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MPMS ( リダイレクト:96式多目的誘導弾システム ) : ウィキペディア日本語版
96式多目的誘導弾システム[きゅうろくしきたもくてきゆうどうだんしすてむ]

96式多目的誘導弾システム(きゅうろくしきたもくてきゆうどうだんシステム)、型式名ATM-4は、日本川崎重工業が開発した対戦車・対上陸用舟艇ミサイルシステム(対戦車ミサイル)である。陸上自衛隊で使用されている。
略称はMPMS(Multi-Purpose Missile System エムピーエムエス)〔、愛称は96マルチ
== 概要 ==
発射地点の見通し線外目標に対して攻撃が可能な多目的誘導弾。射程は非公開ながら10km以上とされる。光ファイバーTVM赤外線画像誘導方式を採用し、ミサイル先端部のNEC製赤外線シーカーが捜索探知した目標の画像信号を光ファイバー経由で地上誘導装置に送る。射手はミサイルから送られてくる画像をテレビ画像として確認し、追尾の指示を行う〔「日本の防衛力」(9)師団の海岸地域防衛戦力・多目的誘導弾&10式新戦車 軍事情報研究会 「軍事研究」2010年11月号 P123-146 株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー〕。発射機を敵の視線に晒す必要が無いため、敵の反撃を防ぎ、部隊の生存性を高めることができる。
開発は1986年(昭和61年)から開始され、1996年(平成8年)度に制式化された。発射機、地上誘導装置、射撃指揮装置、情報処理装置、装填機、観測機材からなるシステムで、情報処理装置及び装填機を3 1/2tトラックに、その他は高機動車に搭載して運用される。そのため、1個射撃分隊につき6両で構成される〔〔。発射機に装填された誘導弾コンテナには6発の誘導弾が格納されており、再装填の際は装填機でコンテナごと取り替える。システム一式の価格は約27億円(平成24年度)〔平成24年行政事業レビューシート 〕。誘導弾一発あたりの価格は約5,000万円〔日本実業出版社「いまこそ知りたい自衛隊のしくみ」著:加藤健二郎 ISBN 4-534-03695-7 p122〕。
ミサイル発射機は6連装で高機動車に搭載されており、発射時にはジャッキで車体を固定し、噴流偏向板を展開し、発射機に仰角をかける〔96式多目的誘導弾 三鷹聡 スピアヘッドNo.8 P68-75 アルゴノート社〕。ミサイルは発射されると4枚2組の翼が展開される。目標手前の上空まで急上昇しながら飛行し、目標に向け鋭角に落下、比較的装甲の薄い上面に直撃する飛翔経路を取る。エアクッション艇を含む上陸用舟艇にも対処可能であり、主力戦車を含む全ての車両を撃破する能力を有している〔。複合装甲のような特殊装甲にも対処可能とされる。目標に応じ信管遅延秒時の変更が可能であり、対舟艇攻撃時には遅延動作する〔。ミサイルの誘導には地上誘導装置が不可欠であり、発射機と地上誘導装置の光ファイバーでの連結が必要であるなどの準備が必要である〔。
光ファイバー有線誘導式ミサイルはアメリカ合衆国ヨーロッパでも開発が行われているが、2009年までに配備に至ったのは96式のみである。アメリカ合衆国のMGM-157 EFOGMは1990年にキャンセルされ、ヨーロッパで開発されていた多目的誘導ミサイルであるポリフェム2003年に計画がキャンセルされている。
国内の演習場では、実射訓練及び訓練内容に制限があるため、ワシントン州ヤキマトレーニングセンターに持ち込んでの射撃訓練も行っている〔米国における射撃訓練 〕〔10普連基幹の派米実動訓練 朝雲新聞2009年11月5日号 〕〔矢臼別演習場であれば最大射程での射撃は行えるが、弾着地の後方数キロ先に国道がある関係により標的が固定式及び演習弾に限定されるなど訓練内容に制限があるため、実際の戦場を意識してヤキマ演習場において移動標的(廃棄処分の戦車など)を活用した実弾射撃訓練を行っている。対舟艇に対する射撃訓練は平成24年からは中距離多目的誘導弾と共に、佐多射撃場での対舟艇射撃が開始された。〕。
当初、この火器は79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の後継システムとして開発した経緯があったが〔、現在では調達数及び予算の関係から後継システムとしてではなく全く新しいカテゴリーでの配備が続けられている。これは 1個射撃分隊分(1個射撃小隊は2個分隊編成)を調達するのにシステム機材及び車両の合計で約27億円(平成24年度)の経費がかかるためであり、そのため79式対舟艇対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾の後継は中距離多目的誘導弾を採用して部隊配備がすすめられている〔。
平成24年度に総計37セットで取得終了となる〔平成24年行政事業レビューシート (防衛省)96式多目的誘導弾システム 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「96式多目的誘導弾システム」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Type 96 Multi-Purpose Missile System 」があります。




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