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Kan拡張 : ミニ英和和英辞書
Kan拡張[1つの]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。


Kan拡張 : ウィキペディア日本語版
Kan拡張[1つの]
圏論においてカン拡張とは普遍性を持つ構成の一種である。 カン拡張は随伴関手と近い関係を持つばかりでなく、圏における極限概念やエンドとも関係している。カン拡張の名は1960年に極限を用いてこの拡張を構成した ダニエル・カンの名に由来している。黎明期のカン拡張はホモロジー代数導来関手を求める際に使われていた。
''圏論の基礎''( ソーンダース・マックレーン 著)においてMac Laneは「すべての概念はカン拡張である」と述べ、さらには「カン拡張には圏論における基本的な概念がすべて含まれている」とまで述べている。
ある部分集合上で定義された関数を全体集合にまで拡張する操作を一般化したものがカン拡張である。カン拡張の定義は、当然のように高度に抽象化されている。特別な場合として、半順序集合の場合には、カン拡張は'constrained optimization'の問題となり比較的馴染み深いものになる。

==定義==
3つの圏
:\mathbf,\mathbf,\mathbf
および二つの関手
:X \colon \mathbf \to \mathbf, F \colon \mathbf \to \mathbf,
が与えられたとき、Fに沿ったXのカン拡張は「左」カン拡張と「右」カン拡張の2種類がある。
どちらも、次の図式の破線で書かれた関手と2-セル\etaを見つけることに相当する。
:
形式的には、''XFに沿った右カン拡張''とは関手R \colon \mathbf \to \mathbfと自然変換\eta \colon RF \to Xで余普遍性をもつもののことをいう。これは、任意の関手M \colon \mathbf \to \mathbfと自然変換 \mu \colon MF \to Xに対して、自然変換\delta \colon M \to Rが一意的に定まって次の図式を可換にすることを意味する。
:

:(ここで、\delta_Fは各a\in\mathbfに対して、コンポーネント\delta_F(a) = \delta(Fa)\colon MF(a) \to RF(a)を持つ自然変換である)
関手''R''はしばしば\operatorname_FXと書かれる。
圏論におけるほかの普遍的構成と同じようにして、「左」カン拡張は右カン拡張の双対概念として得られる。すなわち上記の自然変換たちの向きを単に逆にするだけである。(関手F,G \colon \mathbf \to \mathbfの間の自然変換 Tは、\mathbfの任意の対象aに対して、「自然な」性質を満たす射 T(a) \colon F(a) \to G(a)で定まっていることに注意する。双対圏に変えるとき、T(a)のドメインと余ドメインが取り替えられて、Tは逆の方向に働くのである)。
つまり右カン拡張と同様にして次のように述べられる:
''XFに沿った左カン拡張''とは関手 L \colon \mathbf \to \mathbf と自然変換\epsilon \colon X \to L Fで普遍性をもつもののことをいう。これは、任意の関手M \colon \mathbf \to \mathbfと自然変換 \alpha \colon X \to MFに対して、自然変換\sigma \colon L \to Mが一意的に定まって次の図式を可換にすることを意味する。
:

:(ここで、\sigma_Fは各a\in\mathbfに対して、コンポーネント\sigma_F(a) = \sigma(Fa)\colon LF(a) \to MF(a)を持つ自然変換である)
そして関手''L''はしばしば\operatorname_FXと書かれる。すべての普遍的構成と同様に、カン拡張も同型を除いて一意に定まる。左カン拡張の場合に関して言えば、もしL, MのふたつがXFに沿った左カン拡張で、\epsilon, \alphaが上記の自然変換だとするとき、図式を可換にするような関手の同型\sigma \colon L \to Mが一意に存在するのである。右カン拡張の場合も同様である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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