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SIGSALYとは第二次世界大戦中にアメリカ合衆国のベル研究所で開発された秘話装置で、イギリスのウィンストン・チャーチル首相とフランクリン・ルーズベルト大統領との秘密会談など、アメリカと他の連合国間の重要な通信のために使用された。 SIGSALYの名称はこのシステムを扱ったアメリカ陸軍通信隊(US Army Signal Corps)でのコードネームで特別な意味はない。ベル研究所では X システム や プロジェクト X の名称で呼ばれた。ニックネームはグリーン・ホーネット(Green Hornet)で、通信時の蜂の羽音に似たデジタル変調音が当時有名だったラジオ番組の主題歌に出てくる音に似ていたためそう呼ばれた〔''A History of engineering and science in the Bell System: National Service in War and Peace (1925 - 1975),'' p.296.〕〔''Military Communications: From Ancient Times to the 21st Century,'' pp409-410.〕。 == 概要 == SIGSALYは第二次世界大戦中の1943年に運用が開始され1946年まで使用され、3,000回を超える秘密会議がこのシステムを使って行われた。 当時の最新技術を集めたシステムで、世界最初の実用的なデジタル音声通信システムであり、また音声通信と近代的な暗号とを組み合わせた最初の装置でもある。 このシステムは真空管とアナログ回路の時代に作られたため、当時としては非常に大規模で複雑なシステムだった。装置の重さは約55トン、消費電力は30kWに上り、7フィート標準ラック30以上を占める大きさで設置のためには空調が効いた広い部屋が必要だった〔''A History of engineering and science in the Bell System: National Service in War and Peace (1925 - 1975),'' p.298.〕。 暗号化方式はバーナム暗号を応用したもので、共通鍵の管理に乱数鍵を1回だけ使うワンタイムパッド方式が用いられた。音声信号の暗号化のためには多量の乱数が必要なため、二極真空管が発生する雑音をデジタル化し2枚のレコード(音盤)にあらかじめ記録して送信側と受信側とで使用した。レコードは使用後に破棄された。 SIGSALYの存在と技術内容は長い間秘密にされた。1940年代にベル研究所が出願したSIGSALYに関連する多くの特許が一般に公開されたのは、それから30年以上経った1975~1976年だった〔''A History of engineering and science in the Bell System: National Service in War and Peace (1925 - 1975),'' p.297.〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「SIGSALY」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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