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ラグランジュ点(ラグランジュてん、、ラグランジュ・ポイント、L 点とも)とは、天体力学における円制限三体問題の5つの平衡解である。 == 概要 == ある天体 E の周りを何らかの天体 A が回っているとし、E と A 以外に天体がない場合、A が描くべき軌道は簡単に導く事ができ、A は楕円軌道を描く〔ただし A の速度が天体間の引力に比べて充分速い場合には、楕円軌道を描かずに無限遠へと飛んで行ってしまう事が知られている。〕。 この問題を二体問題といい、その解はすでにアイザック・ニュートンによって知られていた。 例えば E を地球として、A を小惑星など地球の引力に束縛された何らかの天体とすると、他に天体が存在しないならば A の軌道は二体問題を解くことによって求められる。 しかし、さらに別の天体 M がある場合には、問題は二体問題に比べて遥かに難しくなる。 A, E, M の 3 つの天体が重力によって影響し合っているときに、それら天体の軌道を決定する問題は三体問題と呼ばれる問題の特別な場合にあたるが、 一般に三体問題は解析的に解けないことが知られている。 たとえば前述の地球と小惑星の二体問題に、天体 M として月を加えたものは三体問題に属する。 A の質量が他の 2 天体 E, M の質量に比べ無視できるほど小さいという条件下では、A が特殊な位置にあれば A はその位置(E や M から見た相対位置)に留まっていられることが知られている。このような位置をラグランジュ点という。 より正確にはラグランジュ点とは、E の A への重力、M の A への重力、A の重心系から見た遠心力の 3 つが釣り合っている点の事である。 このような点では A にかかる力は釣り合っているので、A はその位置に留まり続けることができる。 ラグランジュ点は全部で 5 つある事が知られており、いずれも E と M の軌道を含む平面内にある。 それぞれ L1, L2, L3, L4, L5 と表され、最初の3 つは E と M を結ぶ直線上にあり、残りの 2 つは E と M の双方から 60 度の位置にある。L4, L5 の 2 つを特にトロヤ点 (trojan points) と呼ぶ。 ラグランジュ点はまずレオンハルト・オイラーが1760年頃にトロヤ点以外を発見し、その後ジョゼフ=ルイ・ラグランジュが1772年にトロヤ点を見つけ、同時に解を示すための条件も緩めた。 彼らの成果は運動方程式を解くことで理論的に得られたものだが、実際にラグランジュ点に天体が留まっている例が確認されている。例えば太陽と木星のラグランジュ点には数千個(以上)の小惑星群がある。その一部の小惑星にはトロイア戦争における英雄の名が付けられ、このラグランジュ点は「トロヤ点」、小惑星群は「トロヤ群」とも呼ばれる。 ラグランジュ点はスペースコロニーを建設する軌道の候補でもある。ジェラルド・オニールはコロニーを地球と月のラグランジュ点に作る事でコロニーの軌道を安定させるというアイデアを述べている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ラグランジュ点」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Lagrangian point 」があります。 スポンサード リンク
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