翻訳と辞書
Words near each other
・ Tert-ブチルヒドロペルオキシド
・ Tert-ブチルメチルエーテル
・ Tert-ブチルリチウム
・ Tert-ブチル基
・ Tert-ブトキシカリウム
・ Tert-ブトキシカルボニル基
・ Tezya (ヴォーカリスト)
・ Tfm遺伝子
・ Th!s !s i☆Ris!!
・ Th17細胞
Th1細胞
・ Th2細胞
・ Thank You (中島愛のアルバム)
・ Thank You (吉川晃司のアルバム)
・ Thank You For…
・ Thank You! (PUFFYのアルバム)
・ Thank you (SOPHIAの曲)
・ Thank you (浜田省吾の曲)
・ Thank youじゃん!
・ That's カンニング! 史上最大の作戦?


Dictionary Lists
翻訳と辞書 辞書検索 [ 開発暫定版 ]
スポンサード リンク

Th1細胞 : ウィキペディア日本語版
Th1細胞[-さいぼう]
Th1細胞(-さいぼう、)は、CD4+T細胞(いわゆるヘルパーT細胞)の亜群であり、インターフェロン-γやインターロイキン-12(IL-12)の刺激を受けることによりナイーブT細胞とよばれる抗原タンパク質との接触経歴を持たないT細胞からの分化が誘導される。T細胞をはじめとした免疫系の細胞はサイトカイン産生能を有しているがTh1細胞により産生されるインターフェロン-γ(IFN-γ)をはじめとしたサイトカインは特にTh1サイトカインと呼ばれ、マクロファージ細胞障害性T細胞(CTL)などの細胞を活性化してウイルスや細胞内抗原の除去、自己免疫疾患の発症、抗腫瘍免疫を担う細胞性免疫などに関与していることが知られている。同様にナイーブT細胞から分化するTh2細胞はIL-4などのいわゆるTh2サイトカインを産生し、Th1細胞とTh2細胞はサイトカインを放出することにより互いの機能を抑制しあっている。
== 機能 ==

細胞外に存在する細菌の除去はB細胞から分化した形質細胞が産生する免疫グロブリンなどが中心的役割を担う体液性免疫によって行われるが、結核菌(''Mycobacterium tuberculosis'')などの細胞内寄生菌の除去においては細胞性免疫が重要な役割を担っている。通常、細菌に対する免疫応答の第一線はマクロファージ等の食細胞により行われているが結核菌は食細胞内の小胞において寄生することが可能である。Th1細胞はマクロファージへのMHCクラスII分子を介した抗原提示やCD40リガンド(CD40L)、IFN-γの分泌により活性化を引き起こし、食胞内で生き残る菌を殺すことができる。結核菌への感染には家族集積性が認められ、各個人におけるTh1細胞の活性が重要な役割を果たしていると考えられている〔Lienhardt C, Azzurri A, Amedei A, Fielding K, Sillah J, Sow OY, Bah B, Benagiano M, Diallo A, Manetti R, Manneh K, Gustafson P, Bennett S, D'Elios MM, McAdam K and Del Prete G.(2002)"Active tuberculosis in Africa is associated with reduced Th1 and increased Th2 activity in vivo."''Eur.J.Immunol.'' 32,1605-1613. PMID 12115643〕。また、Th1細胞由来のサイトカインにより活性化されたCTLは細胞障害活性を示し、感染を起こした細胞にアポトーシス(自発的細胞死)を誘導することによって破壊することが知られている。CTLは癌細胞に対してもアポトーシスを誘導するが、癌患者においてはT細胞の活性が低下しており、その機構の一つとして腫瘍細胞から放出されるTGF-βによるTh1細胞およびCTLの活性抑制が存在する。
また、Th1細胞の過活動はインターフェロン-γやリンフォトキシン(TNF-β)をはじめとした種々の炎症性サイトカインが産生を引き起こし、関節リウマチ実験的自己免疫性脳炎(EAE)、多発性硬化症インスリン依存性糖尿病などの慢性炎症・自己免疫疾患にも関与していることが示されている。
さらに、Th1/Th2のバランスの破綻はある種の疾患の原因となることが知られている。これまでこの平衡がTh1系に強く傾くことによって過剰なTh1サイトカインが産生され自己免疫疾患の発症につながると考えられてきたが、最近の動向では自己免疫疾患の発症にはIL-17産生能を有した新しいT細胞のサブセットであるTh17細胞が関与しているという説も強く、自己免疫疾患がどちらの細胞によって引き起こされるものなのかははっきりしていない〔細胞工学 vol.27 No.2 加野らの稿 ISBN 9784879624819〕。近年ではTh1細胞の分化メカニズムやTh1/Th17バランスなどに対して注目が集まっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「Th1細胞」の詳細全文を読む




スポンサード リンク
翻訳と辞書 : 翻訳のためのインターネットリソース

Copyright(C) kotoba.ne.jp 1997-2016. All Rights Reserved.