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SMARPP(スマープ、Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program:せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム〔日本語名が一定していない。「せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム」は、平成24年度『若年層向け薬物再乱用防止プログラム等に関する企画分析報告書』55-58頁に載っている。「せりがや覚せい剤再発予防プログラム」は、『精神神經學雜誌』112(9)p887-884に掲載されている。 平成22年度「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」1-6頁には、SMARPPの横に「認知行動療法による薬物依存症治療プログラム」と書かれている。〕〔)とは、神奈川県立精神医療センターのせりがや病院にて開発された、認知行動療法の志向を持つ精神刺激薬の覚醒剤への薬物依存症を主とする対象とした、外来の治療プログラムである。このプログラムは2006年より、松本俊彦が中心となって開発されている。派生するプログラムは各地域ごとに、多摩ではTAMARPPなどと呼ばれる。また読書を通してセルフヘルプを行うためのワークブックも出版されている。 アメリカの西海岸で広く実施されている、マトリックス研究所のマトリックス・モデルという治療プログラムを参考にし、使用の防止には認知行動療法を、支持する場合には動機付け面接の原則をとり、依存症の知識と具体的な対処スキルの修得に重点が置かれている。なお、SMARPPは8週間全21回という短期集中セッションの形式で開始されたが、週1回28週や週1回16週などの試行錯誤を経て、現在は週1回24週のプログラムとして実施されている。 平成28年度の診療報酬改定にて「依存症集団療法」として診療報酬加算が認められた。薬物依存症に対して治療を行うことが世界的な主流となっていく中で、日本はいまだ刑罰の他に治療の選択肢も少なく、薬物犯罪の刑を一部執行猶予する法案も通り、治療プログラムの整備が求められていた。費用も、司法よりも治療のほうが少ない〔〔。 ==刑罰から治療へ== 国際的には、刑罰ではなく依存症の治療を提供する政策が主流である。 日本は、覚せい剤乱用が50年も続いている世界的に稀有な国である。日本では、薬物依存症が治療されないため覚醒剤に関した薬物犯罪は、男子62.1%といった高い再犯率を維持し、さらには治療よりも司法のほうが大きな費用がかかるともされている。日本の標準的な精神科医にとっては、覚醒剤によって生じる状態でよく理解されているのは精神症状を呈した場合のみであり、その根本にある依存症を専門とする者は少なく、入院対応できる医療機関は限られ、以前は外来の治療プログラムとなると皆無であるといった状態であった。 日本では薬物依存症になった者は、民間の回復施設などを利用する以外に治療という選択肢がない状況にあり、薬物犯罪の刑を一部執行猶予する法案が通ったこともあって、治療体制と治療プログラムの整備が求められていた。2015年には、それまでの8都県だった治療プログラムの提供施設を、日本全国69カ所の精神保健福祉センターに拡大することを決定した。 SMARPPは、平成22年~24年度の3年間、厚生労働科学研究班「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」(研究代表者 松本俊彦)の成果に基づいて、平成28年度の診療報酬改定にて「依存症集団療法」として診療報酬加算が認められた。薬物依存症に特化した医療技術が保険給付の対象となったのはわが国では初めてのことであり、わが国における保険医療の歴史上、画期的な出来事といってよいだろう。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「SMARPP」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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