|
あくまき(灰汁巻き)とは、鹿児島県、宮崎県、熊本県人吉・球磨地方など南九州で主に端午の節句に作られる季節の和菓子である。もち米を灰汁(あく)で炊くことで独特の風味と食感を持つ。 == 概要・製法 == 糯米から作る餅の一種であるが、粘りは少なく、水分が多いため柔らかく冷めても硬くならない。他のものに例えるならば、わらび餅や葛餅の粘りを強めたような感じである。 予め一晩ほど灰汁(あく)に漬けて置いたもち米を、同じく灰汁または水に一晩漬けておいた孟宗竹の皮で包み、麻糸や孟宗竹の皮を裂いて作った紐で縛り、灰汁で3時間余り煮て作る〔今村知子、「あくまき」『私の鹿児島料理』pp31-32、1984年、東京、株式会社柴田書店〕。 餅米が煮られることで吸水し膨張するが、水は若干通すがもち米は通さず頑丈な竹の皮で包まれていることで、餅米自らの膨張圧力で餅のように変化する。また、灰汁の強アルカリによって、澱粉の糊化促進と色づき(アミノカルボニル反応)が行われ、同時に独特の臭気を発する。 アルカリ性の灰汁で炊くだけにアルカリ性食品でもあり、ミネラル類が多く含まれる。灰汁の原料には樫など硬木の灰が上等とされるが、その他の木の灰でも作られる。工場での生産では、炭酸カリウムと炭酸ナトリウムの水溶液で代替できる。 多くはだいたい500mlペットボトル弱の大きさであるが、地域差もある。鹿児島県の奄美大島では以前は孟宗竹で包んだ本土と同じようなつのまきが作られていたが〔藤井つゆ、「あく巻き」『シマ ヌ ジュウリ 奄美の食べものと料理法』p206、1980年、鹿児島、道の島社〕、現在は竹皮ではなく、晒しの布袋を筒状に縫い、そこに灰汁に漬けたもち米を入れ、口を縫ってから煮る。このため、一般に九州本土のものよりも少し小さい。また、袋から出した状態でラップなどに包んで販売される。 家庭で自作できるが、漬け置きや煮込み、灰のアルカリが足りないと、餅化が不十分でボソボソとした食感となり、美味しさが損なわれ、色づきも不十分となる。しかし、これらを行う程に匂いなどの独特のクセが強くなるので、食べる人の好みや慣れなども勘案する必要がある〔これは手作りの場合で、後述する市販品の殆どは柔らかさとクセのなさを両立している。〕。クセを抑えつつ柔らかさを出すには、上質な灰汁を取ることが重要だと言われている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「あくまき」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|