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N線 : ウィキペディア日本語版
N線[えぬせん]
N線』(エヌせん、)は、1903年フランスの科学者ルネ・ブロンロにより報告された現象であるが、後にそれは錯誤によるものであることが明らかになった。病的科学の一例として示されることが多い。
== N線の"発見" ==
1903年、に籍を置く優秀な物理学者であったブロンロは、X線の偏光を観測するため放電管とスパーク・ギャップを並列につないだ装置で実験をしている最中に、スパーク・ギャップの電気火花の明るさが変化することに気がついた〔クロッツ、1989、pp.78-80〕。彼はこれを新しい放射線によるものだと考え、スパーク・ギャップと写真乾板を組み合わせた実験装置を作り、火花の変化を写真に記録〔クロッツ、1989、pp.80-82〕。この放射線をナンシー大学にあやかり「N線」と名付けた〔チュイリエ、1984、p.131〕。ブロンロが報告したこの現象は、など多くの科学者による追試でも確認され、多くの論文が発表された〔クロッツ、1989、pp.83-85〕。また「N線」はX線源だけでなく、ガス・マントル、熱した鉄板や銀板、人体の神経組織、植物や発酵中の有機物など、多くの物質からも放出されることが"発見"された〔クロッツ、1989、pp.83-84〕〔高村、藤井、須藤、1979、pp.198-199〕〔橋本、1992、pp.96-97〕。なお、物理学者のギュスターヴ・ル・ボンP・オドレーなどがN線やその効果の発見の先取権を申し立てたが、いずれも退けられた〔クロッツ、1989、pp.89-90〕〔橋本、1992、p.96〕
ブロンロは1904年に科学アカデミーから彼の研究全体を称えられ、を授与された〔クロッツ、1989、pp.88-89〕〔チュイリエ、1984、p.130〕。N線は"発見"された1903年から1906年に至るまでの3年間に100人以上の科学者が300編もの論文で取り上げるほどまでになった〔ブロード、ウェイド、2014、p.169〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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