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スピロヘータ(またはスピロケータ、spirochaetaまたはspirochetes)とは、らせん状の形態をしたグラム陰性の真正細菌の一グループである。学名の由来は「コイル状の髪」を意味するギリシア語をラテン語に音写したもので、ラテン語の厳密な発音では「スピーロカエタ」である。 他の典型的な細菌とは異なり、菌体の最外側にエンベロープと呼ばれる被膜構造を持ち、それが細胞体と鞭毛を覆っている。細胞壁が薄くて比較的柔軟であり、鞭毛の働きによって、菌体をくねらせたりコルク抜きのように回転しながら活発に運動する。 自然環境のいたるところに見られる常在菌の一種でもある。一部のスピロヘータはヒトに対して病原性を持つものがあり、梅毒、回帰熱、ライム病などの病原体がこれに該当する。またシロアリや木材食性のゴキブリの消化管に生息するスピロヘータは、腸内細菌として宿主が摂った難分解性の食物から栄養素を摂取したり、エネルギーを産生する役割にかかわっている可能性が指摘されている。 == 分類 == 細菌の形態には、球型のもの(球菌)や棒状のもの(桿菌)の他に、桿菌と同様に細長い菌体がらせん形になったものが存在し、これらはらせん菌と総称される。 らせん菌はその回転数から、(1) 回転数が1回程度のもの、(2) 2 - 3回のもの、(3)5回以上( - 数百回)のものに区別される。1に該当するものにはコレラ菌などのビブリオ属が、2に該当するものにはスピリルム、カンピロバクター、ヘリコバクターが挙げられ、3に該当する細くて回転数の多いものが俗にスピロヘータと総称される。 スピロヘータは以前、真正細菌とは異なる別の微生物として考えられていたが、その後、研究が進むにつれて真正細菌の一グループをなすものであることが判明した。2005年現在の細菌の分類では、スピロヘータは独立した門として扱われており、以下、スピロヘータ綱スピロヘータ目スピロヘータ科スピロヘータ属という、属のレベルまでが存在しているが、一般にはこの中で、スピロヘータ目に属するものすべてを指す場合が多い。 2012年現在、スピロヘータは以下のような位置づけにある。ただしスピロヘータの分類はまだ整理の途上にあり、今後変更される可能性がある。 * Spirochetes スピロヘータ門 * Spirochaetes スピロヘータ綱 * Spirochaetales スピロヘータ目 * Spirochaetaceae スピロヘータ科 * ''Spirochaeta'' スピロヘータ属 * ''Borrelia'' ボレリア属:回帰熱ボレリア(''B. recurrentis''ほか)、ライム病ボレリア(''B. burgdorferi''ほか)など * ''Clevelandina'' :昆虫の後腸に寄生 * ''Cristipira'' * ''Diplocalyx'' :昆虫の後腸に寄生 * ''Hollandina'' :昆虫の後腸に寄生 * ''Pillotina'' :昆虫の後腸に寄生 * ''Sphaerochaeta'' * ''Treponema'' トレポネーマ属:梅毒トレポネーマ(''T. pallidum'')など * Brachyspiraceae ブラキスピラ科 * ''Brachyspira'' * ''Serpulina'' セルプリナ属:豚赤痢菌(''S. hyodysenteriae'')など * Leptospiraceae レプトスピラ科 * ''Leptonema'' * ''Leptospira'' レプトスピラ属:ワイル病レプトスピラ(黄疸出血性レプトスピラ, ''L. interrogans'' serovar icterohaemorrhagiae)、秋疫(あきやみ)レプトスピラ(''L. interrogans'' serovar autumnalis Akiyami A ほか)など * ''Turneriella'' * Brevinemataceae ブレウィネマ科 * ''Brevinema'' * 所属科不明 * ''Exilispira'' 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スピロヘータ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Spirochaete 」があります。 スポンサード リンク
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