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数学における完全加法族(かんぜんかほうぞく、)、可算加法族(かさんかほうぞく、)あるいは (σ-)加法族、σ-集合代数(シグマしゅうごうだいすう、)、σ-集合体(シグマしゅうごうたい、)〔接頭辞 "σ" は「可算加法的」("completely additive") であることを示すのにしばしば用いられる。また、完全加法族では可算加法性と可算乗法性が補集合を取る操作を通じて同値になるので区別されないが、(乗法族における)積の可算性が δ- を用いることによって表される場合がある(δ-乗法族)。例えば、σ-集合環と δ-集合環など。''G''δ-集合と''F''σ-集合の項も参照。〕は、主な用途として測度を定義することに十分な特定の性質を満たす集合の集まりである。特に測度が定義される集合全体を集めた集合族は完全加法族になる。この概念は、解析学ではルベーグ積分に対する基礎付けとして重要であり、また確率論では確率の定義できる事象全体の成す族として解釈される。完全加法族を接頭辞「完全」を付けずに単に「加法族」と呼ぶことも多い(つまり、有限加法族の意味ならば接頭辞「有限」を省略しないのがふつう)ので注意が必要である〔伊藤『ルベーグ積分入門』p. 30〕。 * 集合 ''X'' 上の完全加法族の定義は「集合 ''X'' の部分集合からなる族 Σ であって、可算回の合併、交叉と補演算という集合演算について閉じていて、合併についても交叉についても単位元を持つようなもの」である。 * 集合 ''X'' 上の σ-集合代数の定義は「''X'' の部分集合の空でない族 Σ で、''X'' 自身を含み、補集合を取る操作(補演算)および可算な合併に関して閉じているもの」である。 即ちこれは、有限加法族あるいは集合代数であって〔何をもとに公理化するかといった意識の違いから、名称の違いのみならず、いくつかの見た目の異なる定義が採用されることがあるが、結局は同値な概念であることが確かめられる。〕、かつその演算を可算無限回まで含めて化したものになっている。集合 ''X'' とその上の完全加法族 Σ との対 (''X'', Σ) は可測空間と呼ばれる集合体になる。 例えば ''X'' = とすると、''X'' 上の完全加法族となる集合族の一つは : で与えられる。 より有用な例は、実数直線の部分集合族で、全ての開区間から始めて、それらの可算合併・可算交叉・補演算を取ることをそれらの演算がすべて閉じるようになるまで繰り返して(つまり、開区間を全て含む最小の完全加法族)得られる完全加法族である。得られた完全加法族はボレル σ-集合代数と呼ばれる(ボレル集合の項を参照)。 == 動機付け == ''X'' 上の測度とは、''X'' の部分集合に実数を割り当てる写像で、集合の「大きさ」や「容積」の概念を明確にしたものと考えることができる。望むべくは、互いに素な集合の和の測度が、個々の集合の測度の和になること、特にそれが互いに素な集合の無限列に関してさえも成り立つことである。 ''X'' の部分集合「すべて」に対してそのような測度を与えられると考えたいところではあるが、これは多くの自然な状況設定において不可能である。例えば選択公理からは、実数直線内の部分集合のふつうの「長さ」を測度とするとき、ヴィタリ集合のような測度を持たない部分集合が存在することが示される。そのような理由から、測度を持つ特別な ''X'' の部分集合からなるより小さな族を代わりに考えなければならない。このような集合は可測集合と呼ばれ、それらの族は可測集合に対して期待される演算について閉じている。つまり、可測集合の補集合は可測集合であり、可測集合の可算合併は可測集合である。これらの性質を満たす空でない集合族を σ-集合代数と呼ぶ。 ''X'' の部分集合族で σ-集合代数を成すものを通例 Σ(ギリシャ大文字のシグマ)で表し、それらの対 (''X'', Σ) として与えられる集合代数(集合体)は可測集合と呼ばれる。Σ に属する ''X'' の部分集合の間の演算を初等代数学における数の演算と対比して見れば、集合演算としての合併 (∪) と交叉 (∩) は、数の加法と乗法に対応する。σ-集合代数 Σ は、可算無限回の演算まで含めて完備である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「完全加法族」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Sigma-algebra 」があります。 スポンサード リンク
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