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XM-X2 ( リダイレクト:クロスボーン・ガンダム ) : ウィキペディア日本語版
クロスボーン・ガンダム

クロスボーン・ガンダム(CROSSBONE GUNDAM)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は1994年の漫画機動戦士クロスボーン・ガンダム』。
主人公側の勢力である宇宙海賊「クロスボーン・バンガード」の所属機で、「ガンダムタイプ」に分類される機体。劇場用アニメ機動戦士ガンダムF91』の主役機「ガンダムF91」とは同系列の試作機で、こちらは外宇宙活動に適応した頑強な機体構造と高い推進力を兼ね備えている。頭部の髑髏レリーフや骨十字のような背部推進器ユニットといった、中世の海賊を思わせる意匠を持つ。
『クロスボーン』劇中では、『F91』の主人公でもある「キンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)」が搭乗する白と黒の1号機「X1」、同じく『F91』にも登場する「ザビーネ・シャル」が搭乗する黒い2号機「X2」が登場し、物語の途中で主人公「トビア・アロナクス」が搭乗する白と青の3号機「X3」も登場する。これら3機はカラーリング以外にも頭部アンテナやマーキング、一部武装が異なるのが特徴。いずれの機体も物語の進行によって大小の改修が施されていき、続編作品にも登場するX1は特にバリエーションが多い。『機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト』では、本来のX3に相当する4機目のクロスボーン・ガンダム「X-0」が登場する。
当記事では、これらバリエーションと簡易生産型である「フリント」の解説も行う。
== クロスボーン・ガンダムX1 ==

クロスボーン・ガンダムシリーズ1番機。型式番号は「XM-X1」となっているが、開発がサナリィであることを偽装するために付けられた番号であり、開発元での形式名は「F97」。「海賊」をモチーフとした意匠や装飾は現地で施された〔。
なおクロスボーン・ガンダムはサナリィが実戦データを収集するために配備したものであるため、それを条件にサナリィからの補給を受けている。そのためザンバスターやABCマント、ブランドマーカー等の大半の武器は正式な武装ではなく実は実験武器であり、正式の武装はX1からX0までに共通する内蔵武器及びビームサーベルのみである。これは他の機体も同様。
メインパイロットはキンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)。
木星圏での運用を念頭に置いた開発が当初よりなされており、事実上地球圏で開発された初の外惑星対応型MSである。クロスボーン・バンガードへの協力を決定したサナリィが、地球外の惑星宙域への本格的な進出を前提として開発した機体である〔プラモデル「HGUC 1/144 クロスボーン・ガンダムX1」取扱説明書より〕。
木星の高重力に対応するために、開発においては大出力推進器の装備が必要不可欠となったが、機体各部に姿勢制御用のバーニアを配置する従来型の設計では、機体の大型化により必要な推進力が得られなくなる問題が生じてしまうことが判明した。この問題の解決策として、ガンダムF90ⅢY クラスターガンダムで採用されたコア・ブロックシステムの背部に大型の可動式スラスターを配置し、これを利用して必要に応じて推進ベクトルを変更することで姿勢制御を行うとする設計案が立案・採用された。〔
この可動式スラスターは、鹵獲・回収されたビギナシリーズのフィン・ノズルや、ベルガシリーズのシェルフ・ノズルの技術をサナリィが取り入れ、それを独自に発展させたものである。
木星の高重力に対応しているために、容易に1G以上の重力の影響を振り切ることができ、結果、地球大気圏内では、スラスターの推力のみでの単体飛行を可能としている。
運用側のクロスボーン・バンガードでは、当時の対MS戦においてはビームシールドなどの普及により、射撃戦は効果が低いと考えられていた。また、彼らの指導者であるベラ・ロナの意思により、「敵パイロットを極力殺傷しない」と云うポリシーの元での戦闘をも意識していた。そのため、本機は彼らのこうした戦闘思想を満たすべく、接近戦をより重視した設計が行われている。しかし、その設計思想や機動特性、武装の特殊性などから、乗り手を選ぶ機体となっており、(他のモビルスーツと同様に)真価を発揮するのはパイロットの技量次第である。〔
本機では、コクピット部分が分離して脱出ポッド兼用の軽戦闘機「コア・ファイター」となるコア・ブロック・システムを導入している。コア・ファイターのドッキング方式は、クラスターガンダム (F90IIIY) と同様のホリゾンタル・イン・ザ・ボディ方式を採用している。
前述の可動式スラスターは、本機のメインスラスターであると同時にコア・ファイターのスラスターも兼ねる構造となっている。そのため、本機のコア・ファイターの推進力は、元々、木星大気圏内での運用を考慮しているだけに、単なる機動兵器のものとしては破格なまでに強大である。また、このスラスターの持つ特性(AMBAC作動肢としての利用が可能)により、宇宙戦闘機としては、速度・運動性共に非常に高い性能を持つ。対して、地球大気圏内においては、強大な推力に任せての飛行こそ可能であるものの、航空力学を考慮していないその形状のため、速度はともかく、運動性には全く期待できない。
また、本機のコア・ファイターには機体下面にシザースアームが装備されており、単純な貨物運搬も可能である。作中ではキンケドゥのX1に対し、ベラがこれを用いてブランド・マーカーとビームサーベルを補給する場面がある〔『機動戦士クロスボーン・ガンダム』5巻(2011年版)60-65頁。〕。
本機デザインの特徴の一つである、頭部の骸骨の装飾は、宇宙海賊を自称するクロスボーン・バンガードによって行われたハッタリの為のものであり、技術的な意味合いはない。この点に関しては、ウモンのアイディアだと語られている〔『機動戦士クロスボーン・ガンダム -スカルハート-』40頁。〕。ただし、頭部と胸部は近接戦闘時のウィークポイントとなるダクト類を極力減らした意匠となっており、また頭部にガンダムF91と同様のバイオコンピューターを搭載しているため、時として機体の強制排熱が必要である〔。強制排熱時は顔の下顎が大きく開く構造となっている。
; 武装
:; ザンバスター
:: ビームピストル「バスターガン」、粒子加速式ビーム・サーベル「ビーム・ザンバー」の2種類の武器に分離する特殊武器。
:: 通常、腰部両側面のウェポンマウントに分離状態で、右側にバスターガン、左側にビームザンバーがそれぞれ1基ずつ装備されている。
:: 結合時はビーム・ライフルとして機能する他、先込め単発式のグレネードランチャーとしての機能も持ち、核弾頭を含む各種弾頭の射出が可能。
::; バスターガン
::: ザンバスターの照準器銃身フォアグリップを構成するビーム・ピストル。形状は海賊のイメージにふさわしく古式拳銃に似るが、トリガーガード様のパーツはない。
::: 分離形態であるだけに、威力はザンバスターより劣る。
::; ビーム・ザンバー
::: ザンバスターのグリップおよび銃床を構成する粒子加速式ビーム・サーベル。「ザンバー」の名前の由来は「斬馬刀」から。バスターガンと同じく、その形状は海賊を連想させるカットラスに似る。
::: 元々の出力が高い上に、ビームの粒子を縦方向に加速してさらに威力を高めている。その結果、通常のMSが装備するビーム・シールドやビーム・サーベルごと、本体を斬り裂くことのできる威力を持つ。
::: 接近戦用兵装である本装備が圧倒的高性能を有しているのに対し、通常考えれば同位置にあっておかしくないはずの、ザンバスターおよびバスターガンは、共に射撃用兵装としては特筆できる程の高性能を持っていない。これは、本機が運用側の戦闘思想により、接近戦を重視した代わりに遠距離攻撃力にそれほど重きを置かなかったためである。
::;グレネード弾
:::MSが扱う通常のグレネード弾である。ザンバスターの銃口にはめ込み、その後に発射する。
::;核弾頭グレネード弾
:::本装備品ではなく奪取した核弾頭を小型化した上で、ザンバスターで射出できるよう規格化したもの。木星帝国との決戦時に使用され、構造上の弱点に撃ち込む事で木星帝国の巨大母艦ジュピトリス9を破壊した。
:; ビーム・サーベル(ビーム・バルカン、ビーム・ガン)
:: コアファイターの機首部ビームガンを、そのままビーム・サーベルとして転用している。
:: 左右肩部(コクピット上部両側面)に各1基ずつ、合計2基が装備されている。
:: 本機の手に持たせることでビーム・サーベルとして機能するが、装備状態のままビーム・ガンとしての使用も可能である。劇中ではビームとビーム・バルカンの撃ち分けをしている。
:; ブランド・マーカー(ビーム・シールド)
:: X字状に配置された4本のスリットから発振されるビームで、四角錐状のビーム刃を形成するビーム発振器。
:: 両腕前腕上部上面に各1基ずつ、合計2基が装備されている。
:: 通常、ビーム発振部を拳の前に回し、メリケンサックのように敵をそのまま殴りつける攻撃方法が採られるが、発振部を定位置に固定したまま、裏拳のような攻撃を行うこともできる。
:: また、ビームの展開方法を変更することで、ビーム・シールドとしても使用できる。シールドは組み合わせたビーム刃の先端から展開するため、ビーム発振部を露出させることなくシールドを展開させられる。
:: 本装備基部は、F91同様に稼働状態を保ったまま機体から分離させることも可能。作中、キンケドゥはこれを利用し、ハリソン専用F91から放たれたヴェスバーのビームを、分離させた2基のビーム・シールドとビーム・ザンバーを組み合わせることで、ほぼ相殺した(だが、メインカメラは少なからぬダメージを受けた)。
:; シザー・アンカー
:: 左右腰部前面装甲がそれぞれ変形し、敵を捕獲・拘束するシザース(ハサミ)となる。
:: また、基部にはチェーンおよびウィンチが装備されており、シザースを射出することで離れた場所の敵に対しても使用可能。
:: そのほかにも作中では、投げた武器を掴む、足場に打ち込み機体を固定する、など様々な使い方をされている。
:; ヒート・ダガー
:: 脚部スラスターで発生した余熱により刀身を赤熱化させ対象を溶断する、小型の実体
:: 左右脚部の内部に各1本ずつ、合計2本が装備されている。
:: 通常使用時は人間で言うところのふくらはぎの部分から柄を持って取り出すが、緊急時や奇襲攻撃の際には足の裏、土踏まずの部分から高速で射出する事もできる。
:: また、刃の部分だけ足の裏から出した状態で、敵を蹴りつけるようにして攻撃することも可能。
:: 形状的にはハンドガード付きのサバイバルナイフもしくはバヨネットに似る。
:; バルカン砲
:: 両側頭部に各1門ずつ、合計2門が装備されている。
:: 口径は不明。
:; 腰部ハードポイント
:: 使用しない武器を固定したり、クロスボーン・ガンダム本体から直接エネルギーを供給することも可能な兵装である。F90の様なハードポイントとは違い、ハードポイントと接続パーツとの接続部分ではない部分が回転軸なために、接続パーツの部分に実質負担がかからない設計になっている。VガンダムV2ガンダムの腰部ハードポイントと類似した形状である。
:; A.B.C.マント (Anti Beam Coating Mantle)
:: 巨大な布状をした、対ビーム兵器用追加装甲。
:: 人間が使用するものと同じくマント状に装備され、本機のほぼ全身を覆うことができる。本装備装着時にはX字の背部メインスラスターはマントの内側に折り畳まれて収納されているため、外から見ると象徴的なX字のシルエットは消えている。なお、一部の作品ではX字の背部メインスラスターがマントの外に露出している。
:: 同一箇所へのビーム耐弾性能は、キンケドゥ曰く「平均で5発」とされている。しかし、あまりにも強力なビームの場合はその限りではなく、本装備ではF91のヴェスバーのビームを完全に防ぐことはできなかった(作中において、ハリソン専用F91の放ったヴェスバーの直撃を背部に受けたX1は、機体自体に目立った損傷はなかったものの、その際に装備していた本装備は崩壊している)。
:: 本装備は必ずしもクロスボーン・ガンダムの専用装備という訳ではなく、クロスボーン・バンガードのゾンド・ゲーにも使用されていた。ただしゾンド・ゲーの場合は背部メインスラスターとの干渉により全身に装備することができず、腰部から脚部へかけてスカート状に装備し、部分的な増加装甲としての使用に留まっている。
:: 作者によると、ケレン味の付与とMSの前面を隠して作画を省くために考案したとのこと。
; その他
:同系列の機体であるガンダムF91と同様に本機でもフェイスカバーを解放した強制排熱が行われるが、最大出力稼動時のみだったF91とは違い、本機の場合は通常の運用時でも頻繁に行っていた。
:これは本機が接近戦重視の運用を考慮して機体装甲を厚くした上に、近接戦闘という運用上弱点となる胸部廃熱ダクトの面積を最低限に抑えたことにより機体温度が上昇しやすいためである。
:本機のフェイスオープンはマスクのスリット部分から口の様に開きエアダクトが露出する構造(他の同型機も同様。)で、作中、キンケドゥはこれを利用し、X2のヒートダガーを文字通り食い止めた〔『機動戦士クロスボーン・ガンダム』6巻(2011年版)139頁。〕ことで、宿敵ザビーネに対し勝利を収めている。
:『鋼鉄の7人』にてバイオコンピューターが搭載されていることが明かされている。劇中はオリジナルのF91の様に作用している場面が無い為、量産型F91と同様にパイロットの補助をするシステムとして作用していると思われる。
; 劇中の活躍
: 木星における実戦テストのため、X2と共に秘密裏に宇宙海賊クロスボーン・バンガードに供与され、主にキンケドゥ・ナウが使用した。
: 死の旋風隊との戦闘で中破した後修理を兼ねて改修され、木星帝国側に寝返ったザビーネ・シャルのX2と交戦。本機は頭部を破壊された上にコックピットブロックを貫かれ、大気圏へと落下。しかしキンケドゥは機体が破損している上、自身も瀕死の重傷を負っているにもかかわらずブランド・マーカー(ビーム・シールド)を用いて奇跡的とも言える大気圏突入を成功させる。
: 史上初めてビームシールドによる大気圏の突入を果たしたMSとなった同機は再度修復され、重傷から復帰したキンケドゥと共に地球圏での木星帝国との最終決戦で活躍する。戦後はトビアとベルナデットに渡され、コロニー間に争いが起きたり、合法的手段で解決できない問題が発生した際に姿を見せて戦う。その際に、胸にドクロのレリーフをつけたため、その姿から「スカルハート」という通称で呼ばれ、コロニー市民や連邦軍に知られることとなる。
: その後、『鋼鉄の7人』で新生木星帝国との戦いに投入される。海賊軍事実上唯一の稼働戦力として活躍。「神の雷計画」阻止のため、海賊軍に呼応した木星帝国残党や連邦軍人を加えた混合戦力の中核となった。幾多の犠牲を払ってコロニーレーザー破壊に成功するが、爆発の余波を受け溶解、そのまま遺棄された。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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