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出版バイアス(publication bias)とは、否定的な結果が出た研究は、肯定的な結果が出た研究に比べて公表されにくいというバイアス(偏り)である。公表バイアスとも言う。単純には、否定的な結果に関する情報が公にならない〔。根拠に基づく医療(EBM)における科学的根拠が強い根拠とは、個々のランダム化比較試験のデータを結合してメタアナリシスすること、つまりバイアスのないデータのバイアスのない分析結果である。出版バイアスにより、分析結果が異なってくることが問題である〔。 治療法の有効性と安全性の誤認は、誤った医療の教育と実践につながり、多くの人々の健康に影響を及ぼす可能性がある。 2004年の抗うつ薬パキシルに関するデータの隠ぺいの裁判は、2005年8月世界保健機関による国際的な臨床試験の登録制度であるICTRP(International Clinical Trials Registry Platform)の設立などにつながった。2009年のインフルエンザの流行の警告の陰で、ロシュ社は未公表の試験に基づいて、タミフルが入院リスクを61%、合併症リスクを67%低下させると主張し、アメリカ政府は15億ドル、欧州の政府は10億ユーロを投じて備蓄した〔。''BMJ''は、完全な臨床試験のデータの公開を促し〔、2014年にはそれに基づいた分析が、入院や合併症を減少させるという十分な証拠はないことを報告した〔〔。 ==概要== 単純には、否定的な結果が出た試験が存在するのにも関わらず、肯定的な結果が出た試験が医学誌で公表されることが繰り返されることによって、ある治療法に関する研究は有効であるという結果が多いという印象を形成してしまう〔。 pubmedといった公開された医療データベースから、目的の疾患が対象とされており、二重盲検法がとられているなどの基準に沿った試験を集めた後、データを結合して解析を行うメタアナリシスにより、より科学的根拠の強い証拠を導き出すことができる。1992年に、イギリスの保健省(NHS)からはじまったコクラン共同計画は、根拠に基づく政策を行い、成果を上げたかどうかを納税者である国民に説明する説明責任の一環としてはじまり、恣意性を除き広く文献を探しできるだけバイアスを除いたメタアナリシスをシステマティック・レビューとして、各トピックごとに定期的に公開している。 利害関係などの理由で、否定的な結果が出た研究が論文として公表されなかった場合、肯定的な研究が多くなることによって、メタアナリシスによる分析の結果が肯定的なほうへ偏るといった影響が出る〔。根拠に基づく医療(EBM)は、メタアナリシスされたデータを根拠の強いものとして扱う。治療法の有効性と安全性の誤認は誤った治療に結びつき、大勢の健康に影響を与える。 類義語にお蔵入り問題(file drawer problem)がある。これはメタアナリシスで有意な結果が出たとしても、有意でない研究が研究者の引き出し(file drawer)の中に眠っているだけではないか、という問題のことである。 出版バイアスを減らすための試験登録は1986年にサイムズが言及し、1997年にはFDA近代化法の下、登録制度(ClinicalTrials.gov )ができたが、利用されないことも多く、2004年の抗うつ薬パキシルの不祥事をきっかけに議論が進んだ。すぐに、試験の事前登録がない試験に関する論文を掲載しないという医学雑誌編集者国際委員会の声明がなされ、オタワにて国際的な登録制度の構築するための会議が行われた。2005年8月世界保健機関による国際的な臨床試験の登録制度であるICTRP(International Clinical Trials Registry Platform)の設立や、2007年FDA改正法(FDAAA)における登録の義務付け、同様に最初の被験者を募集する前に登録をするという2008年の世界医師会によるヘルシンキ宣言改訂につながった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「出版バイアス」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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