメディアから報道され〔朝日新聞 2012年04月05日〕、2013年7月25日の朝日新聞朝刊一面トップで43本の論文に改ざんや捏造の疑いがあることが内部調査のスクープとして報じられ〔東大43論文に改ざん・捏造疑い 元教授グループ 朝日新聞 瀬川茂子 2013年7月25日〕、2013年12月26日に東京大学から発表された不正調査の中間報告において確かに2012年1月10日に告発があったことが記載された〔記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正に関する調査(中間報告)」の実施について 東京大学 2013年12月26日〕。 獨協医科大学の論文不正事案への告発文に告発者の氏名が書かれており〔独協医大:不正論文で調査 学長に告発文 栃木 毎日新聞 地方版 2011年2月10日〕、その告発者が同時期にインターネットのブログに同じ内容を掲載していると報道されていること〔独協医大で「不正論文」の告発 栃木 産経新聞 地方版 2011年2月9日〕や、名古屋市立大学の論文不正事案に係る調査報告書に「ある個人の方」という表現が告発者に対して使われていること〔研究上の不正疑義に関する調査結果を公表しました 名古屋市立大学 2012年3月19日〕などから、11jigenは各研究機関に対しての告発は実名で行なっていると推測される。すなわち11jigenは、逆恨みされるリスクや名誉毀損訴訟を起こされるリスクなどを自ら実名で負っていると推測される。 11jigenの行為により、通常なら不正認定が行われるまであまり表にはでなかった研究不正の疑惑が、匿名掲示板などで発覚した場合はすぐに世界中に共有され得るようになった(例えば〔や〔を参照)。そして言わば衆人環境の中で各研究機関がすぐに調査に追われる状況が生まれた。すなわち11jigenの活動は単に不正な研究論文を大量に排除しただけではない。迅速で客観的な公開告発をルーティンワーク化することによって、研究不正問題の認知の拡大と、不正調査の透明性の向上に寄与したといえる。 2014年のSTAP騒動においては、(1)Nature Letter論文のSTAP細胞のキメラの胎盤画像とFI-SCのキメラの胎盤画像が酷似している、(2)Nature Article論文のSTAP細胞由来テラトーマ免疫染色画像と小保方博士論文の骨髄sphere由来テラトーマ免疫染色画像が酷似している、(3)小保方博士論文の冒頭20ページの文章がNIHのサイトのほぼ完全な剽窃である、という事態を大きく変えた3つの疑義などを提供し、連日マスメディアで大きく報じられた〔STAP細胞、博士論文の画像転用か 理研も把握 産経新聞 2014年3月10日〕〔小保方氏の博士論文 20ページが米NIHサイトとほぼ同じ 産経新聞 2014年3月12日〕。 山中伸弥が2000年に発表した論文への疑義は、2ちゃんねるのスレッド「捏造、不正論文 総合スレネオ2」の240番目のレス(2013年3月30日)と511番目(2013年4月6日)のレスが初出であり、11jigenのブログはその内容をまとめて解説したものである。11jigenのTwitterアイコンは、STAP論文の疑惑が決定的になった2014年3月中旬まで一年弱はその疑義を表した図であった。Webサイトを見た京都大学iPS細胞研究所は自主的に調査を行った。調査の結果、該当する生データは発見されなかったが、山中伸弥が捏造や改ざんを行ったとは認定されなかった。STAP騒動の最中の2014年4月下旬に新潮社からその疑義に関する連絡を受けると、京都大学iPS細胞研究所は調査結果を即日公表し、山中伸弥は記者会見を行った。論文を掲載したEMBO Journal誌は不正なしの見解を支持した。九州大学の中山敬一教授は、山中伸弥への疑義について「言いがかり」と批判した〔。 2014年4月2日に報道された読売新聞との対面取材において、STAP騒動における自身の活動の反響の大きさに戸惑っていることと、研究不正追及からの引退を考えていることを表明した〔読売新聞朝刊 2014年4月2日〕。2015年12月現在、少なくともTwitterでは半年以上新しい活動は行っていない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「11jigen」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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