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MSXturboR : ウィキペディア日本語版
MSXturboR[えむ えす えっくす たーぼあーる]

MSXturboR(エム・エス・エックス・ターボアール)とはMSX規格の一つで、MSX2+の後継規格として1990年に発表された。
16ビットのCPU、R800を採用したことが特徴。turboRのRは、R800のRである。これまでオプション搭載だったMSX-DOS2MSX-JEMSX-MUSICが規格として標準搭載になる。
一連のMSX規格で、最後の規格となった。
== 主な仕様 ==


*CPU
:ザイログZ80A相当品(クロック周波数3.579545MHz、割り込みはモード1)+アスキーR800を排他利用。
*VDP
:MSX2+準拠
*画面モード
:MSX2+準拠
*メインメモリ
:FS-A1ST:256KB
:FS-A1GT:512KB
*サウンド
:MSX1準拠+MSX-MUSIC(ヤマハ YM2413
*PPI
:MSX1準拠
turboRでのR800の入力クロック周波数は28.636360MHzだが、実動作クロック周波数はそれを内部で1/4に分周した7.15909MHzだった。ただしR800は、Z80のかなりの命令を1クロックで実行できるなど、同一クロックの実効速度がほぼ4倍速であるため、カタログでは「Z80換算で28MHz相当」という巧妙な記述がなされた。
turboRは従来のMSXとの互換性を維持するために、Z80相当品(MSX-ENGINE2)と、R800使用時のZ80バスサイクルエミュレーション機能を搭載するシステムLSI S1990を実装している。R800自身はメモリー管理なども含めハードウェア、ソフトウェア共にZ80を拡張したCPUであるが、turboRでは設計上それらが生かされることはなく、乗算命令の追加された高速なZ80として使われている。システムではソフト切り替えで2つのCPUを排他的に使用するようになっており、双方のCPUを同時に使用することは出来ない。起動時にBIOSが判定を行い、従来のソフトウェアは自動的に互換モード(Z80)で動作するようになっていた。ソフトウェアによる切り替えが可能だったことから、ディスクのソフトをブートブロックの書き換えにより強制的に高速モードで動作させるツール等も作られた。これらを用いて従来のソフトウェアについても高速化も出来たが、保証外の行為であり、Z80のタイミングに依存したウェイトやタイミングなどの理由により正常に動作しないケースもあった。逆に、turboRリリース後に発売されたゲームの中にはMSX2/2+用として発売されながら、起動時にチェックを行いturboRでは高速モードで動作するゲームもあった。
MSXturboRは従来機同様、MSX2で追加された仕様であるメモリー・マッパーを使用してメインメモリーを拡張し、日本語対応のMSX-DOS2を内蔵した。内蔵のメモリーマッパーはS1990の仕様による制限があり、512KiBまでは正常に実装可能であるが、マッパレジスタが6bitまでしかデコードされておらず、1MiBに実装した場合でも、マッパレジスタの読み込みに問題が生じる。改造により本体に直接メモリを増設した場合、これを原因として動作しないアプリケーションもある。
開発中とされた新規VDP(V9990)の採用は見送られ〔『MSX・FAN』1995年2月号、p.90。〕、MSX2+と同じ実装のV9958による表示が著しく全体のパフォーマンスの足をひっぱる形となっている。VRAMは構造上、VDPを経由しなければアクセスできず、VDPのアクセスそのもの至ってはMSX2+よりも無条件に多くのウェイトが掛けられるようになっている。描画を行わないソフトウェアでは高速な動作をするものの、描画処理が増えるほどVDP自体の処理速度に依存してしまい、演算部分で著しい処理落ちが存在しないソフトウェアでは、緩慢な動作をしているものでも、旧機種に対し、高速モードのパフォーマンス的な優位性は示せなかった。ただし、後期には、CPUパワーを生かし、Z80では間に合わなかった処理を垂直同期割り込み期間中に行うことで、より高度な処理を見せるプログラムも現れた。起動画面はMSX2+とほぼ同じだが、スクロールが速くなった。
音源ではMSX-MUSICが標準搭載になったほか、8ビットPCMの録音再生機能もついた。ただし、BIOSのルーチンではPCM再生時にCPUの他の処理を止めてしまうため、他のPCM/ADPCM搭載機のように音楽の同期演奏に使うのには著しく難があり、利用例は多くなかった。後年にはVDPの走査線割り込みを利用することで並列再生させたソフトもあったが、MSXは元々1ビットD/Aのサンプリング機能を持ち、またPSGを使用しての4ビットPCM再生をさせたソフトも存在した事から、それほど注目はされなかった。
MSXViewというGUI環境がオプション規格として用意された。これは1987年HAL研究所から発売されたMSX2向けのGUI環境のHALNOTEというソフトをMSX-DOS2の機能やメモリマッパーに対応させるなど発展させたものである。3.5インチディスクと漢字ROMカートリッジを同梱して1991年にアスキーから9,800円で発売された。MSXturboR本体のみでもMSXViewは動作できたが、12×12ドットのフォントが収められた漢字ROMカートリッジがあれば、16×16ドットの内蔵フォントを1文字ずつ12×12ドットへ圧縮する負荷がなく、より軽快に表示することが可能になっていた。フロッピーディスク版とA1GTに搭載された内蔵ROM版があったが、前者は頻繁にシステムディスクを要求されるため、シングルドライブ環境ではとても実用的とは言えなかった。MSXView向けのソフトは、表計算ソフトのViewCALCやフリーソフトウェアがいくつかある程度で終わっている。なお、MSXViewではHALNOTEのソフトを使うこともできた。
細かいところではカセットテープ端子が操作用BIOSもろとも規格から削除され、BASICは命令ごと削除、BIOSは何もせず正常終了かエラーを返す。そのほか、殆んど使用されなくなっていた周辺機器用のBIOSも一部がなくなり、今シリーズまで維持されていた旧仕様の完全な「上位互換」ではなくなった。
対応機を発表したのは松下電器産業(現:パナソニック)のみ。1990年10月に「FS-A1ST」が発売、年末商戦という機会もあって各店で品切れが続出し、当初は3万台強の出荷が見込まれるほど販売台数が好調だった事もあってか、翌年の1991年11月にはメインメモリを512KBに増設しMIDI端子を装備したマイナーチェンジモデルの「FS-A1GT」を発売した。多機能化が図られた結果、消費税込みで10万円を超えた価格設定で、当時の国内パソコン市場で優位に立っていたPC-9801シリーズの互換機を販売していたセイコーエプソンEPSON PCシリーズ最廉価モデル PC-286Cの販売価格が12万円台と、価格面での優位性を示せなくなっており、出荷台数は約7,000台ほどと大幅に減少した。その後、新たなMSX規格の開発が終了したため、松下電器は3DOを発売する事になる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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