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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 神 : [かみ] 【名詞】 1. god
おなり神(おなりがみ)またはをなり神(をなりがみ)とは、妹(をなり/おなり/うない)が兄(えけり)を霊的に守護すると考え、妹の霊力を信仰する琉球の信仰(宮古島を除く)。また兄(男性)の守護者としての妹(男性の血族の女性)を神格化して呼称するもの。 民俗学上、伊波普猷が発表し、柳田國男、折口信夫が展開したことで知られる。 == 概念 == 古来、琉球では女性の霊力が強いと考えられており、神に仕えるノロやシャーマンであるユタも女性だった。この霊力が特に兄に強力に作用し、守り神のごとく守護すると考えるものが、おなり神信仰である。おなり神信仰では、妹を兄のおなり神と呼び、妹を神格化する。この信仰から、男が漁や戦争に行く時は、妹の毛髪や手拭をお守りとして貰う習俗があった〔『神の文化史事典』白水社, 2013年, p.158〕。 おなり神信仰において、兄と妹の関係性は別格とされる。既婚者の男性を霊的に守るのも伴侶である妻ではなく妹と考えられており、近世までは既婚者に大事があった場合でも、その妹が呼び出されて祈念を行うということがよくあったという。このことは、兄と妹の関係性が、場合によっては夫と妻の関係性より強固であり、尊重されることを意味している。旅行や戦争の時、兄弟が毛髪等を貰った相手は自分の姉妹からが全体の6割から8割に達し、自分の妻から貰ったのは5分から6分であり妻よりも自分の姉妹から貰った割合の方が多くなっている〔谷川健一『日本の神々』岩波書店, 1999年, p.221〕。 そもそも厳密には、琉球方言の「をなり」「えけり」は本土方言の「妹」「兄」という意味ではない。「兄から見た妹」を「をなり(おなり)」、「妹から見た兄」を「えけり」と呼ぶ〔『沖縄民俗辞典』吉川弘文館, 2008年, p.107〕。つまりをなり・えけりは、兄と妹のみで完結した関係性なのである。をなりとえけりの想定する宇宙には、男女は兄と妹しか存在しない。 伊波普猷はこのことから、この概念は男女間のすべての関係性を内包するものと指摘した。つまり、をなり・えけりには、肉親としての男女、恋人としての男女、夫婦としての男女の関係が多層的に想念され、その世界において、兄=男が世界を支配し、妹=女は男を守護し、神に仕える神女と位置づけられるのである。 後述するように、この思想が琉球王国の祭政一致体制の基盤を作ったと考えられている。 なお、女性の霊力への信仰や、兄と妹にこうした関係性を投影する古代信仰・宗教や神話は、大和を含め、西洋東洋を問わずに散見される。柳田國男は、日本神話の兄神と妹神の関係性に琉球のをなり神信仰との類似点があることを指摘し、おなり神信仰が大和と琉球に共通した古代信仰であると考察している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「おなり神」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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