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NEXTSTEP(ネクストステップ)は、NeXTコンピュータのオブジェクト指向マルチタスクオペレーティングシステムである。 オリジナル版は同社独自のコンピュータ「NeXTcube」上で動作するよう開発された。NEXTSTEPそのものは商業的にあまり成功しなかったものの、技術面やユーザインターフェース面で後世に与えた影響は大きい。現在のMac OS XやiOSはNEXTSTEPの後身である。 NeXTSTEP 1.0 は、1986年からのプレビューを経て1989年9月18日にリリースされた。 最終リリースとなった 3.3 は1995年にリリースされている。最終リリース時点では、モトローラ68000ファミリ(NeXTのマシン)だけでなく、インテルのx86(IBM互換機)、サンのSPARC、HPのPA-RISCでも動作した。 == 概要 == NeXTSTEP にはいくつかの構成要素がある。 * Machカーネルに基づいたUNIX風オペレーティングシステム(XNU)。ただし、カリフォルニア大学バークレー校のBSD Unixのソースコードも取り入れている。 * ディスプレイ・ポストスクリプトとウィンドウ・エンジン * Objective-C言語とランタイム環境 * オブジェクト指向アプリケーション層、いくつかのキットを含む。 * オブジェクト指向層のための開発ツール NeXTSTEPの名声は、最後の3要素によるものである。ツールキットは極めて強力で、マシン上のあらゆるソフトウェア構築に使われた。特徴的なObjective-C言語はNeXTSTEPでのアプリケーション開発を他のシステムよりずっと容易にしている。このため、このシステムは20年以上経った現在でもコンピュータ開発の模範と言われることが多い。 NeXTSTEPのユーザインタフェースは洗練されていて整合性が高く、特徴的なウィジェットはWindows95のシェルデザインの原型になった。他に、Mac OS Xでも採用されたDockというアイデアがあり、Shelfという仕組みもあった。NEXTSTEPのファイルマネージャであるWorkspace Managerは多数のファイルを管理するのに便利であり、Smalltalkのクラスブラウザから受け継いだカラム表示のコンセプトは、Mac OS XのFinderをへてiTunes、iPodのインターフェースに引き継がれている。 NeXTSTEPは他にも今では一般的な数々のGUIコンセプトを生み出した。三次元風なインタフェイス部品、システム全体で共通なドラッグ・アンド・ドロップ、システム全体のパイプサービス、リアルタイムスクロールとウィンドウドラッグ、プロパティダイアログ ("inspectors")、ウィンドウを変化させて何かを知らせる(たとえば、ファイルセーブ状況など)といったことである。 他にもいろいろな面で初めてのものが導入されている。印刷用カラー標準への対応、アルファチャンネル(白黒時代からアルファ値を持っていた)、洗練されたサウンドと音楽処理(モトローラの56000DSPを使用)、グラフィックの基本要素、国際化、全てのアプリケーションで同一の文字表示(組版)などである。日本語版ではモリサワのPostscript フォント(リュウミンLと中ゴシックBBB)が標準で付属し、画面表示に利用された。 追加のキットが製品として出ている。それには、Portable Distributed Objects (PDO) というリモート実行(呼び出し)ができるものや、WebObjectsの元となったEnterprise Objects Framework (EOF) というオブジェクト指向データベースシステムがあった。これらのキットはカスタムアプリケーションプログラマには面白いものであり、NeXTSTEPは金融系プログラミングの世界では長く使われた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「NEXTSTEP」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 NeXTSTEP 」があります。 スポンサード リンク
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