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TO図(ティーオーず)あるいはOT図(''orbis terrarum''、大地の球もしくは円を意味する; またOの中にTがあるようなこの地図の形状をも表す)は地図の一種で、西洋中世に用いられた世界地図である。8世紀のスペインの修道士リエバナのベアトゥスが作成したとされる初期の代表的なTO図ベアトゥスの世界地図にちなんでTO図全体をベアトゥス図と呼ぶこともある。ベアトゥスの世界地図は『黙示録』に対する彼の12巻の注釈書の冒頭に登場する。 ==歴史と解説== TO図は経験的世界を表す地図で、7世紀の学者セビリャのイシドルスが著書『語源』(第14章、de terra et partibus)に描いたものが初出である: イシドルスが『語源』中で地球は「まるい」と教えていることに関して、彼の意味するところは曖昧だが、彼は円盤状の地球に言及したと考える著述家もいる。しかし、イシドルスは他の著作では自身が地球は球形だと考えていることを明らかにしている。実際のところ、少なくともアリストテレス(彼は球状の地球を極地方の寒帯、赤道付近の灼熱帯、その間の温帯といった気候帯に区分した)以降の西洋の教養人の間では一般に地球球体説が事実だとみなされていた。 TO図は球状の地球の上半分だけを表している〔Michael Livingston, Modern Medieval Map Myths: The Flat World, Ancient Sea-Kings, and Dragons , 2002.〕。これは暗黙に地球の北側の温帯の人が住んでいる地域を描くための簡易な投影法としてなされたものと考えられる。南側の温帯には到達不可能で人が住んでいないと考えられたため、世界地図にそれらの地域を描く必要はなかった。赤道灼熱帯を越えて地球の逆側の未知の陸地に到達することは不可能だと信じられていた。こういった南側の想像上の陸地は対蹠地と呼ばれていた〔。 Tとは大陸をアジア・ヨーロッパ・アフリカの三つに分ける地中海。ナイル川、そしてドン川(かつてはタナイス川と呼ばれた)で、Oとはその周囲を取り巻く大洋である。エルサレムは通常地図の中央に配置される。アジアは概して他の二つの大陸を合わせた大きさである。太陽が東から昇るため、楽園(エデンの園)は一般的にはアジアにあるものとして描かれ、またアジアは地図の上方に位置づけられる。 この質的で抽象的な中世の地図作製法はシンプルな表現に付け加えて非常に詳細な地図を作ることもできる。初期の地図にはほとんど都市が描かれず最も重要な川のみが記載された。聖地の四つの聖なる川は必ず記載された。旅行者にとってより便利な道具は、二つの地点の間の町の名前を順番に並べた旅行案内書や沿岸の目印や港を順番に並べたペリプルスであった。より後の時代の地図は同じ構想に沿っていても西欧と同じほど東方の都市や川、その他のものを記載しているが、これは十字軍の際に知られたものであった。新しい地理的な事物だけでなく装飾的なイラストも加えられた。最も重要な都市はその都市名と共に他と区別できる要塞や塔で表され、空いたスペースには神秘的な生物が描きこまれた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「TO図」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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